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コンビニの「ドミナント戦略」の問題点とは?

■銀行の業務よりも高度化しているコンビニ業務

 コンビニの「24時間営業」が問題になっていたかと思えば、今度は、コンビニの「ドミナント戦略※」というものが問題視されているようだ。

(※)チェーンストアが地域を絞って集中的に出店する経営戦略のこと。

 アルバイトを募集しても、なかなか人員が集まらないという昨今のコンビニを取り巻く状況は、少子化以前にコンビニの店舗数が増え過ぎたことや、コンビニの業務が高度化したことも大きく関係している。

 5年前の2014年の段階で全国のコンビニ店舗数は51000店だったが、現在では大手コンビニ3社(セブンイレブン・ファミリーマート・ローソン)だけで50000店を超えており、この数十年間、右肩上がりで上昇し続けてきた。一方で、アルバイトとして働く高校生や大学生は出生率低下の影響で右肩下がりで減少し続けてきた。これでは、物理的にどこかで限界が訪れる(天井を打つ)のは無理もないと言える。

 学生の数が足りないなら、高齢者をアルバイトで雇うこともできるが、現在のコンビニは昔のようにレジ打ちをして商品管理ができればよいというわけではなく、業務内容が年々幅広くなり、ハイテク機器まで扱えなければ務まらないというオールラウンド(万能)型の人員が必要になっているので、応募する方も「私にできるだろうか…」と尻込みしてしまう人も多いのではないだろうか。

 10年程前には、「銀行員の仕事(窓口業務)はファストフード店のアルバイト店員と変わらない」と揶揄されたことがあったが、現在のコンビニのアルバイト店員の業務は、ある意味、銀行員の業務よりも高度化しているとさえ言える。
 そう考えると、時給1000円程度で募集しても人員が集まらないのは無理もないのかもしれない。業務内容と報酬がアンマッチ(=割に合わない)ということで、アルバイト人員が集まらないとも考えられる。

■「陣取り合戦」としての「ドミナント戦略」

 さて、前置きはこの辺にして、本題の「ドミナント戦略」に移ろう。

 街中を車でドライブしていると、コンビニの店舗数は明らかに増加していることは一目瞭然で、昔のように、どこにコンビニが有るか探し回るまでもなく、すぐに見つけることができるようになった。
 ある地域では、同じコンビニばかりが並んでいるというような現象もよく見かけるので、素人目には、これは戦国時代で言うところの「陣取り合戦」っぽいな…と考えていた。

 企業の戦略的視点から見れば、「陣取り合戦」(ドミナント戦略)はなかなか良い方法だなと思って眺めていたが、今回の問題を観るにつけ、よくよく考えてみると、個人オーナーの視点から見れば、確かに少し問題かもしれないな…と気付かされた。

 では何が問題なのかと言うと、「ドミナント戦略」を行っている店舗同士が利益を共有できないところである。同じ個人オーナーが複数店舗を経営しての「ドミナント戦略」であれば、その地域の消費者を全て取り込むことができるが、1店舗、1店舗のオーナーがバラバラでは、そのドミナント店舗間での競争になってしまう。

■「コンビニ間の陣取り合戦」と「個人店舗間の陣取り合戦」

 企業側から観れば、「陣取り合戦」として成功していても、個人店舗側から観れば、単なるお客(利益)の奪い合いにしかならない。

 企業の「ドミナント戦略」自体は決して悪いシステムではないが、経営を各個人店舗に任せるというシステム上での「ドミナント戦略」は、「陣取り合戦」として正しく機能していないということなのだろう。

 マクロの視点で観れば、「コンビニ間の陣取り合戦」として機能していても、ミクロの視点で観れば、「個人店舗間の陣取り合戦」にしかなっていない。
 つまり、企業経営者の認識と個人オーナーの認識との間にギャップが発生しているということ。自殺者が出るまで、その「ボタンの掛け違い」に気が付かなかったことが問題なのだと言える。

 しかし、他店が入ってきた場合はどうなるのだろうか?

 例えば、オセロのように、セブンイレブンの店舗の左右にローソンとファミリーマートが出来れば、同じように売上げはいきなり3分の1まで減少するというようなことは起こり得る。そこまで酷くなくても、近所に新しいコンビニができて、客数がいきなり半分になってしまったというようなことは、これまでにも多々あったと思う。

 その場合も、客の奪い合いになって売上げが減少して経営が厳しくなるという結果は同じでも、他店どうしの競争ということでOKなのだろうか?

 同一コンビニ間の「ドミナント戦略」の問題点は改善できると思うが、他店が近所に出来て過当競争を強いられる場合は仕方がないということになるのだろうか?
 その辺りは曖昧なままだが、このままコンビニが増加し続けるとなると、今後は、そういった問題も表面化するかもしれない。

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