記事

NZテロ実行犯が献金していたアイデンティタリアン運動とは何か

1/2

[画像をブログで見る]

  • クライストチャーチ事件で逮捕されたタラント容疑者は、ヨーロッパの白人至上主義団体「アイデンティティ運動」に傾倒していたとみられる
  • アイデンティティ運動は既存の国境を前提とするナショナリズムと異なり、白人世界としてのヨーロッパを非白人から守ることを強調する
  • そのイデオロギーは、ヨーロッパを超えて、やはり白人中心とみられていたオーストラリアやニュージーランドなどで移民・難民に反感を募らせる白人に波及しやすい

 ニュージーランドのクライストチャーチで50人を殺害したブラントン・タラント容疑者は、犯行そのものを単独で行ったとしても、孤立無援だったとはいえない。タラント容疑者は、ヨーロッパで広がる白人至上主義ネットワーク「アイデンティタリアン運動(IM)」に共鳴して犯行に及んだ可能性が高いからだ。

アメリカで入国拒否された白人至上主義者

 日本ではまだ知名度の低いIMだが、これに対する関心は各国で広がっている。

 3月28日、アメリカ当局はオーストリア人マルティン・セルナー氏の入国を拒否した。セルナー氏はオーストリアIMの代表で、オーストリア当局によると、クライストチャーチ事件で逮捕されたタラント容疑者は昨年、この団体に1500ユーロ寄付していた

 この入国拒否に関してアメリカ当局は詳しく説明していないが、セルナー氏自身はYouTube上で「アメリカの入管は自分(セルナー氏)の政治活動が理由であることを否定しなかった」と述べている。

 ヨーロッパで知名度の高い白人至上主義者のセルナー氏が入国拒否されるのは、これが初めてではない。昨年には、イギリスでやはり入国できなかった。

アイデンティタリアン運動とは

 それでは、各国の当局が警戒感を隠さないセルナー氏とは何者か。IMとは何か。

 IMは2002年にフランスで生まれた「反移民、反EU、反グローバリズム」を掲げる比較的新しい右翼勢力だ。ドイツ、イタリア、イギリス、スウェーデンなどヨーロッパ各国に拠点があり、セルナー氏はオーストリアの責任者とみられる。

 

 IMは別名「アイデンティティ世代(Generation Identity)」といい、主に若年層を対象にYouTubeやFacebookなどでメッセージを発信し、リクルートしている。その活動には、環境保護団体やフェミニスト団体など左翼系の手法に似た直接行動が目立つ。

  • 北アフリカから地中海を超えてくる不法移民船の上陸を、船を出して妨害すること
  • ドイツのブランデンブルク門など人目につく場所の占拠
  • 公共の場で突然パフォーマンスを行うフラッシュモブ

 また、こうした活動の資金源の一つがクラウドファンディングであることも、支持層が比較的若い世代であることをうかがわせる。

そのイデオロギー的特徴

 アイデンティタリアン(アイデンティティ主義者)という名称からも分かるように、彼らは「ヨーロッパ人(白人)としての自覚」を強調し、ヨーロッパ文化の保全を目指す。セルナー氏はYouTube上などで、そのメッセージを広く発信するスポークスマンの一人でもある。

「我々は民族的なアイデンティティを保持したいが、それは排外主義的な方法や他者を劣ったものとみなしたりする方法によってではなく、彼らを根絶したいわけでもない。我々は他者を犠牲にすることなく、我々の民族の文化的アイデンティティや我々の伝統を保持したいのだ」

出典:https://hopenothate.com/2017/10/31/hnh-explains-identitarian-movement-alt-right/

 「自分たちの独自性を守りたい」だけなら、至極穏当な言い分にも聞こえる。また、文化や伝統の強調は、保守派に幅広くみられる。

 しかし、IMの主張は紛れもなく白人至上主義的であるだけでなく、他の右翼勢力との違いも含む。そこには、主に以下の三つのポイントがある。

  • 「大いなる置き換え(Great Replacement)」
  • ヨーロッパ意識の強さ
  • 民族多元主義(ethnopluralism)

あわせて読みたい

「ニュージーランド」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    高樹氏、田口逮捕でマスコミ批判

    BLOGOS編集部

  2. 2

    ミス誘ういきなりステーキの卓上

    かさこ

  3. 3

    早朝4時に吉野家 離れられぬ東京

    内藤忍

  4. 4

    慰安婦映画への陳腐な批判に呆れ

    古谷経衡

  5. 5

    築地の次は青山霊園を移転せよ

    毒蝮三太夫

  6. 6

    失念で済まない山尾氏の無断渡航

    和田政宗

  7. 7

    フリーで消耗 自転車操業の日々

    BLOGOS編集部

  8. 8

    内定辞退で来社 採用担当は迷惑

    城繁幸

  9. 9

    丸山議員への辞職勧告は言論封殺

    小林よしのり

  10. 10

    トランプ氏が羽田に着陸する意義

    天木直人

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。