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東大がついに本気を出した産学連携の中身

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日本の産学連携はなぜうまくいかないのか。原因のひとつは共同研究の規模の小ささだ。海外では数十億円規模の事例があるのに対し、日本では東京大学でも大半が300万円以下だ。五神真総長は「これまでの大学は本気の投資先になれていなかった。研究室レベルではなく、組織レベルで協働する必要がある」と指摘する――。

※本稿は、五神真『大学の未来地図』(ちくま新書)の一部を再編集したものです。

大学には最先端の知識と技術が集約されている

企業が未来へ投資しづらくなっている状況にあって、それを活性化させる機能を担うことができるのは大学です。だからこそ、大学は企業ともっと密に連携すべきだと思います。

なぜなら大学には最先端の知識と技術が集積されていますし、どうしても短期利益を重視せざるを得ない企業と違って、長期的なビジョンの構築を担うキャパシティがあるからです。また、学術研究には長い時間スケールを扱うものが多いので、企業の経営者が長期ビジョンを構築することに協力することもできるのです。

そのためには、大学側も産学連携のあり方を少し改善することが必要です。

東大では、民間企業と連携して年間1500件以上の共同研究を進めています。かなり多いと思われるかもしれませんが、事業規模でいうとその大半が300万円以下です(図表1)。一方、大企業が海外の大学と組んで共同研究を進める場合、一つのプロジェクトについて10億円、20億円の資金を用意するという話もよく聞きます。ところが東大との連携の場合、1件300万円以下の資金しか投じられないのはどうしてでしょうか。

ボトムアップの共同研究は規模が小さい


東京大学 五神真総長(撮影=岡田晃奈)

大学と企業の共同研究は、理系の場合、これまで次のような流れで行われてきました。

企業で開発上の課題が何か生じた場合、まずは社内での解決を試みます。研究開発部門で解決できないときに、「機械工学の○○大学○○研究室に頼んで解決してもらいましょう」という話になります。つまり大学は、トラブルを解決するための相談をしに行く場所として利用されてきたのです。

あるいは、新規採用分の学生を確保するため、大学の先生との関係をつないでおきたいから、共同研究の機会を持ちましょうといった、顔合わせ的な意味合いの提携もあります。

東大の場合、1500件以上ある産学連携のほとんどは、企業における個々の事業の担当者と個々の教員の関係から生まれるボトムアップの関係です。そのため、必然的に規模の小さな共同研究が多くなってしまうのです。

これは、企業に見る目がないということではありません。大型の共同研究がなかなか生まれない真の理由は、これまでの大学が、共同研究を進める相手として10億、20億という投資に値する「本気の投資先」になれていなかった点にあります。

知財が専門の弁護士を配置して組織的にサポート

これまで東大では、企業と共同研究を進めるにあたって契約書のひな型をいくつか用意し、それをベースに企業と契約を結んでいました。しかし、少し考えてみれば分かるように、契約書の内容はプロジェクトごとに大きく変わってきて当然です。

また、研究開発には特許がつきものです。企業と大学との共同研究で、かなりの数の特許を申請することがあります。ただ、これまで東大では、研究者に対して、特許の申請や、特許技術が有効に活用されるようにするためのサポートなどを、組織的に十分な形で展開することができていませんでした。

そこで、知的財産を専門とする弁護士を幹部職員として迎え入れ、企業がビジネス展開しやすい環境を整えることにしました。また、企業との共同研究では、これまでも共同出願の特許を申請するケースは多く見られました。しかし、研究者の素晴らしい研究成果については、共同研究が始まる前に単独で特許を取得しておくことも非常に重要です。そのための特許出願サポートも進めています。

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