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南極大陸の氷河が急速融解、緊急調査開始ー主任研究員が語る、不確実な未来

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ナサニエル・パーマー号に乗り組む科学者らと南極での海洋調査計画について語る主任研究員ロブ・ラーター(左より3人目) (Linda Welzenbach/Rice University)

気候変動を研究している科学者たちは、南極大陸はとても安定していると考えてきた。しかし、急速に進む氷河の融解に関して、5年に渡る緊急調査プロジェクトがスタートした。本プロジェクトの主任研究員ロブ・ラーターは「南極大陸、特にスウェイツ氷河で今起きていることは、世界にとってとても重要なことだ。スウェイツ氷河が崩壊し始めると、西南極の氷床全体が問題に巻き込まれる可能性がある」と語る。世界の沿岸部の各都市に破滅的な被害をもたらすだろうとされる気候変動による海面上昇、未来は予測できるのか?

本稿は、南極で気候変動がスウェイツ氷河に与える影響を調査しているジェフ・グッデルによる一連の特集記事の第8弾だ。

ロブ・ラーターが初めて南極大陸を訪れたのは23歳の時。公衆衛生監査官の息子だったラーターは、生まれ故郷である英国のウエスト・ミッドランズから船で南へ向かった。「初めて南極大陸を目にした時は、”何と荒涼な場所だろう”と思った」と彼は振り返る。英国南極調査所の地球物理学者となったラーターは、南極大陸の過去、現在、未来について地球上の誰よりも知り尽くしている人間だろう。

筆者がラーターと会ったのは3週間前。ナサニエル・パーマー号の船上だった。同船舶は、西南極で2か月に渡りスウェイツ氷河崩壊のリスクについて調査を行う砕氷・調査船だ。スウェイツ氷河は、地球の気候システムにおける最も重要な転換点のひとつといえる。同調査は、米国立科学財団と英国の自然環境研究評議会との5年に渡る共同プロジェクトの一部だ。物腰やわらかながら説得力を持ったラーターは自らを、同調査プロジェクトの主任研究員と自己紹介した。彼はアザラシへのタグ付けから未知の海底の地図作成まで、調査船で行われる全ての実験の管理を任されている。

私は、大きなうねりで揺れるパーマー号の3階にあるラーターのキャビン内で、彼にインタビューした。チリから南極大陸への長い航海に加え、船上での医療的な緊急事態もあり、スウェイツ氷河へ到達するまでにはまだ数日あった。ラーターは、南極の氷に覆われた謎解きに取り掛かりたくてうずうずしていた。「本当のストーリーはひとつだけ。科学者としての我々の仕事は、それを解き明かすことだ」とインタビューの朝、彼は語った。

ーローリングストーン誌:今回の航海は、スウェイツ氷河の変化を研究するための5年に渡る緊急調査プロジェクトのスタートにあたります。スウェイツ氷河の研究がなぜ緊急なのでしょうか?

ロブ・ラーター:南極大陸、特にスウェイツ氷河で今起きていることは、世界にとってとても重要だ。最近まで、気候変動が氷河に与える影響を研究している科学者は、南極大陸はとても安定していると考えてきた。しかし1990年代の終わりに、彼らは自分たちの考えが誤っていたことに気づいた。気候変動に対して最も早く変化が見られるのが、西南極の外れに位置するスウェイツ氷河だ。同氷河は西南極の氷床の”急所”と呼ばれてきたが、それはスウェイツ氷河を上手く言い表している。西南極にあるとても広大で脆い流域から流れ出している。スウェイツ氷河が崩壊し始めると、西南極の氷床全体が問題に巻き込まれる可能性がある。

ー西南極の氷には、海面を10フィート(約3m)上昇させるだけの水量を擁しているとされています。

その通り。西南極全体ではその数字になる。しかし、西南極が崩壊する条件に関しては未だ明らかになっていない。崩壊にどれほど近づいているか、或いはどれだけ早く起きる可能性があるか、明確に把握できていないのだ。

ー今回の調査航海を通じて、あなたが回答したいと思う最も重要な質問を2、3挙げていただけますか?

スウェイツ氷河沖合の海底における、信頼性が高くかつ正確な状況を把握したい。状況把握することで、過去数世紀以上に渡って安定してきた氷河や、浅瀬に留まるより広大な棚氷の存在するあらゆる場所の状況を明らかにできるだろう。また、氷河の延長で海に浮かぶ棚氷の下の空洞に、温かく高密度の水が流れ込む深い運河の存在も示してくれると思う。さらに、スウェイツ氷河の過去の動きを示す堆積物コアを、超高分解能で分析したいと思っている。特に興味を持っているのは、どれほどの量の温かい水がスウェイツ氷河周辺の大陸棚へと流れ込んだかを、計器による観測が始まる以前の数十年、数世紀単位で把握することだ。

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