記事

なぜ新紙幣発表は4月9日だったのか? 「得した人」は誰か? その直後、最後の失言を咲かせた桜田五輪相 - プチ鹿島

「令和」を発表してからというもの失言ラッシュである。塚田一郎(国土交通副大臣)や桜田義孝(五輪担当相)が辞任。

【写真】この記事の写真(6枚)を見る

 2007年の第一次安倍政権時に「辞任ドミノ」が起きたので最近新聞にはまた同じ言葉が目立つようになった。

4月10日夜、辞表を提出後、取材に応じる桜田義孝五輪担当相(中央) ©時事通信社

 興味深い分析をしたのは4月12日の「東京新聞」だ。

 第一次政権を振り返ると“カネ絡み”で辞任するケースが多かったが、ここ数年は同じ辞任ドミノでも色合いが違うことを指摘する。

 それは、「本人の資質や軽薄な言葉が問われた格好」。

 ああ、たしかに走馬灯のように迂闊なおじさんたちが目に浮かぶ。

 となるとこうも言えまいか。

 現在の閣僚はカネの問題まで「たどり着くまでもなく」基本的な資質のためにアウトになってしまうと。驚異の現実である。ついでに言うと片山さつき先生はカネも資質も問われる稀有な存在であることもわかる。

安倍首相が辞任の引導を渡す時のテーマは「復興」「五輪」

 さて興味深いのは、政権側がすぐに更迭したケースを振り返ると災害復興が関連する失言だ。

・今村雅弘復興相「まだ東北で良かった」

・務台俊介内閣府・復興政務官が台風の被災地で「長靴業界はだいぶもうかった」

・そして今回の桜田五輪相の「復興以上に大事なのは高橋さん」

 さんざん失言をしてきた桜田氏が今回は一発アウト。これは何を意味するのか。

 東京新聞は安倍首相が辞任の引導を渡す時の地雷テーマは「復興」「五輪」と指摘している(4月12日)。しかしそうなると被災地復興を掲げる東京五輪の担当大臣に桜田氏を任命したことはどう考えても矛盾しすぎるではないか。

 そう思って読んでいると同記事に次のコメントがあった。

「(桜田氏の)辞任によって『復興に真剣』というポーズを示すことができた。安倍政権にとって、まさに災い転じて福となす、だ」(沖縄国際大・佐藤学教授)

 ……そういえばこの言葉を思い出した。「やってる感」である。またしてもこの言葉がちらつく。

新紙幣デザイン わざわざ5年も前に公表という不思議さ

 やってる感と言えば先週の新紙幣デザイン発表も同じ匂いを放っていた。

 わざわざ5年も前に公表という不思議さ。「改元と相乗効果狙う」という当然の解釈が出た(日本経済新聞4月10日)。

 大きな発表なのに同時に「なぜ今」と訝しがられる。究極のやってる感。

 さらに興味深いのは新紙幣を構想し始めた時期についてだ。

 麻生財務大臣に財務省幹部が腹案を示したのが「昨年秋」とある(日経・同)。

 その時期の理由として《省内が落ち着きを取り戻しており、失地回復を進める意図も感じる。》(日経・同)

 失地回復とは財務省には森友学園やセクハラスキャンダルがあった。明るい話題を練るしかなかったのである。

 さらに年明けになると「麻生氏は首相との擦り合わせに本格的に乗り出した」とある。

 年明けから「改元との相乗効果狙い」で動き出していた。

 しかしここで気になることがある。なぜ新紙幣の発表は4月9日(火曜)だったのか? お祝いムードに乗るなら新天皇が即位する5月以降に発表するほうが効果的。ハッキリ言ってそのほうが選挙(参院選)も近い。

 4月9日に公表した理由は、まず新聞のスクープがあったことが大きい。毎日と産経が9日の一面で報じたのだ。さらに毎日新聞は4月8日深夜つまり9日の未明にWEBで報じたので、他紙に先手を打ったのだろう。

 新聞のスクープによって結果的に得したように見えた人もいた。

気分一新とは麻生氏自身のことだったか

 麻生氏である。

 福岡県知事選で麻生氏が推した候補が4月7日(日曜)に敗れた。翌日の新聞では、

「麻生氏 求心力低下も」「福岡知事選『横暴』払拭ならず」(産経新聞)

 などと無残に書かれた。

 選挙から2日後に麻生財務大臣は華々しく新紙幣デザインを発表。

 気分一新とは麻生氏自身のことだったか。

 ところがである。これでめでたしとはいかなかった。そう、翌日にすぐさまそのムードを打ち消したのが「桜田発言」である。

 あれですべてのめでたさが吹き飛んだ。

 安倍首相は先週末におこなわれた「桜を見る会」で「一人一人の花が咲き誇る時代にしていきたい」と語ったが、よりによって桜田五輪相が最後の失言を咲かせた。

 東スポは「あいさつさせる方も問題」と書いた(4月12日付)。すごい大臣もいたものである。恐るべし「桜田を見る会」。

 こうして渾身の新紙幣発表のお祝いムードは台無しとなった。

 今週には「新5000円札肖像 左右逆? 津田梅子公表から6日思わぬ疑問」(4月16日日刊スポーツ)

 という報道があった。新紙幣5000円札の津田梅子の肖像が「反転」されている可能性が浮上したのだ。いきなりのニセ札感。

 麻生財務大臣は福岡県知事選のあと運気が下がってきたように思える。反転してるのは麻生太郎なのかもしれない。

 今後どんな(文字通りの)反転攻勢を仕掛けてくるか見もの。

 キャッシュレス化に逆行するけど、10万円札でも発表してみる?

芸人式新聞の読み方 (幻冬舎文庫)

プチ 鹿島
幻冬舎
2019年4月10日 発売

『芸人式新聞の読み方』 が文庫になりました。ジャーナリスト青木理氏との「全国紙・地方紙実名ぶっちゃけ対談」などを文庫特典として収録!

(プチ鹿島)

あわせて読みたい

「日本銀行券」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    丸山議員の診断出した医師に憤り

    中村ゆきつぐ

  2. 2

    「ガイアの夜明け」にねつ造疑惑

    和田政宗

  3. 3

    スルガ銀行を助ける金融庁の本音

    大関暁夫

  4. 4

    専業主婦ではない無職人妻に同情

    キャリコネニュース

  5. 5

    乙武氏の義手・義足姿に大反響

    AbemaTIMES

  6. 6

    トランプ氏の対中政策は正しい

    奥山真司

  7. 7

    メイ氏辞任 EU離脱の元凶は何か

    舛添要一

  8. 8

    山口 移籍前夜の運営批判が波紋

    女性自身

  9. 9

    米中冷戦で日本は主戦場の可能性

    文春オンライン

  10. 10

    書類を即処分 桜を見る会の異常

    猪野 亨

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。