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世界各国でブーム 『よつばと!』に見る日本のマンガ表現の到達点 アートな土曜日 - 山内 宏泰

 かつて葛飾北斎や歌川広重の浮世絵がフランスを中心に人気を博し、ジャポニスムと呼ばれる日本趣味ブームを巻き起こしたのは、アートの世界で広く知られるところ。モネやルノワールといった印象派の面々や、そのあとに続いたゴッホらの作品に、多大な影響を及ぼしたのだった。

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 それから150年あまり経った現在も、世界中で日本の絵はブームを起こしている。主役になっているのは浮世絵ではなくて、こんどは漫画だ。日本のみならず各国で広く読まれている漫画作品をテーマにした展覧会が、東京池袋のパルコミュージアムで始まっている。「『よつばと!』最新原画展」。

日本の漫画表現の到達点

 5歳の女の子「よつば」が自宅や隣家、ご近所を元気いっぱいに飛び回り、騒動を巻き起こしたり周囲をほのぼのとさせたり……。彼女のやんちゃが過ぎて「さすがにそこまでは」と感じることもままあるけれど、読んでいると小さいころの底抜けの楽しさやほろ苦い気分を続々とよみがえってくるのが、人気コミック『よつばと!』である。

 よつばが大活躍する『よつばと!』の世界を、三次元の空間で余すことなく展開させようというのが同展。壁面にはコミック最新巻の原画がずらり並んでいて、ストーリーを知っている人もそうでない人にも、どんな作品であるかよく理解できる。

 改めて作画を眺めていけば、これほど少ない線でよくぞ状況を的確に伝え、登場人物の行動をトレースし、そこに渦巻く微妙な感情まで表現するものだと感嘆しきり。構図の妙と視点の置きどころの豊富さ、キャラクター造形の力強さが際立っている。日本の漫画表現のひとつの到達点がここにある。

制作過程も惜しげなく披露

 コミックの表紙用に描かれたカラー原画も魅せる。一枚絵として丹念に描かれた画面は、情趣たっぷりで不思議なほど懐かしい気分を誘う。緻密で写実的な背景に、デフォルメされたキャラクターの人物像がはめ込まれても、なんら違和感なく見られる絵づくりというのは、考えてみればかなり斬新だ。

 ネームと呼ばれる下書きやメイキング映像も惜しげなく披露されていて、作品の制作過程がよくわかるのもファンにはうれしいところ。作画に用いた膨大な資料写真は、まとめて一枚のパネルにしてある。読者なら「あのシーンの舞台だ」とピンとくる写真がたくさん見つけられるはず。同時に、いまの日本の「あるがまま」を最もよく表すイメージ群としても、秀逸な作品になっている。

 日本の漫画のクオリティを体感し、驚嘆できる好展示だ。

写真=「『よつばと!』最新原画展」会場より

(山内 宏泰)

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