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「下関北九州道路」は”忖度道路”?下関市の前田市長「頭にきた。強引な政策ではないと知ってほしい」


 "忖度発言"をめぐって野党のみならず与党内からも批判を受け辞任した塚田一郎前国土交通副大臣。発言によって、一部で「忖度道路」などと呼ばれることになったのが、山口県下関市と福岡県北九州市を結ぶ「下関市北九州道路」だ。以前から議論されてきたものの、計画は福田内閣時代の2008年に凍結、そして今年度から国の直轄事業となり、4000万円が調査費用として計上されていた。

 5日放送のAbemaTV『AbemaPrime』では、塚田元副大臣の発言を厳しく批判していた下関市の前田晋太郎市長を生直撃した。

■「頭にきた。本当に悲しかった」

 問題の発言は、「みなさんよく考えてください。下関は誰の地盤ですか。安倍晋三総理ですよ。安倍晋三総理から、麻生副総理の地元でもある北九州への道路の事業が止まっている。私すごく物わかりがいい。すぐに忖度をする。これを今回の新年度の予算に国で直轄の調査計画に引き上げた」というもので、北九州市で開かれた「自民党推薦県知事候補激励集会」にて飛び出した。これについて塚田元副大臣は「大変大きな会合のなかで、私自身雰囲気にのまれ、場内でそのような発言をしてしまったということで、大変申し訳なく思っている」と釈明。安倍総理は「雰囲気がどうあれ、知事選挙であったということだが、その場において政治家が語る言葉は真実を語らなければならないと考える」とコメントしている。


 前田市長は「発言を聞いて、やはり頭にきた。そういうところから離れたところで議論しようとみんな必死になっていたので、本当に悲しかった。積み重ねてきたものに冷や水をかけられた気持ちだ。多少パフォーマンスが必要な場面だったんだろうと拝察するが、今の政治家は"忖度"という言葉を出すこと自体NGだ。それをあえて言ったというのは、逆にすごいと思う。今日は私も2つの演説会に出て10分ずつ話をしてきたが、"これも言いたいな"と思うことや、"まだ決定していないから危険だな"、など、自分の中で戦いながら喋った。塚田元副大臣をあまり批判したくはないが、人を喜ばせたい、票を得たいといった思いはあると思うが、そこを自制し、バランスを取りながら話すのが本物の政治家だと思う」と指摘する。


 「このご時世、強い政治家に頼って何かを一発で決めてもらおうというようなことは極力控えていると思う。私は安倍総理の地元の首長であり、安倍総理の元秘書。非常に長くやり取りをしてきたが、この道路の件についてお願いがあったとか、私から何かをお願いをしたということは一切ない。当然"ボトムアップ"でやっていかなければ決まらないことだし、適正な正しいやり方で、全ての方にご理解いただいて着工することが理想だということをお互いに分かっているので、あえてそういう話はしない。そうやってこれからも続けていかなければならない」。


■「日本全国の方々に知って頂きたい」

 その上で前田市長は「下関北九州道路について、今回のことを契機に日本全国の方々に知って頂きたいと思っている」と話す。


 現在、下関と北九州を結ぶ自動車のルートは「関門トンネル」(1958年開通)、「関門橋」(1973年)の2つがあるが、関門トンネルは老朽化が進んでおり、補修工事による通行止めが年間1440時間(2014年)に上っており、全国の高速道路でもワースト1位となっている。

 「関門トンネルは150円で通ることができる一般道だが、片側一車線ずつで狭く。開通から60年以上が経過しているので、非常に老朽化している。頻繁に壁が落ちるなどしており、その度に大渋滞が起きていて、地元からも懸念の声や、新しい道路が欲しいという声が上がっていた。熊本地震の際には7,000台の自衛隊車両がここを通過し、熊本の人を助けに行ったが、昨年の西日本豪雨のときには、関門トンネルと関門橋の高速道路が同時に通行できなくなり、市民の生活が止まってしまった。例えば自分の家から北九州空港までは普段なら45分で到着するのが、7時間半もかかってしまった。これは下関市と北九州市だけのことではなく、九州全域と本州全域とを繋ぐ、人間で言うならば大動脈のような、非常に大切な問題だ。確かに少し前まではお金もかかるし、要らないのではという議論も市民の間ではあった。しかし私の肌感では豪雨災害を機に"このままじゃだめだ"と、少しずつ前向きになってきていたと思う」(前田市長)。


 そこで新たな道路(2km)を通そうという構想が浮上。1990年には地元の自治体が調査費を計上。しかし前述の通り計画は一度凍結。橋なのかトンネルなのか、また、事業の予算規模も決まっていない状況だ。

 「関門道路も含む日本全国6か所で橋を架ける"海峡横断プロジェクト"が凍結されてしまったが、よくよく見直すと、関門道路は中でも事業規模が小さく距離も短い一方、必要性も高いため、実現に向けたスピードが上がった。今回、"忖度"だとか言われているが、福岡県、山口県、下関市、北九州市の二県二市の自治体と経済界がお金も出し合い、どこを通るルートが最も適切なのか、形式、構造、工法など、ワークショップや協議会を開き、専門家の意見も聞いて議論を進めてきた。どれだけ税金を投入するのか、どれだけ民間の力を借りながらやっていくかといったことについての検討会も、事務方レベルで進めてきている。様々な可能性を検討しながら丁寧に進めている。そうやって下から上げていき、ようやく国から"取り上げよう"という話を頂いた矢先のことなので、地元に対する冷や水、ダメージはものすごく大きい。また、反対しているのは共産党だけで、超党派で進めてきたものなので、自民党単独の強引な政策ではないということも知っておいて頂きたい」。

■「国交省、族議員のあり方も見直しを」

 元経産官僚の宇佐美典也氏は「公共事業の実務経験があるわけではないが、"個所付け"といって、各省庁は予算要求の段階では"ここに道路を作る""ここに港を作る"といった使い道は基本的に明らかにせず、予算が全て決まった後に配分を決める。ここに政治的な思惑が入るのではないか?ということはよく指摘されるが、国土交通省の場合は地方の支分部局からボトムアップで予算を積み上げていき、そしてその時々の政府の大きな方針というのが本省から出される。したがって政治家が何か言ったから動くといったものではない。もちろん大臣が政治家である以上、政治的な背景があることは間違いないが、個別の事業がポンと決まるというのは幻想だ。そういうことがあると思いこんでいるメディアにも問題があるのではないか」と指摘。


 その上で「国土交通省があまりにも巨大すぎるという問題もある。都道府県の上がいきなり国になるため、今回のように県をまたぐ案件は全て国の事業になってしまう。それを何とか地方に分権する仕組みを考えていかないと、こういった話はまた出てくると思う。族議員の側も、実際には何も関係がなくても"俺が予算を付けた"というようなことを言って票を取ることを繰り返していた。"忖度"が問題になる中、そういった問題点も無くしていくべきだと思う」と話していた。(AbemaTV/『AbemaPrime』より)

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