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検察のあり方について(その2)

判検交流(はんけんこうりゅう)

 「判検交流」とは皆さんあまり馴染みのない言葉かもしれませんが、裁判所の裁判官である「判」事と検察庁の「検」察官との人事交流のことを指します。裁判官から検察官、検察官から裁判官への異動はそれぞれ年間50名前後であり、ほとんどは裁判官が検察官になり一定期間後に裁判官に戻るというものです。

 判検交流が実施されている理由として、法務当局は1.法務省の所掌事務を適正に行うために裁判官実務経験者を任用する必要があるため。2.多様な経験を積み人格の研鑽を深めるため等と説明しています。

 さらに法務省の文書による説明によれば、判検交流はかなり古い時代から行われており、開始された経緯及び時期については、資料が存在しないため不明である、とのことです。

 戦前は裁判所・裁判官は独立しておらず、司法省(法務省の前身)のもとで検事と共に所属しており、両者はほぼ一体化していました。その名残が現在の判検交流につながっていると指摘する意見もあります。 

 行政訴訟や国家賠償訴訟で国が裁判で訴えられた場合に国の代理人(訟務担当検事)を務めるのが法務省の訟務部門です。検察に出向異動した判事はこの訟務部門に配属されることが多く、平成23年で67人中34人が裁判官出身者です。

この訟務担当検事は国の代理人として、国の利益を守るために訴えた側の住民と対峙することになります。

果たしてその後、出向が終わり裁判官の立場に戻り、行政訴訟や国家賠償訴訟の裁判において、中立公正な立場で住民の訴えに耳を傾けることができるのか、懸念されます。やはり、国に有利な判決をしてしまうのではないでしょうか。法律に照らして、偏りない判決を下せるのかということには疑問が残ります。

 司法をさらに国民の立場に立ったものにしていくために、裁判官が純粋培養で養成されるのではなく、様々な経験を積み、人格的に向上していく必要があるのはいうまでもありません。それは、何も検察官になることだけで達成されるものではありません。むしろ別の分野へ出向して社会のあり方を経験してこそ、その目的が達成されるのではないでしょうか。

 法務局における訟務担当検事に占める裁判官出身者の割合は平成22年から23年にかけて55.7%から50.7%に減少しましたが、さらに人数を縮小する方向で見直しを行うべきであると考えます。

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