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よくある日銀国債引受論の誤解について解説する

すべて、公債の発行については、日本銀行にこれを引き受けさせ、又、借入金の借入については、日本銀行からこれを借り入れてはならない。但し、特別の事由がある場合においては、国会の議決を経た金額の範囲内では、この限りでない。

財政法第5条

@ は、あるいは彼を取り巻く(おそらく人の好い)連中は、「禁じ手」であるはずの日銀による国債の引受は毎年行われているのだから、政府は同手段を使って資金調達しろと主張する。今日は彼らが理解していないと思われる二点について、なるべく簡潔に解説しよう。「毎年行われている」例外は現在、主に二つある。


日本銀行による公債の引受けは、財政法により原則として禁止されている(財政法第5条本文)が、政府の一時的な資金需要に対応するために発行される政府短期証券については、当該条項の適用を受けないと解されており、日本銀行法でも、日本銀行が政府短期証券の引受けを行うことができる旨の条項が設けられている(日本銀行法第34条第4号)。

政府短期証券の引受け

前述のとおり、財政法においては、日本銀行が公債を引き受けることは原則として禁じられているが、特別の事由がある場合において、国会の議決を経た金額の範囲で実施する引受けは、例外として許容されている(財政法第5条但書)。現在、この例外を定めた条項に基づいて国債の引受けを行っているのは、日本銀行が保有する国債のうち、償還期限が到来した国債等の借換えのための引受けのみである。

償還期限が到来した国債等の借換えのための引受け

短期と長期

どちらのケースも、引き受けているのは短期の国債である。馬鹿みたいな説明だが、ほんのちょっとの間だけ、借りる約束のことだ。他方で、我々が新聞で読むような文脈で出てくる「国債」は、能天気が「引き受けろ」と騒ぐそれは一般に、長期のそれを指す。馬鹿みたいな説明だが、何年にも渡って、借りていられる約束のことだ。前者が財源としては心許ないのは、すぐに返せと言われてしまう。こんなセコい引受しか行われないことと、「禁じ手」であることはもちろん、整合する方向だ。長く貸す*1ことは、相手を信用することを、ここでは政府に「信用を与える」ことを意味するわけだが、その点はとりあえず避けられているわけだ。


一時的と恒久的

どちらのケースも、できるだけ速やかに返されることになっている。要するに「もうちょっと貸しといて」は駄目というわけだ。カネに色はついていないので、来年また借りたら意味ねえだろとか、そういう鋭いツッコミをお持ちの方もいらっしゃるかもしれないが、こういうのはアレだ。細かく決めるとか、網羅的に書くとか、そういう高コストな野暮は配慮されていない。オトナの、阿吽の呼吸だ。真面目に説明するなら、一時的に在庫を引き受ける卸問屋みたいなもので、そもそも保有することが目的じゃないだろと。政府のタイミングと投資家のタイミングの調整役を、歴史的経緯もあって、日銀が買って出ていると思うと、わかりやすいかもしれない。


言い換えれば、政府が「助かった」と思うような、一見わかりにくいけれども、紙幣を使う我々に(国会での議決を省いて)負担を押しつけるような日銀引受とは、1)長期債を、2)恒久的に、引き受けさせるそれだ。あるいは今回は説明を省いたが、市場を経由せず「直接」やりとりすることによって価格*2をフェイントして、その無理っぷりを見えにくくすれば、さらに詐欺的である。現在そんなことは行われていないし、その兆候がすこしでも見えたのなら、我々は速やかにアクション*3を起こそう。簡単さ、国債を売るのだ。ヒャッハー

*1:そしてスワップでヘッジしない
*2:金利のことだ
*3:もちろん利益のために

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