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平成24年4月21日

優先順位を、慎重に

 昨日20日、参議院で田中防衛大臣と前田国交大臣の問責決議案が可決されました。

 田中防衛大臣は前回この欄で取り上げた北朝鮮ミサイル対応を含め、あまりに自衛隊の司令官としての適格性を欠いており、前田国交大臣は禁止されている選挙の事前運動を、しかも建設業界団体に対して大臣の地位を利用して行っていたということで、ともに辞任に値することは言うまでもありません。

 ただ、内閣総辞職か解散がもたらされる衆議院での内閣不信任決議と異なり、参議院で、ましてや閣僚個々人の問責決議を行うことには法律上の効果はなく、可決された対象大臣が辞めなければ審議を拒否する、しかもその大臣が所管する委員会だけでなく全ての委員会の審議を拒否するという戦術に対しては色々意見があるでしょう。今度衆議院選挙が実施され、たとえ自民党が過半数を占めても共産党を含む野党が参議院の多数派となってねじれ国会が再来することとなり、同じような手法を取られてしまうという懸念もあります。

 今の民主党政権や問題2大臣があまりに国益を損ない、国民の信頼を失っていることからやむを得ないと考えますがただ一つ、もし本当に国益を考えるのであれば一切の例外を認めないというスタンスは取らないで欲しいと思います。
 昨日はこの欄でたびたび紹介してきた「原子力規制委員会設置法案」を、議員立法担当者の一人として衆議院事務総長に提出してきました。(NHKなどで取り上げられています。)政府の提出している原子力規制庁法案は、当該機関を環境省の外局として大臣の政治的コントロールが及ぶようにしていますが、これではIAEA(国際原子力機関)の独立性の基準に反し、世界的に見て信頼のおける組織とはなりません。私たちの案ではこれは独立行政委員会(国家行政組織法の3条委員会)としています。

 一刻も早く国会で取り上げていただき、私たちの対案を政府に丸のみしてもらわなければ、原発再稼働の判断を巡る疑心暗鬼は延々と続いてしまうでしょう。それは私たちの安全やエネルギー政策に大きな悪影響をもたらします。

 自民党の岸田国会対策委員長に「この法案は国益の観点から、たとえ審議拒否をしていても本会議の重要広範議案として代表質問・審議入りを目指して欲しい」と訴えました。これからも活動していきます。

法曹の質と量

 4月7日のこの欄で紹介した自民党企業統治改革案について、16日の日本外国特派員協会において民主党の大久保議員たちとパネルディスカッションを行う機会を得、大きな反響をいただきました。

 公益通報保護制度を担う窓口として、会社顧問以外の弁護士などの活用が求められてきます。
 折しも私が党の法務部会長として民主党が提出している裁判所法等改正案(貸与制に移行した司法修習生の生活資金の返還免除要件を定めるもの)を議論する中で、法曹養成全体のあり方をもっとしっかり考えるべきだという意見が続出していたところでした。

 法の支配を官民含めあまねく行き渡らせ、かつ国際社会にも通用する人材を生み出すために、かつて法曹人口の拡大は喫緊の課題とされていました。

 既に昭和30年代の終わりから法曹人口が海外に比べて極めて少ないことの問題点が指摘されていたのに司法試験の合格者は500人から一向に増えず、昭和末期には受験生が3万人近い中で合格率は1パーセント台に落ち込んでいました。
 「昭和の科挙」とまで言われる過酷な試験で、競争率5倍を超える択一試験(一次試験)に受かっても論文試験(二次試験)に合格するのは8人以上に一人だけ。これらの「論文浪人」のうち「次こそは合格できる」というレベルの人たちは受験専業で来年に臨むこととなり、そうした人たちがどんどん受験回数の制限のない中で堆積していきました。

 平成元年には合格者の平均年齢は確か29歳で平均受験回数も7回だったと思います。これはあくまで合格した人のデータであり、国会でこの司法試験の異常さが取り上げられた際には受験回数20回を超えた人が数十人いることが法務省から発表され、法務委員会のメンバーがため息をついていたという報道がされています。

 私もその時期に受験生をしており、論文試験会場で廃人寸前の風体をした中年を数多く目に焼き付けています。今さらまともな就職先もなく、受かる見込みが少ない受験を続けざるを得ない人も多く、自殺者も出て社会問題化しました。そして私自身、民間企業から脱サラして受験生活を続け、なかなか受からずに苦労し、精神の変調をきたす一歩手前までいきました。

 合格率があまりに高いと、一部の極めて優秀な人を除けば、同じような力を持った人でも問題の当たりはずれで合格時期に数年の誤差が出てしまい、社会的に大きな損失となることが実体験でも、国会の審議でも明らかになりました。受験予備校も全盛を極め、論証フォームの丸暗記をする受験生が増えました。

 当時東大法学部の年間600人以上の卒業生のうち、公法コース(2類)は半分が民間企業で残りの半分が国家公務員(キャリア)に進んでいたと思いますが、私法コース(1類)は半分が民間企業で、残りの半分近くは司法浪人という実態でした。留年生も含めて在学中の合格者は20人足らず。500人の合格者全体でも在学中の合格者は30~40人程度ではなかったかと思います。現在、「ロースクールに行くより旧司法試験の方が早く実務に出て活躍できる」という主張もありますが、全くの空論であることがわかると思います。

 弁護士会は既得権益を擁護するため合格者の増加にはずっと後ろ向きで、司法試験に合格したら競争もなく、ほとんどが個人商店となっていました。これでは海外のローファームには全く対抗できません。

 こうした実態を受け、重い腰をようやく法務省も弁護士会も上げました。合格者を徐々に増やすとともに、500人を超える部分については受験回数3回以内の者から優先的に合格させるという措置を取りました。しかし移行期間も含め、これが実施されたのは実に平成10年からです。この時は合格者総数は800人でした。私が回数制限のない一般枠で合格したのがこの年です。

 その後司法制度改革が一気に進みました。平成15年あたりから政府でも自民党でも司法制度改革本部が立ち上がり、失われた期間を取り戻すかのように、省庁横断で強力なリーダーシップを取って合格者を3000人に増やそうとし、ロースクール制度を設けて「卒業生の7~8割が合格できる試験にする」を目標に制度設計がされてきたのです。

 しかしここにきて、ロースクールの乱立と厳格な修了認定なきままでの受験が横行し、結局合格率は2割と低迷。受験回数が3回と制限されて、それで受からない受験生は予備試験という極めて高いハードルからチャレンジしなくてはいけないこととなります。合格者の質は数を増やし過ぎたため低下し、就職難も本格化しています。ロースクールの学費と修習資金貸与制への変化に伴い、経済的に厳しい法曹の卵も出ているのは事実です。それでも結局合格者は3000人を達成できていません。

 これでは国民の信頼に足る司法とはならず、再度制度の見直しが必要だと考えています。かと言って時代に背を向けた旧制度の復活はいけません。きちんと実態に即した制度改革を進めていきます。

地元の相次ぐ大会

 自民党所沢支部の総会がおかげさまで盛大に開催されました。この後、三芳・大井各地区でも相次ぎ開催の予定です。しっかり結束を確認しあい、政権奪還に向けてみんなで力を合わせていきたいと思います。関係者の方々に改めて感謝を申し上げます。

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