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自殺予防には転校など厳しい状況から「一度逃げてみること」が有効 若者の意識調査からみる自殺対策

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大津市立中2年の男子生徒(当時13)が2011年に自殺した事件。今年2月、大津地裁はいじめが自殺の主な原因と認め、男子生徒の元同級生2人に計3700万円の支払いを命じた。

しかし、今回のように生徒の自殺をいじめとして断定するケースは決して多くないという。その要因のひとつは国の統計データだ。警察庁の発表では、いじめによる自殺は1%以下。「いじめ自殺はほぼない」ことにされている。

一方、日本財団が2018年11〜12月に若者(18〜22歳)を対象に実施した自殺意識調査(日本財団第3回自殺意識調査)では、自殺未遂を図ったり、「本気で死にたい」と思った最大の原因がいじめであることが初めて明らかになったという。

調査のアドバイザリーボードリーダーを務め、公益財団法人中曽根康弘世界平和研究所の高橋義明主任研究員に話を伺った。

BLOGOS編集部

「いじめ自殺はない」ことになっている国の統計

いじめ原因の自殺に関するデータとして国が出しているのは、警察庁が発表する統計です。19歳以下の自殺の原因では学校問題が約半数を占めることがわかっていますが、さらに学校問題を具体的な理由にしていくと学業不振や親子関係の不和などが上位にあがり、いじめは1%以下。

つまり、「いじめ自殺した人は、ほぼゼロ」という認識です。亡くなられた方の声を聞くことはできないので、こうしたデータも相まって、学校側は「学校の成績が悪くなり悩んでいたんだろう」「彼氏・彼女との関係悪化が原因だろう」などと受け止め、いじめを原因として捉えることに関して否定的な見方をするのが現状です。

そのため、子どもが自殺した場合、亡くなった子の親御さんが「いじめが原因でうちの子どもは自殺した」と主張し、学校側とたびたび対立しています。学校に限らず、文部科学省も同様です。学校での自殺の実態について学校関係者に対して調査していますが、先ほどのように学校からいじめが原因として報告が上がってこないので「自殺といじめ関連性は弱い」というのが一般的な理解とされています。

文科省の自殺予防教育マニュアルでも、以下引用のようにいじめに焦点があたりすぎている、いじめは自殺の一部にしか過ぎない、というようなスタンスです。

"我が国では自殺が深刻な社会的問題であると認識されて,様々な予防の取り組みが始まっています。しかし,子どもの自殺となると,多くの場合,いじめがあったか,なかったかということだけに焦点が当てられがちです。そして,比較的短期間のうちにその関心は薄らいでしまいます。

もちろん,いじめに早い段階で気付いて,適切に対応することは重要です。しかし,自殺は様々な原因が複雑に関連しあって生じる複雑な問題です。いじめだけに焦点を当てていると,ごく一部の自殺を取り上げるだけになりかねません。”
子供に伝えたい自殺予防学校における自殺予防教育導入の手引(2014年 文部科学省)

ところが今回、若年層(18〜22歳)を対象にした自殺意識調査では、4人に1人が、いじめが原因で「自殺したいと思ったことがある(自殺念慮)」「自殺未遂をしたことがある」と回答しました。



これは、もしかしたら自殺をしてしまっていたかもしれない、当事者たちの声なんです。これまで間接的に遺書を探したり遺品から証拠がないかを見つけようとしたり、遺族などからの証言を聞き取り、亡くなられた方の生前を辿ることでしかわかりませんでしたが、今回、生の声を聞けたこと、そしていじめが最も多かったことから従来言われていた家庭不和や進路問題ではなく、「いじめが自殺未遂などの最大の理由である」と彼ら自身が述べたことは、非常に大きな価値があると思っています。

今後、学校の先生たちには、児童や生徒間のちょっとしたやり取りの中にも、もしかしたらそれはいじめで、その先には自殺があるかもしれないということを改めて認識する必要があるのではないでしょうか。

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