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消費増税凍結を発言させた安倍首相の狙い

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■二階俊博幹事長が「萩生田発言」に激怒のワケ

野党は萩生田発言で蜂の巣をつついたような騒ぎになっている。「いよいよアベノミクスの破綻が見えてきて与党も慌てだしたということだ。解散をするなら堂々と受けて立つ」(福山哲郎・立憲民主党幹事長)と表面上は勇ましいが、衆参同日選となれば、今でも進捗状況がかんばしくない野党調整が難しくなる。あわてふためいている。

自民党内も例外ではない。二階俊博幹事長は萩生田氏の発言に激怒しているという。周囲に「幹事長代行として、たいした仕事もしないのに……」とこぼしている。

二階氏と萩生田氏は上司と部下の関係にある。ただし萩生田氏は、安倍氏と直接つながっている自信があり、それが言動に出ることがある。二階氏はそこが面白くない。しかし、今回の怒りは、別の理由がある、との「深読み」もある。

「『80歳の古だぬき』二階氏が権力もつ理由」でも紹介したが、二階氏は近未来の政治の潮目を読み、それを発信するのを得意とする政治家だ。「誰よりも早く勝ち馬に乗る」ことが鉄則なのだ。

その二階氏は、安倍氏が消費増税を凍結し衆院解散に打って出ると読み、機を見てアドバルーンを上げようと思っていたふしがある。それなのに萩生田氏に先取りされたことで「怒っている」と取ることもできるのだ。であるとすれば、萩生田氏の発言は、安倍氏と調整済みである可能性がますます高くなってくる。

■「令和になったらキャンペーンを張る」

安倍氏の意向が働いていたと考えた時、萩生田氏の発言はどんな狙いがあったのだろう。今のところ野党向けのブラフという色彩が強いとみていいだろう。

安倍氏は、憲法の改正を目指しているが、立憲民主党などの野党が徹底抗戦し、衆院の憲法審査会を開くことができないことが続いている。現状では、安倍氏が目指す2020年の新憲法施行は厳しい。その状況が今後も続くようなことがあれば、衆院を解散し、衆参同日選に踏み入れるぞ、と脅そうとしたと考えたい。

萩生田氏は同じ番組の中で、衆院の憲法審査会がなかなか動かないことについて「どこかで限界もある。令和になったらキャンペーンを張る。少しワイルドな憲法審査を自民党は進めていかなければいけない」と語っている。

■10連休明けに永田町の空気は一変の可能性

「消費税で違う展開」「信を問う」「ワイルド」という一連の発言を並べて読めば解散をちらつかせて憲法審議への参加を迫る脅しであるというシナリオが浮かび上がってくる。

少なくとも今の段階で、安倍氏が消費税増税を延期し、衆院解散、同日選を決断していることはない。選択肢の1つととらえているというのが正確な表現だろう。

しかし、政治は生きものでもある。与野党に広がったざわめきの結果、衆院議員たちが駆け回り始めると、首相でも動きを止められなくなる。改元をはさむ10連休、衆院議員たちは地元に止まり支援者のてこ入れをする。経済状態が苦しくなり消費税増税を見送ってほしいという陳情も受けることだろう。

連休明け、国会議員たちが永田町に戻った時、ブラフがブラフでなくなっているかもしれない。

(プレジデントオンライン編集部 写真=時事通信フォト)

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