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【読書感想】岩盤規制 ~誰が成長を阻むのか~

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岩盤規制 ~誰が成長を阻むのか~ (新潮新書)
作者: 原英史
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 2019/03/14
メディア: 新書
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Kindle版もあります。

岩盤規制―誰が成長を阻むのか―(新潮新書)
作者: 原英史
出版社/メーカー: 新潮社
発売日: 2019/03/22
メディア: Kindle版
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内容(「BOOK」データベースより)
数十年の長きにわたって、この国をがんじがらめにしてきた岩盤規制。一九八〇年代の土光臨調以来、昨今の獣医学部新設問題まで、それを打ち砕く試みは繰り返されてきたが、道はまだ半ばだ。なぜ岩盤規制は生まれ、どのように維持され、今後の日本経済の浮沈にどうかかわるのか。そして、官僚とマスコミはこの旧弊をどう支えたのか。現場の暗闘を知るトップブレーンが、改革の現状と未来をわかりやすく指し示す。

 「岩盤規制」というのは、特定の業界内の利権を守るために、省庁(役所)や業界団体などが改革にそろって強く反対し、緩和や撤廃が容易にできない規制のことなのです。

 利用者、消費者にとってはメリットが大きい改革が認められなかったり、業界全体の成長のための競争が阻害されたりするので、社会全体にとっては大きな問題になりがちなのですが、当事者たちが頑なに抵抗するために、なかなか変化がもたらされないのです。

「官僚主導」の弊害は、今も日本経済の発展を阻む桎梏となっている。

 規制改革を巡る役所の議論では、ときどき、びっくりするほど馬鹿馬鹿しい屁理屈がでてくる。

 例えば、医薬品のインターネット販売は長く禁止されてきた。2014年に一部解禁されたが、今も多くの品目や処方薬では禁止されたままだ。

 本も衣類も雑貨も食品も、多くのものはインターネットで買えるようになり利便性が高まった。まして医薬品の場合、具合の悪いときに必要になる。わざわざ店舗に出かけずに購入できれば、助かる人は多いはずだ。

 それなのに、なぜ禁止するのか? 規制を所管する厚生労働省に問うと、答えのキーワードは「対面」と「顔色」だ。つまり、薬局のカウンターで、薬剤師さんが対面で購入者の顔色をみて、症状などを確認しないといけないというのだ。

 顔色を一瞬みただけで副作用の危険性などを即座に察知できるスーパー薬剤師さんがどれだけ存在するのだろうか。少なくとも、世の中の薬剤師さんたちが皆そんな特殊能力を備えているとは思えない。しかも、本人以外が薬を買いに来ることだってある。本当に症状の確認が必要なら、顔色や勘に頼るより、IT技術を使ってもっと科学的なやり方もできる。

 ちょっと考えれば、厚生労働省の説明が屁理屈に過ぎないことは明らかだ。なぜそんな屁理屈をいっているかというと、昔からある薬局にとって、インターネット販売の出現は不都合だからだ。そして、薬局を支持基盤とする政治家はその利益を守る必要がある。厚生労働省は関係業界と関係議員に配慮することで、最大限権力を発揮できる。業界・議員・官僚の結託した利権構造が、こんな屁理屈を生んでいるのだ。

 本書の中でまたお話するが、こうした事例はほかにもいくつもある。

 クリーニング店では、宅配ボックスを例外的ケースでしか設置できない。理由は同様に「対面」と「顔色」で、病原菌の感染を防ぐため、高熱のありそうな人が持ってきた衣類はカウンターでより分けるためという理屈だ。

 薬のインターネット販売にしても、クリーニング店の宅配ボックスへの制限にしても、この「理由」を読むと、「こんなことを厚生労働省の人たちは、本気で信じているとは思えない」のです。

 なかには良心的、あるいは有能な薬剤師さんがいて、患者さんの顔色をみて「病院に行ったほうがいいですよ」とアドバイスしてくれるのかもしれませんが、実際には「飲む点滴ってご存知ですか?」とか、別のものまで売りつけられそうになることもあります。

 もしかしたら、ガソリンスタンドをセルフにするほうが危険ではないか、と思うくらいです。

 その一方で、医療関係者としては、「薬が好きに買える世の中というのは、便利ではあるけれど、ちょっと怖いな」とも思うんですよ。

 使い方によっては、悪用できる薬というのはたくさんあるし、対面販売によって、危険な薬や異常な量の購入に関しては、多少のハードルにはなっていると思うので。

 とはいえ、全体として考えると、インターネットで薬が買えるメリットのほうが大きいのではないか、という気はします。

 現状だと、本当に困っているときに、インターネットで買った薬をすぐに届けてもらえる、という環境は、東京近郊のごく一部の地域だけであり、ネット販売の影響で地方の薬局やドラッグストアが壊滅してしまえば、すぐに薬が必要なときには軽症でも病院を受診するしかない、という事態に陥る可能性もあります。

 厚生労働省は、業界の既得権益を守ろうとしているのも事実なのでしょうし、ここまでの日本の経済的な停滞を考えると、「競争の原理」が適正に働いていないのが、日本全体としての経済成長を妨げているとも思われるのですが。

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