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日本の経営者の小者化

最近、日本の経営者が小者化したと思っている。少し表現を変えれば、サラリーマン化している。大事業を起こした、もしくは経営を大転換させた経営者が希少になっている。

もちろん、一代で企業を上場させた者もいるのだが、その企業が日本を牽引する事例は稀有である。ここで数えはしないが、10指に満たないだろう。残りは、起業したとしても小者に留まっているか、極論すれば胡散臭い。

その日本の10指に満たない企業だが、では世界を牽引しているのかといえば、残念ながら必ずしもそうではない。アメリカの物真似か、先端を走る企業に八艘飛びしているかだと思えて仕方ない。

日本企業で世界を牽引できているのはニッチな分野の企業である。特殊な製品、部品、素材のメーカーである。これらの企業の活躍を新聞は強調して書いている。喜ばしいことに違いないものの、あえて批判的に書けば、軽量級のチャンピオンにすぎず、重量級では決してない。

裏を返せば、かつて日本を代表し、世界に名を馳せた企業、すなわち重量級で活躍した企業の影が薄くなっている。何故なのか。経営トップが優秀なサラリーマンだからだとしか思えない。

大企業では、経営のトップは「良い子」もしくは「優等生」として育ってきた。たまに反抗もするのだろうが、大きく埒を超えることはない。二歩も三歩も埒を越えてしまえば、村八分になり、追放される。日本社会として、そんな追放された「不良」を受け入れる風習もない。だから、サラリーマンがサラリーマンとして生きるためには、適当に反抗する程度が関の山である。

「良い子」や「優等生」には独創性が欠ける。「良い子」や「優等生」とは何かと問えば、「上司の意向をいち早く察知し、発言、行動する者」だからである。

よく言われることだが、欧米という手本があった時代には、「良い子」や「優等生」が勝ち残り得た。欧米にキャッチアップしてしまえば、独創性が必要になる。残念ながら、日本企業はそういう人材を育ててこなかったし、そういう人材の発言や行動を前向きに受け止め、活かす文化に乏しかった。

1990年に始まったバブル崩壊と、その後の企業業績の低迷が、ますます独創性を毛嫌いさせたと考えていい。独創性を活かすことは、企業にとって一種の「遊び」であり、コストがかかる。業績の低迷により、「遊び」を許す余裕を失ってしまったのである。

好例が島津製作所の田中耕一氏だろう。ノーベル賞を受けるまで、何人が田中氏に注目していただろうか。

もう1つの事例が、日経新聞の看板コラム「私の履歴書」が、最近とみにつまらないことである。サラリーマンしてトップラ上り詰めた経営者の事例が多すぎる。「それで、どうした」とつい質問したくなることが多い。登場する経営者が同年齢になりつつあるから、余計にそうなのかもしれないが。

いずれにせよ、サラリーマン的経営を大転換しないかぎり、ヘビー級で活躍する日本企業は登場しないだろう。企業業績に多少の余裕の出てきた今こそ、「遊び」を拡大したらいいのにと思うのだが、優秀なサラリーマンで固まった大企業にどこまで可能だろうか。

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