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世間では知名度ほぼゼロ、永田町では参院のドン……吉田幹事長とは何者だったのか - 「週刊文春」編集部

 その名が意外な形で取り沙汰されたのは、4月上旬のことだった。安倍晋三首相と麻生太郎財務相の地元の道路整備に絡み、塚田一郎国土交通副大臣(その後更迭)が、「吉田幹事長が私の顔を見て『分かっているな。総理と副総理の地元の事業だ』と。私は物わかりがいい、すぐ忖度します」と語った一件だ。

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秘書、県議を務めた後、52歳で国政入り ©共同通信社

 吉田博美自民党参院幹事長(69)。「世間と永田町での存在感のギャップが最も大きい政治家」(政治部記者)だ。今夏で改選だが、4選を目指して立候補するか未だ明らかにせず、「4月の大型連休前に決める」と表明している。

 吉田氏は「参院のドン」と呼ばれた青木幹雄元自民党参院議員会長に見出されて権力の階段を上り、新たなドンになった。とはいえ、官房長官を務めた青木氏と違って一度も閣僚にならず、世間的な知名度はゼロに近い。

 山口県出身だが、選挙区は高校まで育った長野県。長く二人区だったため、羽田孜元首相の長男・雄一郎氏と議席を分け合ってきたが、今回は一人区になった。吉田氏は昨秋、早々に長野での立候補見送りを表明。地元記者は「どうせ勝てないと思って逃げたと見られています」と語る。

政治評論家を見て「こんなのだったら俺でもできるな」

 個人名での得票数で当落が決まる比例での出馬を模索していた昨年末には、ワイドショーで語る政治評論家を見ながら「こんなのだったら俺でもできるな」と漏らした。近くにいた議員が「テレビに出るなら吉本興業に所属したらいい。社長とメシを食いましょう」と誘うと、「いいね」と応じ、出馬か引退か、揺れる胸中を垣間見せた。その後、足の不調がなぜか治らず益々悪化、今では車いす生活で、永田町に来るのは月に一度ほどだ。たとえ比例で当選しても、「下位ならばドンのメンツが潰れる」(自民党秘書)だけに「夏の参院選には120%出馬しない」(参院中堅議員)との見方が強い。

 昨秋の自民党総裁選では、青木氏の命を受けて参院竹下派をまとめて石破茂元幹事長を支援。3月末の参院議員総会では、片山さつき地方創生担当相を名指しして、「自分が、自分が、ではなく、感謝、感謝の気持ちで」と叱咤激励するなど存在感を見せた。「参院の子分らに片山氏の身勝手さを以前から相談されていて、最後に一言モノ申したのだろう」(政治部デスク)。

 吉田氏が引退すれば、手足を持たぬ青木氏も去りゆくのみ。新ドンの座をめぐり、参院自民は戦国時代に突入する。

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年4月25日号)

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