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これからの保育園を考える

平成31年予算の採決で武蔵野市議会は、賛否が割れた。その争点には、保育園が今以上に必要か? があった。必要と川名が考える理由をまとめてみた。



■時代は変わった

 保育園の是非は、昔から対立的な考えがある。それは、母親が子どもを面倒みれば保育園はいらない、との古典的な考え方と必要との考えだ。また、幼稚園に通う子どもが多いのだから保育園にお金をかけることを疑問視する意見もあった。

 しかし、働く保護者は増え時代は変わってきている。働くことは経済的面もあるが、社会の一員としてキャリアを重ねたいなど理由はさまざまだ。かつての考えが通用しなくなっているのは事実だろう。
 もちろん、幼稚園を選ぶこともいい。要は、子どもにとってどちらがいいか、家庭状況に応じて、不安なく問題なく選べる社会が実現できることこそを目標とすべきだ。対立する話ではない。

■空きがでている?

 今回の予算審議では、認証保育所に空きが出ていることから、待機児対策として新たに保育園を急いで作るべきではない、との考えから予算に賛成しなったと受け取れた。

 確かに認証保育所には、空きが出ている。しかし、その理由を考えてみれば、自宅と勤務先、使う駅との間に保育所があるのか、自宅から近いのかなど使いたくても使えないことや、認可保育園に入れるどうか分からないので、保険として申し込みを行いキャンセルになる例もある。

 つまり、必要としている家庭のニーズに保育所の場所があっていないこと、認可園が足りないことでの弊害であることは容易に想像がつく。

■弾力化による隠れ待機児

 何よりも今の認可保育園・認定こども園(公立と子ども協会園)は、定員を弾力化し、本来の定員よりも人数を多く受け入れている。特に「3歳の壁」対策で、例えば東保育園や境南第二では定員15人に対して20名を受け入れているなどだ。民間園が増えてきたことで、弾力化は少なくなってきているが、本来の定員よりも多く受け入れている、いわば隠れ待機児もある。

 武蔵野市の平成31年度4月1日現在での認可保育園・認定こども園入所申し込み状況をみると、全認可園の定員は、定員503人に対して514人が入園している状況だ。この数字だけを見ると弾力かはそう多くなく、足りてきているように思うかもしれない。
 さらに、昨今の保育園増で弾力化が少なくなり、保育園によっては定員より少ない児童数のところも出てきている。認可園・認定こども園の全定員数2560人に対して入園した児童数(在籍児童数)は、2507人。指し引きすると132人に空きがある。だから、保育園は必要ないと考えてしまうのかもしれない。

だが、その考えは間違いだ。保育園のことをよく知らないことで単純に数字だけで判断してしまう考えだ。

 保育園は転居などの理由がないとゼロ歳など入園した年齢のクラスから上の年齢のクラスへと持ち上がっていく。新規に開園した園は、下の年齢から持ち上がるこどもがほとんどいないので4,5歳は埋まらないのが通常だからだ。
実際、定員の空き状況は4歳25、5歳85という状況だ。定員が埋まっていくのは、これから数年先の話になり、そのときに初めて地域ごとに定数が適正なのかが議論できることになる。

 31年度予算では3園の新規認可園の予算があり、可決できたことで建設が進められる。数字上は待機児ゼロが近づくように思えるが、保育料無償化や必要とする家庭が増えていること。ゼロになると転入が増えること、先の弾力化も考えるとまだまだ不安要素は多い。まずは3園の建設をすることが必要だ。



■待機児ゼロの先

 仮に待機児ゼロが実現した場合、その先をどうするか? 最近は待機児数だけが注目されているが、そもそもの保育園の役割を再認識することも必要だろう。

 保育園(法的には保育所)は平成9年の児童福祉法の改正により、地域の子育て家庭に対する子育て支援の努力義務が規定された。平成12年に改訂された保育所保育指針でも、保護者とのパートナーシップによる保育や子育て支援の拡充が求められている。そのこともあり、広場事業などが行われている。
 また、妊娠期や産後期も含めた支援機能、育児疲れに対して一時預かりによる支援なども求められる。 

 つまり、保育園には入園しているこどもだけでなく、地域の子育て支援を行う施設になることが求められている。自宅の近くの遊び場、何気なく立ち寄ったときに気軽に相談できる保育士、看護師がいる施設、機能としての保育園になるべきなのだ。そのような保育園はなるべき多いほどいい。
 そのためにも保育園はまだまだ必要だ。

 武蔵野市でもこどもプランの策定のなかでこの議論もあった。しかし、現実には待機児が急増していることから対応に追われていることもあり、この支援機能は十分に発揮できるとは言えない。弾力化も考えれば、まずは入園することが最優先されていたからだ。いたし方がないだろう。

 待機児ゼロは、ひとつの通過点。その先を見据えて考えなくてはならない。保育園を利用する家庭も利用しない家庭も同じように子そだてを支援する機能を持つのがこれからの保育園なのだ。災害時時にも子どもへの支援機能を発揮できる。予算を否決することは、このような子育て支援機能も否定していくことになる。

待機児ゼロの先を考えて、予算には賛成と川名は判断した。

同じような考えを持つ議員が選ばれるかどうか。今、問われているとも言える。

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