- 2019年04月17日 12:46
消えゆく昭和「百景」がトレンド化する功罪とは フリート横田×都築響一×渡辺豪 特別鼎談
2/23人が思う「今、残しておくべき風景」とは?

横田:ところでみなさんそれぞれ、今興味をもっていること、やろうとしてることってあります?
渡辺:僕がここ数年思ってるのは「慰霊碑」ですね。古い建造物もいいんですが、その裏側には歴史的にダークな部分……このダークという言葉を使って正しいかどうかもわからないんですけど、人が亡くなられたりとか、そういう部分があって出し方を間違うと作り手として足を踏み外す可能性もあるんですけど、慰霊碑という切り取り方なら、亡くなった方への敬意も表せる。
そして昔の人たちは名前を永遠に残そうと思ってきっと石に記したと思うんですけど、意外にも50年くらいでそれが消えちゃったりしてるんですよ。そういうものを記録しておきたいと思っていますね。そしてそういう記録を強固に残せるのって、やっぱりネットしかないと思っています。
都築:確かに。それはぜひGoogle mapとかでマッピングして欲しいな。 国技館の脇のところにある被服廠跡とか、みんなが知らない場所はたくさんあるしね。あそこは関東大震災、東京大空襲で亡くなったものすごい数の人たちのための慰霊堂があるんです。でもほとんど知られていない。
僕が今ちょうどこれから取り掛かるところなのは、今年から来年ぐらいにかけて行われる再開発に関するものです。今から確実に“なくなってしまう場所”を、集中的に撮影しておこうかなと。店が1軒なくなるのとはわけが違う、街のブロックまるごとなくなるわけだから。壊すのは一瞬だし、それを急いで記録していこうと思っています。『昭和トワイライト百景』に出てくる、東宝ツインタワービルもそうですよね?
横田:そうです、あのビル自体はまだですけど、周辺はすでに進んでますね。
都築:そうなんだよね。ビルの地下に昔を思わせるディスコとかあって、いい場所なんだけど。
横田:これまではヤミ市跡の飲み屋街などを歩いていましたけど、今取材を進めてるのは、そういうものを作った人たちの背中を追うことですね。たとえば“テキヤ”さんです。
古い飲み屋街って彼らが作ったものが多いんですけど、建物や権利関係の視点から書いたものはあるものの、当事者への聞き取りベースで書いたものはそうないので、やりたいと思っています。もう時間的に限界はあると思いますけど……。あと在日外国人、とくに在日韓国・朝鮮人の人たちが横丁づくりの歴史に大きく関与してたんですね。そこも自分の目線で書いてみたいと思ってます。
都築:それはすごくいいですね。
横田:秋ぐらいにもその本は出る予定なんで、今鋭意取材中なんですけど。がんばります。

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プロフィール
都築響一(つづき きょういち):編集者、写真家、ジャーナリスト。上智大学在学中から現代美術などの分野でライター活動を開始。「POPEYE」「BRUTUS」誌などで雑誌編集者として活動。1998年、『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』(筑摩書房)で第23回木村伊兵衛写真賞を受賞。数々の書籍を手がけるほか、2012年から会員制メールマガジン「ROADSIDERS' weekly」(www.roadsiders.com)を配信中。
・Twitter:@kyoichi_tsuzuki
渡辺豪(わたなべ ごう):「カストリ出版」代表、「カストリ書房」店主、遊郭家。IT企業でデザイナーなどを務めた後、2015年に遊郭に関する書籍を発行する「カストリ出版」を設立。2016年には遊郭、色町、盛り場等の出版物を中心に扱う書店「カストリ書房」をオープン。
・カストリ書房 東京都台東区千束4-11-12
・Twitter:@yuukakubu
フリート横田(ふりーと よこた):文筆家、路地徘徊家。出版社勤務ののち、タウン誌の編集長を経て独立、編集集団「株式会社フリート」を立ち上げ、代表取締役を務める。戦後~高度成長期の路地、酒場、古老の昔話を求めて徘徊。昭和や酒場にまつわるコラムや連載記事を執筆している。著書に『東京ノスタルジック百景』(世界文化社)、『東京ヤミ市酒場 飲んで・歩いて・聴いてきた。』(京阪神エルマガジン社)
・Twitter:@fleetyokota



