いまアメリカで女性の着るもの、中でもヨガウエアとして人気のレギンスについて論争が起きています。きっかけはぴったりした女性のレギンス姿が4人の息子の目の毒なので女子大生にレギンスの着用をやめてほしいという母親の嘆願。
これに対して女性の自由を奪っているという反発もありますが、心地よいレギンスは普段着やオフィスウエアとしてすっかり市民権を得て、ルルレモンなどのヨガウエア専門店の売り上げが伸びているほか、レギンスを意識したストレッチジーンズの販売拡大によりLevi’sは株式上場にこぎつけたという報道もあります。
New York Timesは、It’s Possible Leggings Are the Future. Deal With It(レギンスこそ未来を象徴するものかも。その覚悟を持て)の中で、先月、4人の息子の母親であるMaryann Whiteが女子大生に対してレギンスを着用しないよう、中西部インディアナ州のノートルダム大学と近くの女子大の学内新聞に呼び掛けたことを伝えています。
母親はレギンス姿の女性を見ると男性は行動を抑えられないとしていますが、女性の側に責任があるような示唆や洋服を検閲するような要請に反発が広がりました。むしろ、全米の女性が支持のためレギンスをはいた姿をSNSで投稿。
ミニスカートやジーンズと同様にカルチャーになっているとして、女性の体と衣服に関心が高まっているとしています。
レギンスは、カジュアルフライデーをきっかけに広がり、最近はヨガなど健康志向の高い人の間で定着しているだけでなく、若い世代ではジーンズと同じくらい、何も考えずにはくものだということです。
ヨガウエア専門店のルルレモンやジーンズメーカーのLevi’sでストレッチ素材の販売が伸びていることを踏まえると「レギンスは当面なくならない。ノートルダム大学の一件で広がった女性の反発は、偶然ではなく前兆と見るべきだろう」と締めくくっています。
WSJはルルレモンが直近の決算で売上高が増加し、同じ店舗での比較で16%伸び、株価を押し上げたと報じています。
カナダ発祥のルルレモンは女性向けのレギンスなど「アスレジャー(アスレチック+レジャー)」の先駆者で最近は男性ものにも進出。男性向けが中心のナイキの市場を侵食し、決算が市場予想を下回ったナイキとの違いが際立っているとしています。
Forbesは、先月、株式市場に再上場したLevi Strausについて、女性ものの売り上げが29%伸びており、2015年に履き心地のよい、ストレッチ素材のレギンスふうジーンズを販売するなど抜本的に改革したことが背景だと解説しています。
これはLululemonやAthletaといったアスレジャー企業のレギンスがジーンズ市場を侵食していたためで、逆にそこに活路を見出したということです。