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- 2019年04月14日 11:25
秋吉 健のArcaic Singularity:扇情のアマゾニスト。突然のAmazonプライム会費値上げからネット通販やオンラインサービスとの正しい付き合い方を考える【コラム】
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筆者の下へ4月12日未明に訃報(?)が舞い込んできました。総合オンラインストア「Amazon.co.jp」( https://www.amazon.co.jp )の有料会員サービス「Amazonプライム」の会費が値上げされるというものです。 筆者は自他ともに認める重度のAmazon.co.jp(以下、Amazon)利用者であり、自称「アマゾニスト」というほどにAmazonのオンラインサービスを愛用しています。特にネット通販サービスへの依存度はかなり高く、最も多かった時期では年間300回、合計150万円分も利用していたことすらあります。 今回の会費値上げについてはこちらの記事に詳しいですが、年会費が従来の3,900円から4,900円に、月会費では400円から500円にそれぞれ値上げされ、年間では1,000円および1,200円の値上げとなります(金額は税込)。 現在のAmazonのサービスはネット通販のみならず電子書籍や音楽・映像配信、ストレージサービス、定期購入サービスとさまざまに幅を広げており、年間4,900円でも十分に安いと感じられるものですが、しかし突然の値上げだっただけに少々面食らったのは事実です。ましてや筆者ほど利用しない人々にとっては、あまり歓迎されない流れであろうことは十分に想像がつきます。 感性の原点からテクノロジーの特異点を俯瞰する「Arcaic Singularity」。今回はAmazonプライム会費の値上げから、ネット通販およびオンラインサービスのあり方や利用のポイントなどを考察します。

■それでも日本はまだまだ安い?
Amazonプライム会費の値上げ自体は突然でしたが、そろそろ値上げされるのではないか、という憶測はかなり以前から飛んでいました。 米国AmazonにおけるAmazonプライム会費は過去に何度も値上げされており、直近では2018年5月に年会費が99ドルから119ドルへと引き上げられています。日本円にして13,000円以上にもなる年会費の高さに驚くばかりですが、日本のアマゾンジャパンは年会費(および月会費)を過去11年間据え置いてきたこともあり、破格の安さを維持していました。 物価や給与水準の差などもあり単純な比較はできませんが、値上げ後でもまだ米国Amazonの半額以下という安さを維持している点は良心的とも考えられます。
一方で、その低価格を維持してきたことで少なからずサービスの質の低下があったことも事実です。 それまでのネット通販の世界では、送料を請求した上で注文した商品が発送されるのは1~3日後、到着は3~5日後、というのが当たり前でした。そこにAmazonは送料無料で即日~翌日配達という魔法のようなサービスを導入したのです。 この圧倒的な利便性から瞬く間に日本中に広がったAmazonは、2016年~2017年あたりにはその利用者数が増えすぎたことによる配送遅延や、理不尽とも言える低価格での宅配運賃契約なども重なり、配送業者からは悲鳴に近い内情の暴露が相次ぎました。 そのような状況を受けてAmazonとの契約を打ち切る宅配業者も現れ、Amazonでは配送業者の変更などが行われましたが、それによってサービスの質がさらに低下したと利用者からのクレームも増えていました。サービスの品質維持および向上のためにも、Amazonプライム会費の値上げは不可避であったのでしょう。
