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東大上野千鶴子祝辞の最大のポイントは「弱者が強者になりたい思想ではなく、弱者のままでいい」

ネットやメディアで話題になっている東大上野千鶴子祝辞スピーチだけど、書き起こし文章で読むのとスピーチ動画を聞くのはまるで印象が違う。

私の感想だけど、文章で読んだ時の感動はスピーチからはまるでなく、みなさんが感動したと言っている部分もスピーチではまるで官僚的な原稿読みに終始している感覚。

ただ一点だけ。
上野千鶴子氏が感情を込めて伝えようとしていると私が感じたところがある。
それがフェミニズムのところだ。
「女性学を生んだのはフェミニズムという女性運動ですが、フェミニズムはけっして女も男のようにふるまいたいとか、弱者が強者になりたいという思想ではありません。
フェミニズムは弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想です」
ここだけはすごく感情を込めて言っているように思えて、他の部分とはまるで違い、伝えようという意思が感じられるように思うのです。

これ、すごく重要なメッセージでね、男女差別みたいなことを前段で論じていながらも、結局伝えたいことは、女性が男性のようにふるまうことではなく、弱者は弱者のままでいい、と言っている点。

これ、考えてみると前半で言っていることと論理矛盾するんじゃね、みたいな話で、ますます文章書き起こしで読むのとはまるで違い、感動スピーチには程遠いんだけど、でもこの考えってものすごく重要なわけです。

女性が男性並みに扱われたら、それは本当に平等でフェアで、女性の幸せになることなのかというと、そうではないと指摘しているのではないかと受け止められるわけです。

これって障害者論議なんかも同じで、障害者が健常者と同じように扱われたらそれはそれでかえって大変なわけで、「弱者」は弱者のままでいいと尊重されることが大事なんだということと同じだと思うのです。

ネットなんかでもよくあるけど、影響力を持ったインフルエンサーや著名人に対して、弱者が弱者の立場を利用して強者であるインフルエンサーを批判し、
「影響力のある人が無名の人をさらすのはひどい」
みたいな議論ってあるけど、それって弱者が弱者の立場を利用し、強者になることだと思うわけです。

強者のくせに弱者をいじめるなと、強者を脅迫し、自ら弱者ではなく強者になる。

でもそういうことをしてしまったら、弱者は弱者でいられなくなり、尊重されたり、優遇されたり、保護されたりすることなく、同じ立ち位置に置かれてしまう。

そうなったら「弱者」の立場は、守られなくなってしまう。

それでいいのかということを、このスピーチでも言っているのではないかと。

女性が男性扱いされることではなく、女性は女性、男性は男性と、差別ではなく、きちんと区別されて対応してもらうことがむしろフェアなはず。

理不尽な性差区別は問題にしても、性別は明らかに違うわけで、そこにはそれぞれの特質があるわけだから、同じように扱うことを求めたり、強者になることではないはず。

弱者が強者になることではなく、弱者が弱者のままで尊重されるために何をするのか。

これがものすごく大事で、このポイントを抜かして女性がどうだ男性がどうだと言ってしまうと、見かけ平等でも結果不平等になりかねない。

未だ上野千鶴子スピーチを動画で見もせず、文章書き起こしでしか見てない人はぜひ動画を見て欲しい。
前段なんて感動的スピーチどころか、官僚の答弁みたいでやや早口な部分も多く、細かい部分は文章とは違ってまるで聞き取れない。
感動どころではないんです。

でもそんなスピーチも、このフェミニズムのところだけはトーンがまるで違うように聞こえる。

ぜひ動画を見て、ああだこうだと論じてください。
まるで違う印象なはずだから。

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