- 2019年04月17日 11:01
落合陽一「2025年までに新しい転換点を示すのが僕らの役割」
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2019年2月13日、株式会社レッジは日本最大級のビジネスAIカンファレンス『THE AI 3rd』を開催。「AI時代の適者生存 ── 生まれ変わるために“今”すべきこと」をテーマに、業種や産業を跨いだAI、ディープラーニングの活用事例が業界のトップランナーにより語られました。
「多様性社会とAI駆動型課題解決」と題した落合 陽一氏の講演は、次の一言で幕を開けました。
――落合
「今日は、どのように研究を行い、それをどうやって社会実装することで世の中に出していくかについて話していきます」
「まず、日本が抱える課題を認識する必要がある」
世界人口が上昇する一方、日本の人口は減少傾向にあります。これは非常に危機的な状況であると、落合氏は強く指摘します。
――落合
「日本の人口減少は大きな問題です。たとえば、高齢者の方が何があったときにスマートフォンで助けを呼べる仕組みを作っても、動ける若者の数が足りなければ意味がありません。少子高齢化対策として、海外から移民を大量に受け入れるという選択肢もありますが、社会の側が負担するコストが高くなります。
そこで、俗にいうAIなりロボティクスなりを社会にはめ込むことで減少する労働力を補おうとするのは、当然の発想だと思います」
日本が抱える課題を解決するためには、「多様性が1つの戦略となる」と落合氏は言います。

「諸外国では、自動化やIoTデバイスを使った高齢化や身体的な問題の解決は、既に普通に行われています。
たとえばイギリスでは、病室にセンサーを導入して介護の負担を削減したり、iPadを活用して高齢者の社会参加を促す取り組みが行われています。オランダではテクノロジーの活用で、介護士は一人あたり40人の高齢者を担当している。一方、日本では一人あたり15人の計算で、約3倍の効率差があることになります。
その効率差を埋めるのが、画像認識や機械学習、センサーネットワークなどの技術です」
落合氏は、高齢化社会や身体的な問題に積極的に取り組んでいるのは、単純に日本が危機的状況にあるからだとし、次の言葉を放ちました。
「Social Issue in Japanがある──.」
まず、現在の日本には社会的課題があることを認識する。その危機に対して、どうアプローチしていくかが重要だという落合氏。講演は、課題の具体的な解決策へと進んでいきます。
「僕らは何ができるのか? どんな打つ手があるのか?」
――落合「2020年以降、画像認識や音声認識、移動体のロボティクスを制御する通信基盤が整備され、動画データの送信や遠隔医療の通信コストは下がっていきます。そうなった時に足りないのは、
- ツールを使うユーザーの考え方
- 主導者がユーザーの声を聞く機会
です。この2つを、なるべく社会全体で支援していく必要があります」
高齢化が進むと認知症の患者数も増えます。できないことが増えていく中で、できることをどのように拡張していくかを考える必要があると、落合氏は言います。1つ1つの課題を抽象化して考えた時に、テクノロジーで人間の認知能力や処理能力をどう補うかについてのヒントを、以下のように示してくれました。
- 目や耳、五感 → センサーで認識?
- 筋肉 → ディスプレイ、デバイスによる処理?
- 頭 → CPU、GPUによる処理?
- 会話 → テレプレゼンスによる処理?
――落合
「たとえば、高齢化によって足腰が衰えたことで、二足歩行よりも車椅子での移動がメインになる人も増えるでしょう。そうなった時に、次のような問題意識が生まれてくるはずです。
- どこまで自動化するのか
- どこまで遠隔操作で動かすのか
- モーションキャプチャをどこで使うのか
など、何が最適解なのかは、すべてを実装して、現場で動かして、現場の声を聞くしかない。それぞれを組み合わせて現実の問題に当てはめていくしかないんです」

「世の中にある課題を具体的なタスクに落としこむ。そのタスクに基づいた認識と、タスクに特化したデバイスが紐付いた時に、初めて問題を解決できます。
たとえ超高性能なAIを搭載したロボットが登場しても、問題は何も解決されないでしょう。今は快適さを追求することよりも、身近な課題に対してタスクを中心とした解決への取り組みを繰り返していくことが重要だと思っています」
落合氏は、2020年までに社会へどこまで社会にロボティクスを導入し、作業を自動化するべきか線引きをし、それを2030年までに実装する必要があると言います。
――落合
「2030年以降、高齢化と人口減少のペースが一定になった時、多様な能力が包摂される社会のあり方を考える必要があります。どうしたら100歳まで働き続けられるのか。介護する側とされる側を分けるのではなく、みんなが能力を活かして働くためには、どんなテクノロジーが必要か、といった発想に切り替えていく必要があると思います」



