- 2019年04月21日 11:15
東京"3大名門公立小"に通わせる親の吉凶
2/2タワマン林立するエリアの公立小学校に学級崩壊が多いワケ
▼江東区の公立小学校のケース

※写真はイメージです(写真=iStock.com/y-studio)
一方、タワーマンションが林立し、年々生徒数が激増の一途をたどる江東区の公立小学校の母親Bさんはこう語る。
「私立中学校に進む子は全体の7割くらいです。良かったのは塾に行くのが当然という雰囲気なので、勉強に積極的ではなかった娘も自然と中学受験体制に入れたことです」
中学受験率の高い小学校の教員は、やはり中学受験を志す子どもたちに理解を示すのだろうか。このBさんは学校教員の理解があったことに感謝している。
「中学受験勉強に打ち込んでいる子どもたちの大変さは担任の先生も十分わかってくれていましたよ。むやみに宿題を課すようなこともないし……そこは恵まれましたね」
しかしながら、この母親は娘の6年間を振り返ると、この小学校に通わせるべきではなかったと後悔している。
「近隣にタワーマンションが続々と建てられていますから、どんどん生徒数が膨らんでいくんです。そして、問題だなあと感じたのは、学級崩壊状態に陥った学年が多いこと。原因はさまざまだとは思いますが、このエリアは共働き世帯が中心。学校で問題を起こす中心は決まってそのような世帯の子。
いまの時代、共働きは当たり前だと思います。でも、自分の子が学校で何かしでかしても、『忙しい』と全く学校に顔を出さない。だから、事態は悪化するばかり。卒業式でもそんな調子でしたから、それを目にすると何だか悲しい気持ちになっちゃうんですよね」
こう証言したBさんの娘さんも、自分の小学校があまり好きではなかったらしい。
この点に関する話として、わたしは以前プレジデントオンラインで「『仕事命』の親の子が学級崩壊させる理由」という記事を執筆した。ぜひご参照いただきたい。
名門小学校だからこそのトラブルもある
▼世田谷区の名門公立小学校のケース
世田谷区の名門公立小学校に3人の子どもを通わせていた母親Cさんはため息をつく。
「教育意識が変に高い親ばかりでしたから、わが子の中学受験勉強の様子に探りを入れる人が多かったんですよね。本当に親付き合いで疲れてしまいました」
Cさんによれば、何人かの親が小学校内で良い「ポジション」を獲得するためか、わが子の通う塾の情報を喧伝したり、成績や志望校をひけらかしたりすることがあったという。
このような「マウンティング」はいわゆる名門公立小学校でよく聞く話であり、特異な例ではない。
親同士の軋轢、そして、子どもたちのトラブル多発
また、同じ世田谷区にある別の名門公立小学校では6年生という受験期にこんな問題が勃発した。母親Dさんがそれを教えてくれた。
「ウチの小学校の子たちの大半は駅前にある『大手塾』に通っているのです。そこの大手塾の学力別クラスの変動や成績を小学校内に持ち込む子どもたちが大勢いて、それをきっかけにいじめ問題が起こってしまったんです」
この小学校の校長は事態を改善するために、そこの大手塾の責任者と「面談」までおこなったという。親同士の軋轢、そして、子どもたちのトラブル……。名門小学校だからといって良い教育環境が保証されているわけではないのだ。
各区の私立中学受験率の低い小学校の長所・短所とは?

※写真はイメージです(写真=iStock.com/taka4332)
では、中学受験率が比較的低いエリアにマイホームを持ったほうが、むしろ子どもの教育環境がいいということかと思うが、そうは言い切れないようだ。
「とにかく担任の先生に腹が立って仕方がありませんでした」
こう振り返るのは大田区の公立小学校に通学していた息子さんを持つ母親Eさんだ。この学校の中学受験率は10%程度だったが、担任の中学受験生に対する扱いがひどかったらしい。
「受験間際になって膨大な宿題を出してきたり、生徒全員の前で娘が塾通いしていることについて皮肉めいた発言をしたり……わたしもそうですが、何より娘が精神的にまいってしまいました」
中学受験率の高い学校でこの手の話はめったに耳にしない。こうしたふるまいをした途端、大半の親を一気に敵に回すことになるからだ。練馬区の受験率20%程度の公立小学校に息子さんが通っていた母親Fさんはこう愚痴る。
「わが家は息子に中学受験させるつもりでいたのですが、息子と仲のいい子たちはみんな地元の公立中学校へ進むんです。だから、いざ塾に通っても、その事情を理解していない友達からの誘いを断れず、結局、中学受験は断念しました」
世田谷区の公立小学校に娘さんが通う母親Gさんは受験率の低い学校のデメリットに言及した。
「娘の通った小学校の中学受験率は10%くらい。中学受験のために塾通いするような子は『異端児』として扱われるんです。そうなると、娘としては塾に『通わされている』という感覚になってしまうのです」
そうは言うものの、Gさんは総じて小学校には満足感を抱いているという。のんびりとした雰囲気であり、娘さんは気の合う友人と楽しく過ごしていたと言い、親同士のトラブルもほとんどなかったという。
わが子に最善の小学校を見つけるために
こうした話を踏まえるとわかるように、万人にとって「良い小学校」は存在しない。私立中学受験率が高くても低くても、それぞれメリットとデメリットがあるからだ。「学区」を選択する際には、家庭の教育方針を熟考したうえで、そして、できればその小学校の在校生・卒業生の保護者にリサーチした上で決めてほしいと思う。
(中学受験専門塾スタジオキャンパス代表 矢野 耕平 写真=iStock.com)
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