- 2019年04月13日 18:19
実売3000部の『シリウス』作品が単行本で100万部以上増刷がかかっているマンガ界の事情
2/2デジタルと紙の売れ方、そして海外でも…
メジャー誌発の作品でなくても大ヒットしてしまうというのは、ヒットを生み出すのにネットが大きな役割を果たしていることと関係があると思われるが、紙とデジタルとでヒットマンガがどんなふうに市場を拡大していくかというのも興味深い。
「『転生したらスライムだった件』は紙も電子も非常によく売れましたが、『はたらく細胞』は紙に比べて電子は伸ばしきれませんでした。作品や内容による読まれ方の違いはあると思います」(同)
『月刊少年シリウス』からヒットが次々と飛び出していった経緯に、「ニコニコ静画」内の「水曜日のシリウス」というサイトが関わっていたことも知られている。
「『月刊少年シリウス』の異世界系の作品は、ニコニコ静画と相性が良いのでしょうね。相性の良いところで話題になると大きく拡散していきます。昔は雑誌がその役割を担っていたのですが、デジタルコミックの拡大でそのあたりは大きく変わりつつあると思います」(同)
もうひとつ、このところ注目されているのは、『進撃の巨人』など日本で大ヒットしたマンガが海外でも大きな売れ行きを示していることだ。『月刊シリウス』発の作品も海外で売れているというから、日本でのマンガの売れ方は、いまや国際標準となりつつあるらしい。最近はBL(ボーイズラブ)というジャンルが、そのまま海外でも市場を獲得し、BLというジャンル名で通用するという。
デジタル化によって紙の本に伴っていた流通上の問題などが乗り越えられたことも、国際化の大きな要因だと思われる。
「ライツについて言うと、4年前と比べると売り上げが約3倍に伸びています。大きく伸びた時期が、ちょうど紙からデジタルにシフトした時期と一致しています。我々の取引先も出版社以外のところが増えています」
そう語るのは講談社ライツ・メディアビジネス局国際ライツ事業部の金子義雄部長だ。
「『進撃の巨人』と並んで海外で人気の高いのが『FAIRY TAIL』です。『週刊少年マガジン』での連載は昨年終了しましたが、海外だとまだアニメが放送されているし、人気は衰えていません。
その作者である真島ヒロ先生の次の連載『EDENS ZERO』が現在、『週刊少年マガジン』で連載されていて人気を博していますが、この作品については日本と同じタイミングで海外でも8つの地域でデジタル版の連載をするという企画を行いました。我々はそれをサイマル連載と呼んでいるのですが、紙とデジタルで海外でもリアルタイムで作品が読まれていく時代になっています。
我々も海外の取引先にはデジタルで発売と同時に見本を提供しており、連載が始まって3回目くらいには、ぜひやらせてほしいという申し出が海外から入ってきます。英語訳についてはこちらでデジタル版を作って配信する作品もあります」
マンガの取引先としては国別に見るとフランスが一番、次いでアメリカだという。タイトルでいうと上位の2作品に次いで『カードキャプターさくら』『転生したらスライムだった件』『はたらく細胞』などが伸びているという。最近は、日本で人気が出ると時間をおかずに海外でも売れるというようになっているというのだ。
このところ映画やドラマでもマンガ原作が多く、映画会社のプロデューサーは、人気連載が始まると3回目くらいで版権をとりに動くと言われるが、海外のマンガコンテンツに関わっている人たちも今や同じように動く時代なのだ。
日本のマンガがいまや世界で評価されるコンテンツになっているのは知られているが、デジタル化によって、その動きは加速されつつあるようなのだ。マンガ市場がいま、大きな変貌を遂げつつあるのは間違いないと言えるだろう。
月刊『創』5・6月号「マンガ・アニメ市場の変貌」
※Yahoo!ニュースからの転載




