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原発回帰狙う原子力業界/低炭素押し出す 信頼回復の議論なし


9、10の両日、東京都内で開かれた原子力産業の業界団体、日本原子力産業協会(原産協会)の年次大会。原発輸出をはじめ原発推進路線が行き詰まりを見せている中で、「低炭素電源としての原子力」などを理由に原発回帰をねらいます。

原産協会の今井敬会長(経団連名誉会長)は所信表明で、「二酸化炭素を排出しない原子力の活用は必要不可欠だ」と述べ、原発を地球温暖化抑制に優れた電源だと強調。再稼働が思惑通り進まない状況に対し、再稼働が1基もないBWR(沸騰水型原子炉)などの早期再稼働と運転期間延長の議論を求めました。

さらに安倍政権のエネルギー基本計画にある2030年の原発発電比率の目標を達成するために、「今後10年程度で30基程度稼働させる必要がある」「50年を見据えると早期に新増設・リプレース(建て替え)が進むことを期待する」と述べ、原発に固執する方向を訴えました。

しかし、世界各国で原発はコストが高く、競争力を失っています。それは報告者の発言にもあらわれました。

「低炭素電源としての原子力の役割」をテーマにしたパネル討論では、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)のテルマ・クルーグ副議長が基調講演。昨年10月に公表されたIPCCの特別報告書「1・5度の地球温暖化」で原子力の役割に触れているとしつつ、「原発には障壁とリスクがある」と指摘。世界の発電量における原発の比率が下がってきているとして、原発には重大な技術的リスクがあり、政府の支援なしでは「経済的な魅力はない」と述べました。

別のパネル討論でも経済協力開発機構原子力機関(OECD/NEA)のアンリ・パイレール原子力技術開発・経済部門副部長が、原発の電源比率が下がっているのは再エネといった代替電源のためだと同様の指摘をしていました。

欧州の原子力産業界の代弁者という欧州原子力産業協会のイヴ・デバゼイユ事務局長は、世論の支持がなければ、気候変動に関するあらゆる政策に原子力を考慮することなどできないと強調しました。

同じパネル討論で別の報告者からは「再生可能エネルギーの大量導入時代に適合した原発の役割のあり方の再検討が必要」「高レベル放射性廃棄物の問題が進まない中で、原発の新増設は説得力を持たない」などの意見がありました。

討論の司会をした山地憲治・地球環境産業技術研究機構理事・研究所長は、原発はリスクが高い投資なので、米国や英国の原発延命策の仕組みがないと原発の新増設は到底できないと述べた上で、原発をめぐって「一番難しいのは社会の信頼。最大の難関でしょう」などと結びました。

しかし、社会の信頼回復について議論すらありませんでした。

 (「原発」取材班)

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