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ギャップの勝利? 役者34年目で初の主演映画 松重豊の時代が来た理由 - 「週刊文春」編集部


作業員時代に結婚し、一男一女がいる ©文藝春秋

 遠藤憲一(57)、滝藤賢一(42)、ムロツヨシ(43)――。“脇役花盛り”の今、その一角を担う松重豊(56)の映画「ヒキタさん! ご懐妊ですよ」が10月に公開されることが3月末、発表された。男性不妊がテーマの異色作で、相手役は北川景子(32)。松重にとっては役者生活34年目で初の主演映画となる。

 なぜ今、松重なのか。映画記者が解説する。

「人気俳優のイメージに合わせた映画作りも飽和状態。最近は作品ありきで主役を選ぶ形も増え、実績のある脇役にもチャンスが回ってきている。喜怒哀楽を動きと“顔芸”で表現できる松重は今回の映画に適任。すでに撮影を終えた松重は『妊活モノとは想定外の出演依頼でした』としながらも、『思えば私にとって、夢のようなひと時でした』と感慨深げなコメントを発表しました」

 松重にとっては長い道のりだった。明大在学中に三谷幸喜主宰の東京サンシャインボーイズに参加。卒業後に蜷川幸雄の劇団に入団した。休業し作業員をしていた時期もあったが、座右の銘「その日暮らし」を実践するかのように、NHK大河ドラマから深夜ドラマまで出演。存在感のある脇役として徐々に頭角を現していった。

「190センチ近い長身に強面でありながら、単なるアウトローにとどまらない演技の幅の広さが重宝される最大の理由。北野武監督の『アウトレイジ ビヨンド』(2012年)では真面目な刑事役を演じ、一人違った味を出していたし、不器用で人のいい父親役、しょぼくれた中年サラリーマン役、オカマ役、何でもハマる」(ドラマ関係者)

「僕のプロフィールの汚点になるだろう」から一変

 それが最大に発揮されたのが、12年から始まった深夜ドラマ「孤独のグルメ」(テレ東系)だった。

「『僕の中でも、プロフィールの汚点になるだろう』と自信なさげでしたが、蓋を開けたら一変。松重演じる主人公が、あの強面でウンチクを呟きながら、何とも旨そうに大衆食堂の料理を食べるシーンが、文字通り“いい味”を出した。続編を望む声の多さにシーズン7まで継続。まさにギャップの勝利でしょう」(放送記者)

 今年の大河「いだてん」では東京都知事役も演じる松重。満を持しての主演映画は、果たしてどんな味がする?

(「週刊文春」編集部/週刊文春 2019年4月11日号)

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