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「パパ活」に男女は何を求めているのか 『パパ活の社会学』坂爪真吾氏インタビュー - 本多カツヒロ (ライター)

「パパ活」に「ママ活」。近頃、耳にはするがいまいち実態の見えないこれらの現象。

パパ活の現場を取材し、『パパ活の社会学』(光文社)を上梓した一般社団法人ホワイトハンズ代表理事の坂爪真吾氏に、援交とパパ活の違い、パパ活の出会いの場である交際クラブ、パパ活で男女が求めるものなどについて話を聞いた。


(Image Source/Stockbyte)

――数年前から「援助交際」という言葉に代わり、「パパ活」、最近では「ママ活」という言葉も耳にするようになりました。

坂爪:2016年頃からネットを中心に「パパ活」という言葉が広がりはじめました。女性が年上の男性とデートをして、見返りに金銭的な援助を受け取るものです。「援助交際」という言葉を「パパ活」というソフトな言葉に言い換えることで、売る側も買う側も仲介する側にとっても援助交際よりは良いイメージのものとなり、言葉が普及したんだと思います。ただ、パパ活も援助交際も愛人契約も個人売春の言い換えに過ぎず、実質的にはほとんど変わりません。

そういった背景のなか、これまで風俗や買春などについての取材を重ねていたのもあり、『はじめての不倫学』(光文社)の続編のようなイメージで書きました。

――パパ活は、アプリなどを通じて出会うことが多いのでしょうか?

坂爪:パパ活にはいくつかの出会いのパターンがあります。アプリなどのウェブを介したパターン、キャバクラやクラブで仲良くなりパパ活へ発展するパターン、そして本書で取り上げた交際クラブで知り合うパターンですね。

――交際クラブをそもそもご存知ない読者もいると思います。交際クラブとはどんなシステムなのでしょうか?

坂爪:それなりの社会的地位があり、お金のある既婚男性が、奥さんでは満たされない欲求を、プロである風俗やキャバクラ、クラブではない、より一般に近い女性と「安全に」婚外恋愛を楽しむことを目的としてつくられました。

――「安全」というのは?

坂爪:男女ともに対面で面談や身元確認をしますから、風俗などに比べるとはるかにリスクは低いです。

――身元を確認され、審査に通れば入会するわけですね。

坂爪:そうですね。それと同時に男性側は入会金を支払います。正式に入会すると会員専用のウェブサイトが教えられ、登録している女性のプロフィールを閲覧することができます。ただ、入会金は3万円~数十万円までと幅があり、会員のステータスにより、閲覧できる女性も変わります。

会員専用のサイトでデートしてみたい女性を選ぶと、クラブ側が会う日時や場所などをセッティングしてくれます。ここまでが交際クラブの仕事で、会ってから先のことは各自の自己責任になります。ですから、売春の斡旋にはならないという理屈です。

――出会いをセッティングするまでが交際クラブの仕事とのことですが、出会ったら交通費やお手当などを渡すものなのでしょうか?

坂爪:そうです。大体1回のデートで3~5万円が相場ですね。現在、交際クラブに登録している男女比は3対7くらいなので、相場は下がっている傾向にあります。


『パパ活の社会学 援助交際、愛人契約と何が違う? 』(坂爪真吾、光文社)

――交際クラブに登録している男性は社会的地位が高い人が多いとのことですが、具体的にはどんな人たちなのですか?

坂爪:年齢的には40~50代で、中小企業の経営者や医師、弁護士が多いと聞きます。彼らは、お金は稼いでいるけど、仕事が忙しく、女性と出会う時間がない。職場の女性と関係を持てばさまざまな問題が生じる。だからこそ、「安心安全」に遊べる交際クラブを選ぶんです。

――女性で人気があるのはどんな人たちですか?

坂爪:基本的には20代の若い女性です。ただし、若くてきれいであれば良いというわけではなく、40~50代の教養が豊富な男性と会話できなければ務まりませんから、相応の学歴や教養のある女性が人気ですね。

――交際クラブを通じて出会った男女が関係を続けていけるコツはあるんですか?

坂爪:男性は、手当てを値切る、相手の嫌がることをしないといった基本的な交際のマナーが守れる人が関係を維持できます。

女性は、1回のデートでできるだけ多くのお金をもらおうという目的ではうまくいきません。普通の人間関係と同じく、一定の時間やコストを払い長期的な目線で考えられる女性は関係を維持しやすいですね。

――男女ともに、交際クラブで異性と出会い何を求めているのでしょうか?

坂爪:一般的に交際クラブに登録している男性は、愛人や恋人がほしいというイメージがあるかもしれません。実際に取材してみると、なんとなく寂しい、心のスキマを埋めたいと悩んでいたり、はっきりと自分が何をしたいのかがわかっていない男性が多い印象です。だから、必ずしもすぐに性的関係になるわけではありません。

女性側は99%はお金が目的です。ただ、取材したなかにはお金が前提ですが、普段会えないような思考も発想もまったく違う経営者や医師などの男性に出会うのが楽しいという女性もいます。

たとえば、国立大学大学院を卒業後、外資系のコンサルティングファームに勤務する女性を取材しました。彼女は、オーナー経営者と会うことで経営者たちの知見に触れることができたと言います。逆にコンサルタントをしている彼女も彼らが抱えている課題や悩みを聞き、思考を整理する手伝いができた。そういう経験を通じて人生をデザインできたと言います。

――ここまでのお話を聞いて、男性は若くてきれいな教養のある女性を求め、女性はある程度のお金を支払ってくれる男性を求めているならば旧態依然としたジェンダー観がまったく変わっていないと感じたのですが、そこについてはどうお考えですか?

坂爪:パパ活には現代社会を生きる男女の社会問題が凝縮されているんです。男女間の経済格差、性別役割分業、貧困、不倫、結婚制度、男性や女性の生き辛さです。

こうした背景となっているジェンダー観が変化しないのは、変化しないほうが男女ともに楽だからという面もあると思います。実際に社会を変えるのは大変です。まずはこの不都合な真実を受け入れ、変わらない社会の中で変えようとする意志を粘り強く持ち続ける力が必要ではないでしょうか。

――パパ活をすると既婚男性が多いわけですから、不倫になりますね。不倫に関しては世間からのバッシングがここ数年特にすごい勢いであります。

坂爪:個人的にはそもそも一夫一婦制に限界があると考えています。ですから、交際クラブなどを利用し、婚外恋愛を「安心安全」に楽しむ人たちがいる、という現実があるのだと思うんです。

不倫バッシングをしている人には、パパ活という理解し辛く、一面的に語られがちな現象を本書で知ってもらえれば嬉しいですし、ある程度の社会的地位があるけれども、孤立し悩んでいる男性にも本書に出てくる男性たちの感情は参考になるのではと思います。

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