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東大入学式の祝辞から考える「誰が弱者なのか」ということ

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先日行われた東京大学入学式での上野千鶴子さんの祝辞がとても話題になっています。

内容はもうすでにたくさんの人が読まれているかと思いますが、世の中には生まれ持った性別や環境を理由に頑張りが報われない人がいること、今後東大での学びを、また東大卒というある種の権力を、ぜひその人達のために使ってほしいということなどをお話されました。

共同通信社

東大といえば言うまでもなく日本最難関の最高学府であり、この日入学式に集まった子どもたちの中からも、ゆくゆくは少なからず政治家や、官僚や、経営者など、人の上に立つ人材が多く輩出されるのでしょう。今後大きな力を持ち得る彼らに、謙虚さを持つことと、またその力を自分のためだけでなく、他者のために使うことの必要性を説いたこの祝辞は、本当に素晴らしい内容だと思いました。

けれども、同時に少し気になったこともありました。それは、この祝辞を生徒たち……特に男子学生たちは、一体どんな気持ちで受け止めたのだろう?ということです。

祝辞の中では、その場にいる新入生たちがいかに恵まれた環境にあるかということ、今この場にいるのは、努力でなく環境の賜物であるということが語られました。特に、男子学生に向けてその部分はことさら強調され、東大合格に至るこれまでのみならず、今後も東大ブランドによってモテる人生が約束されているかのように語られました。

これで思い出したのがこの記事でした。

「東大を舐めている全ての人達へ」
https://note.mu/tonoike0604/n/n611642c5f61c

現役東大生だという男性が書いたこの記事には、親に素手や定規で殴られながら勉強し挑んだ中学受験のこと、1年に4000時間勉強しても不合格となった最初の東大受験のことなど、彼が東大生になるまでの過酷な道のりが異様な熱量で綴られています。

“ただ、知ってほしいのです。
お前らが思っているよりも東大に入ることは簡単じゃないぞ、と。才能はいらないかもしれないが、そこに必要な努力は想像してるような努力とはもはや性質を異にする執念のようなものだ、と。
そして、その執念を持っていても、破れていく者が多く存在しているのが東大受験だぞ、と。”
“「東大は簡単」「東大受けてみます!どこまでできるかな!」とか言ってるのを見ると、思うわけですよ。
なんかうるせえコバエが飛んでるわ笑
と。
お前ら東大について云々言う前に自分の人生についてもうちょいマシな方向にすることを考えられなかったのかよ笑
と。
おめえら人生チュッパチャップスかよ。ペロペロ舐めやがって。まあご自分の人生をチュッパチャップスにしてもらうのは構わないんですが、その流れで東大まで一緒にチュッパチャップスにされているわけです。”
“知ってもらいたいのです。どれだけの人間が東大合格のために努力をし、どれだけの金額をかけ、そしてどれだけの人間が破れてきたのか。その執念を、恨みを、無念を、達成したときの開放感を。”

一部の天才はさておき、普通の人は血の滲むような努力をしてなんとか入れる大学なのだ、だから“舐めるな”、と彼は世の中に伝えるために、この記事を書いたといいます。つまり、彼の目に映る社会は東大生を舐めてかかっている。東大生の経験した努力も、能力も、全く適正に評価されていない、と彼は感じているのです。

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