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焦点:トルコ、与党の主要市長選敗北で構造改革の期待後退


[イスタンブール 8日 ロイター] - トルコは3月末に行われた主要2都市の市長選でエルドアン大統領が率いる与党・公正発展党(AKP)が敗北し、政府が国民に痛みを強いる経済構造改革の導入に踏み込むという投資家の期待は萎んでしまった。

イスラムの伝統を重視するAKPは2002年から国政を牛耳っているが、先月末の統一地方選時に行われた首都アンカラと経済拠点イスタンブールの2都市の市長選で敗北を喫した。AKPは2都市の投票について再集計を求めている。

エルドアン氏の義理の息子であるアルバイラク財務相は今週中にも経済再生に向けた構造改革を発表する見通しで、エルドアン氏も選挙戦終盤に経済が抱える問題を重視する姿勢を示していた。

しかし与党の敗北で包括的改革プランが打ち出される公算は小さくなり、AKPは目先の景気刺激に走ってトルコ経済の根深い脆弱性に対処しないばかりか問題を悪化させる恐れすらある、とアナリストは危惧している。

クレディ・アグリコルのシニア新興市場ストラテジスト、ギヨーム・トレスカ氏は「AKPの支持層は成長促進的な政策や財政による景気刺激、インフレの抑制などを強化するよう望んでいる。いずれも今回の選挙前に進めていた政策だが、(エルドアン氏が)人気を保ちたいならこうした政策を継続せざるを得ない。具体的な改革は見込めず、口先だけに終わるだろう」と述べた。

トルコ経済の問題の核心は、海外から流入する低コストの資金に依存する体質にある。通貨リラがいったん急落すると企業は負債が返済できなくなり、債務不履行や経営破綻が連鎖的に広がった。

昨年の景気後退突入後にリラは落ち着き、物価上昇率も15年ぶりの高い伸びがやや鈍化している。

しかし一連の対応策は安い価格で生鮮品を提供する直売所の設置や国内銀行にロンドン市場でリラの取引に応じないよう命じるなどいずれも急場しのぎで、政府が為替相場の自由な変動や中央銀行の政策への不介入を言明しないことに投資家は懸念を強めている。

ペンシルベニア大の教授で元トルコ中銀総裁のブラント・グルテキン氏は「エルドアン氏は政治的な本能として生き残ろうとしているように見える。政府に長期的な目標があるとは思えない。今後トルコ経済の動向を常に、長らく動向を見守っていく必要がある」と述べた。

アルバイラク財務相は改革案について、幅広い問題に対処すると語るのみで具体的な内容を明らかにしていない。

一方、ラボバンクの新興国市場為替ストラテジスト、ピョートル・マティス氏は「市場は明確なスケジュールを伴った経済の不均衡対処策を期待している」と指摘。ムーディーズは、昨年8月に引き下げたトルコの今後の格付けにとっては、改革の「信頼性と効果」が鍵を握ると表明している。

投資家やエコノミストによると、財務相は企業の事業再編や不良債権などの問題に取り組む銀行の資本増強策を打ち出すことが不可欠。銀行が抱える不良債権は年内に2倍以上に膨らむ見通しとなっているからだ。

また自動車や繊維など輸出競争力を持つ産業を後押しして経常収支赤字を抑え、投機的な海外資金への頼る経済構造から脱却すべきだとの声が出ている。

コチ大学のセルバ・デミラルプ教授は「適切な職業訓練や、適切な産業セクターへの適切な補助金提供が必須だ」と強調。ただし改革には時間がかかり、生産構造の変革は失業を生むため、それなりの代償を支払わなければならないと警告する。

しかし景気後退の長期化を歓迎しないエルドアン氏や一般国民にとって、こうした改革は受け入れ難いだろう。失業率は既に13%を超えている。

エルドアン氏はトルコに国際通貨基金(IMF)の手助けは不要と繰り返しているが、ラボバンクのマティス氏は、IMFがトルコの改革を監督し、投資家の信認を回復するのが理想的だとの見方を示した

(Ali Kucukgocmen記者、Jonathan Spicer記者)

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