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安っぽいデザインの紙幣のすすめ


2024年度より政府紙幣のデザインが変わるということで、財務省から新デザインが発表された。

それを見た人からは、安っぽいとか違和感があるとかの感想が出てきていて、自分も全く同意だ。特に、メインに漢数字を使わずに、ゴシック体の英数字を使ったところは、さすがにどうかと思う。もちろんメインに漢数字を使わないというのは時代の流れということもあるのだろうが。それにしても、もう少しなんとか威厳があるデザインにはならなかったものか。

新一万円札のデザインに起用された渋沢栄一に関しては、もちろんその日本資本主義における輝かしい業績は、日本の最高額政府紙幣を飾るにはふさわしいものといえるのだろう。

しかし、その鮮明にデザインされた渋沢の容貌は、新橋駅あたりで酩酊のまま明石家さんまのバラエティ番組の街頭インタビューに出てくる管理職サラリーマンの風情を感じさせるようなオッサン丸出しのものであり、とても威厳を感じさせるものではなく、これではむしろ、日出る国の金融の信用供給を棄損するものではないかと一抹の不安すら感じてしまうのである。髪型もチェアマン毛沢東である。もう少し伸ばせば金正恩に近づくだろう。これでよいのだろうか。

さてさて。

しかし、このデザインを主管した財務省としては、むしろ新しい時代の貨幣は、安っぽくて愛着もなく、立派に感じるデザインにしないのが狙いだったのかもしれない。

もちろんこんなことは陰謀論めいた話ではあるのだが、いや、むしろそれくらいはやってほしい、ということである。むしろ安っぽくて、手離れがよく、それ自体に価値を感じさせないデザインの紙幣を流通させようではないか。

どういうことか。

通貨が流通しない(消費しない)というのが、この20年の日本経済の最大の問題点であった。通貨が強すぎるのである。その原因はもちろん様々なものがあるだろう。バブル崩壊以後の事態に政府のマネー政策が後手後手をとってきたこともあるだろうし、少子高齢化による消費の減退や、アジア圏の著しい発展に日本の輸出産業が停滞しているという、日本社会の構造的な問題もあるだろう。

おそらくその問題のひとつのうちに将来性の不安により、「モノの将来的な価値が信じられない=お金はつかわないほうがよい」というネガティブな消費マインドもあるはずである。逆にいえば通貨の価値が将来期待を上回っているということだ。見えない将来よりも、今手元にある紙幣のほうが信用があるのである。

それならば、紙幣のデザインによって、その通貨の価値を心理的に下げてもらい、手離れをよくしてもらう(消費させる)というのも、心理的なマーケティング効果としてありなのではないか。(紙幣の流通も市場で行われるので、その設計主義的な行為はすなわち「マーケティング」である)

それによって貨幣の価値を下げる、つまりデフレからインフレへの心理的な誘導としては実にありえる方法ではないか。

これくらいの心理的なマーケティングならば、企業であれば日々知恵を巡らしていることでもあろう。国の台所を預かる財務省といえども、むしろそれくらいのことは、心理学者やマーケティングや工学デザインの最先端を動員して、ぜひともやってほしい話である。

もちろん、以上はシロウトの妄想なのではあるし、仮にそれが本当に財務省が狙ってやっているとしても、小手先であることは承知のうえ。むしろ、貨幣の流通云々よりもクレジットカードやQR決済のような信用決済をもっと進めるべきというのもごもっとも。

しかし、案外安っぽいデザインの紙幣というのは、悪いことばかりではなさそうな気もするのである。

・・・さて、などと考えて、通貨のデザインで心理的デノミをした世界的な事例はないだろうかとググったら、こんなブログがあったのでご紹介する。

心理的貨幣価値を減少させて、心理的インフレを起こすことになる。心理的インフレは現実のインフレにつながる。経済現象とは極めて心理的なものなのだ。当然消費の増加につながる。(略)

貨幣価値の減少感を与える。その分使ってしまう。人間とは騙されやすくそして無駄遣いしたい動物なのだ。(略)

イメ-ジを変えて、貨幣を増やし、お金を使いやすくすること、繰り返すが心理的インフレの惹起が狙いだ。

「お札のデザインを変えよう」(経済(学)あれこれ)

10万円札云々の高額紙幣の発行は、世界的に偽造問題があるがゆえに避けられている傾向があるのでどうかと思うが、津田梅子はドンピシャである。お見事。

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