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温暖化対策の有識者懇の提言は踏込不足

今月2日に、地球温暖化対策の長期戦略づくりに向けて、政府の有識者懇談会が、提言をまとめました。温暖化対策の国際ルールであるパリ協定では、各国が長期戦略を国連に提出する必要があります。

ところが、主要7ヶ国のうち、未提出なのは日本とイタリアだけで、政府は6月に大阪で開くG20サミットまでにまとめる予定で、そのたたき台として、企業や経済団体のトップ、学者、地方自治体の首長など10人の有識者が、昨年夏から議論を重ねてつくったものが、今回の提言です。

提言の骨子は、○今世紀後半の早期に「脱炭素社会」を実現する ○気温上昇を1.5度未満におさえる努力目標を含めたパリ協定の目標実現に貢献する○2050年に向けて再生可能エネルギーの主力電力化など電力の脱炭素化を進める ○石炭火力への依存度を可能な限り引き下げる ○カーボンプライシング(炭素税など炭素の価格化)は、専門的・技術的な議論が必要、というものです。

脱炭素社会の実現をめざすなどの理念は示していますが、ある意味当然のことで、具体策がなく、これで納得を得られる長期戦略が作れるとは思えません。温室効果ガス排出削減の長期目標は、従来どおり「50年に80%減」としていて、2016年に閣議決定された「地球温暖化対策計画」から、一歩も踏み出していません。

しかも、この目標は、基準年がパリ協定などで示されている産業革命の時ではなく、ごく最近に設定されているので、各国のNGOなどからも非難されているものです。排出ゼロの脱炭素社会を実現する時期も「今世紀後半のできるだけ早期」としていて、具体的には示されていません。再生可能エネルギーについても「主力電源化を進める」というだけで、拡大するための数値目標は盛り込まれていません。

炭素税や排出量取引などカーボンプライシングも導入への道筋をつけるのではなく、議論が必要としていて、ずっと以前からの課題なのに、いったいいつになったら実現するのか見通せません。有識者の中に、産業界の代表が多く、環境問題に取り組んでいる専門家などが少なかったのではないかとも思います。

せっかく温暖化防止の技術などは持っているのに、このように腰が引けたものしか出せないと、G20の議長国としても恥をかくことになるのではないかと危惧します。この地球を、次の世代に、今よりはましな状態で引き渡す責任が、私たち大人にはあるのですから、是非、意欲的な長期戦略を望みます。

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