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インフレ目標政策を認めた西村日銀副総裁

 4月18日の岡山県での日銀の西村副総裁の講演のタイトルは、そのものズバリ「わが国経済のデフレ脱却に向けて」と、2月14日のバレンタイン緩和を実際にどのように捉えたら良いのかを理解してもらおうとの内容となっていた。今回はこの興味深い講演内容について見てみたい。

 西村副総裁は2月14日に日銀の行った政策対応は3つあるとし、ひとつは「中長期的な物価安定の目途」の導入、もうひとつは、資産買入等の基金を10兆円規模の増額、そしてもうひとつ、強力な金融緩和を継続する「時間軸」(コミットメント)を明確化したことを指摘している。

 ここでキーになるのは、最後の「時間軸」(コミットメント)の明確化であろう。これについて西村副総裁は次のようなコメントをしている。

 「1%をピンポイントで明示しつつ、目指すという表現を用いて能動的に政策対応を進めていく姿勢を明確にしています。また、条件が充たされるまで継続を約束する政策として、実質的なゼロ金利政策に加えて金融資産の買入れ等を明記しています。」

 ここで注意すべきは「能動的な政策対応」と「実質的なゼロ金利政策に加えて金融資産の買入れ等を明記」であろう。能動的との表現により、明らかにこれまでの政策から大きく変化させてきたことが伺えるとともに、そのゴールに向かうための政策手段には、「金融資産の買入れ等」が使われるであろうことが示唆されている。

 そして西村副総裁は、2月の決定を受け、日銀の政策目標、政策運営ロジック、政策スタンスは変わったのかとの問いに答えを示した。

 物価の安定に対する基本的考え方は、「中長期的な物価安定の目途」の導入で変わった訳ではないとしている。ところが、これまでの理解では、物価の安定の実現を目指して(日銀が)能動的に行動している感じが伝わり難いといった問題を西村氏は指摘している。確かにそれは伝わってはいなかったと思うが、これは数値に縛られかねないインフレ・ターゲットの導入と捉えられないようにしていた日銀の姿勢も影響していたと思われる。

 しかし、1月のFRBによる政策変更にも背中を押される格好で、日銀は実質的なインフ目標導入を明確化させた。これについて、西村副総裁は「弾力的なインフレ目標と呼んでも、私には違和感はありません」として、日銀がインフレ目標政策に変更したことを認めている。

 これは「経済・物価に関するメイン・シナリオの実現をより確かなものとする観点から、日本銀行の政策意図を一層はっきりと伝える必要性が意識されたこと、また、そのような対応を取らない場合に目途の達成の遅れにもつながりかねないこと」が懸念されたことによると西村副総裁は指摘した、

 しかし、なぜこれまでにそのような議論はあまりなされず、今年に入り急に盛り上がってきたのか。そのあたりはFRBの動向、政治との絡みなどがあるとみられ、その理由としてはわかりにくさも感じる部分でもあった。

 ただし、西村副総裁は「理解から目途に替わったことで、2つの柱による政策運営まで変更された訳ではありません」とも、念のため釘を刺している。さらに副総裁は「追加緩和の可能性は高まったのか」というところにまで言及しており、かなり市場に配慮というか、27日の会合前にそんな発言しても良いのかという部分にも踏み込んでいた。

 日銀として今後も必要に応じて追加的な手段を講じていく姿勢にあることを示し、追加緩和の可能性をまず示唆するとともに、下記のような発言もあった。

 「日本経済の現状は、前向きの動きがみえてきたとは言え、世界経済を中心に不確実性は依然として大きいと考えています。また、2月と3月の政策変更が、経済・物価に関する人々の中長期的な期待にどのような影響が及ぶのかについても、無視できない不確実性があります。今後、こうしたリスク要因を十分に考慮に入れながら、しっかりと先行きの経済物価動向を点検し、適切な政策運営に努めて参りたいと思います。」

 はっきりとは示されているわけではないが(あたりまえか)、これを読む限り4月27日の追加緩和の可能性は極めて高いと思われる。不確実性という表現が2度出てくるが、少なくとも物価が急上昇するような不確実性は現状は考えられず、世界経済の低迷や2月のバレンタイン緩和効果による円高調整も一服してしまっている中、不確実性を意識するのならば、市場の期待の強まりに答える格好で、追加緩和に踏み切らざるを得ないものと考えられるのである。

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