記事

住みたい街ランキング常連の「武蔵小杉」――「KOSUGI」じゃなくて「COSUGI」の理由 新元号「令和」も「LEIWA」表記になるかも? - 大山 顕

 ご存じの方もいらっしゃるかもしれないが、ぼくは「団地マニア」である。全国をめぐって団地を愛でてまわる趣味を持った人間だ。そのうち団地にポエムをつけてみようかと思っている。「タイルの号棟表示が夕日に煌めく。コンクリート製のタコ型滑り台が眠りにつき、給水塔が "おかえり" とぼくを出迎えた」とか。そういう感じ。

【写真】武蔵小杉は「ドラスティックに生まれ変わる」


 そんなぼくが常々残念に思っているのが、団地がどんどん建てられた時代の雰囲気を味わうことができなかった、ということだ。「華の団地族」なんていう言葉もあった、団地が最先端の時代。きっとすごくキラキラしていたんだろう。

広大な再開発によって新しく出現した「武蔵小杉」

 さて、今回のマンションポエム分析対象地域は武蔵小杉だ。このエリアのマンションポエムは臨海エリアと並んでテンションが高い。ここ数年の間にものすごい勢いでタワーマンションが建設され、今なおその勢いやまずという熱い街である。広大な再開発によって新しく出現したこの街をポエムは高らかに謳い上げる。

 たとえばこのポエム。

「想像を超える武蔵小杉へ」にはじまり「私たちは今、歴史に立ち会う」という威勢の良さ。さすが武蔵小杉、といったところである。

 他にも

「なにもない場所に、道ができた。道ができると、賑わいが生まれ、街になった。道から生まれた街は、自分の思いを届けたいと願う人たちの、想像力の発露となった。」(三井不動産レジデンシャル『Kosugi 3rd Avenue The Residence』ウェブサイトより)

「いま、新たなる躍動が始まる。オンリーワンの空間に、煌めく眺望を。」(住友不動産『シティタワー武蔵小杉』ウェブサイトより)

「自分らしくいこうよ。 肩のちから抜いていこうよ。 この街にカタイ顔は似合わない。」(三井不動産レジデンシャル『Kosugi 3rd Avenue The Residence』ウェブサイトより)

 など、再開発から間もない新しさを前面に押し出した鼻息の荒い作品が目白押しだ。

街を訪れてみると、「華のムサコ族」の姿が

 中にはこのような味わい深いポエムも。

「Quality of 朝」とはどういうことかというと、「朝活」として出勤前にヨガをしませんか、という提案だ。1分でも長く寝ていたいぼくなどお呼びでないということがよく分かるポエムである。

 このように、マンションポエムがあまりにすごいので、先日実際に街を訪れてみた。聳えるマンション群を見上げながら散歩し、オープンして間もないモールをめぐってぼくは「あっ!」と思った。「これは……かつての団地ではないか!?」と。若いファミリーたちから発せられる、ここに住むことへのプライド。まさに「華のムサコ族」である。

 そういえば2014年11月14日付「日経MJ」の特集記事でこの街が取り上げられた際、文中に「ムサコ妻」なる言葉があった。ここに住む若い奥さまがたのことを指している。なんというか、これはかつての団地の奥さまがたを彷彿とさせる呼称ではないか。まさか武蔵小杉で「往年の団地の雰囲気を味わいたかった」という夢を叶えることになろうとは。ありがとう、武蔵小杉。

 で、すばらしいマンションポエムが目白押しの中、とくに目を引いたものがあった。曰く「KOSUGI は、COSUGI へ。」

「KO」ではなく「CO」の意味するところは

 この「KO」じゃなくて「CO」の意味するところは「COMMUNICATION」「COLLABORATION」「CO-CREATE」などからきているらしい。

 思えば、90年代ごろから名前の「CO化」がはじまっている。特にミュージシャンにその傾向が強い。「Cocco」や「Keyco」など枚挙にいとまがない。俳優でも速水もこみちがアルファベット表記では「Mocomichi」と名乗っている。今や「こ」は「CO」であたりまえだ。80年代に一世を風靡したバンド「レベッカ」のボーカルの名前が「NOKKO」と実直なヘボン式表記だったことと考え合わせるとその変化がうかがえるだろう。そしてこの傾向を広く世に知らしめたのは2002年にいきなり「rumico」名義でCDを出した小柳ルミ子ではないだろうか。あれにはびっくりした。

 関係ないが、二酸化炭素 (CO2)を含む温室効果ガスの削減を定めた京都議定書が採択されたのは1997年である。90年代はまさに「COの時代」だったと言えるだろう。

 って、何の話だっけ。

 そうそう、でこの「KOSUGI は、COSUGI へ。」に代表されるマンション界における「CO化」だが、実はこれも団地に深く関わりがある。そう、名建築家たちを起用し、臨海部におけるマンションブームの先駆けとなった2003年~2005年完成の、UR(旧公団)によるデザイン団地「東雲キャナルコートCODAN」だ。お堅い印象があったかつての公団がイメージ一新を図るためにほどこしたのが「CODAN」という名称だったのである。「rumico」改名に遅れること1年だが、しっかりとこの世界に「CO」を根付かせた金字塔だ。武蔵小杉のタワーマンションはポエムにおいてその系譜を継いでいる。

 ちなみに、現在のアルファベット表記ブームは「RじゃなくてL」だ。マンション名でも「SOLA~」などの「L表記」物件がちらほら存在する。そのうち「rumico」も「lumico」になるんじゃないだろうか。そして、もしかしたら「令和」も「LEIWA」表記になるかも。(初出「アットホーム」ウェブサイト)

(大山 顕)

あわせて読みたい

「マンション」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    トランプ氏の大相撲観戦に苦言

    早川忠孝

  2. 2

    反安倍勢力を警察が「予防拘禁」

    田中龍作

  3. 3

    トランプ来日はシンプルにいい話

    篠田 英朗

  4. 4

    夏のユニクロ肌着 苦手な男性も

    NEWSポストセブン

  5. 5

    賛同者も? 長谷川豊氏の差別発言

    非国民通信

  6. 6

    安倍首相は天皇の政治利用を慎め

    小宮山洋子

  7. 7

    サンジャポがねつ造か 非難の声

    女性自身

  8. 8

    首相は日米会談の合意内容明かせ

    大串博志

  9. 9

    山下達郎&まりやが海外で大人気

    NEWSポストセブン

  10. 10

    かぶる傘 五輪中なら悪くない案

    赤木智弘

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。