記事

アップルが口酸っぱく「ユーザーのデータは守る」と言い続けるワケ


アップルは3月25日(現地時間)、アメリカ・クパチーノにある本社敷地内のスティーブ・ジョブズ・シアターにてスペシャルイベントを開催。4つのジャンルで新サービスを発表した。

同社がハードウェアの新製品を発表することなく、サービスに特化してイベントを開催するのは異例のことだった。ティム・クックCEOは「ハードウェア、ソフトウェア、サービスの3つをすべて手がける会社は我々アップルしかいない」と明言。今後は、iPhoneなどのハードウェアだけでなく、サービスを収益源として強化していく方向性を示した。

アップルのティム・クックCEO

各種サービスでは一貫してプライバシーを重視

発表されたのはニュース・雑誌の読み放題サービス「Apple News+」、クレジットカードサービス「Apple Card」、オリジナル動画配信サービス「Apple TV+」、100本以上のゲームが遊び放題となる「Apple Arcade」となる。
アップルが2時間弱のイベントで、一貫して主張していたのが、新サービスでもセキュリティ面に配慮し、ユーザーのプライバシーを徹底的に守るというポリシーだ。

例えば、クレジットカードサービス「Apple Card」ではiPhoneにバーチャルなクレジットカードが発行されるのだが、Apple Payで利用しているセキュアエレメントチップにカード番号を書き込むだけでなく、支払い毎にセキュリティコードを生成し、送信して決済する。

また、今回、アップルはApple Payが使えない店舗で支払えるように、チタン製の物理カードも用意するのだが、クレジットカード番号や有効期限などの記載が一切無く、店舗で利用する際、悪意のある店員にカード番号を覚えられる心配が無いものとなっている。

Apple Card

また、発表会では「アップルはユーザーが購入したものを知らない」「アップルはユーザーがどこで買ったか知らない」「アップルはユーザーがいくら支払ったか知らない」とアピール。アップルはユーザー購入データに興味はなく、さらに、提携先であるゴールドマンサックスも、ユーザーのデータをマーケティングツールとして、第3者に共有したり販売したりしないと宣言した。

「アップルはユーザーがいくら支払ったか知らない」

昨今、日本ではQRコード決済が盛り上がりを見せているが、いずれの決済事業者も大盤振る舞いなキャンペーンでユーザーを獲得しようと躍起になっている。いくつかのQRコード決済サービスは、クレジットカードであれば店舗側から徴収する決済手数料が無料だったりする。こうした手数料が無料な背景には、ユーザーの購買データなどをマーケティングツールとして活用するという別の収益源があるからだ。

その点、アップルはユーザーの個人情報を徹底的に守るという考えのもと、こうした購買データをアップル自身が知ることもないし、ゴールドマンサックスが第3者に転売するということもない、とハッキリと宣言しているのだ。

また、ニュース・雑誌の読み放題サービス「Apple News+」においても、「アップルは「ユーザーが何を読んだか知らない」「ユーザーを追跡して広告を出すことは許さない」としている。ウェブのニュースサイトをいくつか回っていると、同じジャンルの広告が出続けることがあるが、これはユーザーの興味を判断し、動きを追跡しているからこそ実現できているものである。

「ユーザーを追跡して広告を出すことは許さない」

アップルでは、こうしたユーザーを追跡して広告を出し続ける仕組みを徹底的に嫌っている。そのため、新サービスでも、こうした動きを排除しようと躍起になっているのだ。

また、ゲームプラットフォーム「Apple Arcade」では、広告やアイテム課金などは提供されない。月額課金制のサブスクリプションモデルであるため「ユーザーからお金をもらうからには広告は出さない」というスタンスのようだ。

また、Apple TV+においても、同じく月額課金制であるため、広告は表示されない。

「GAFA」からの脱却を図るアップル

アップルが口を酸っぱくして「ユーザーのデータは守る」「広告ビジネスはしない」と力説するのは「GAFAとして一括りにされたくない」という焦りがあるからだ。

GAFAとはGoogle、Amazon、Facebook、Appleという4社の頭文字をとっている。特にGoogleとFacebookはユーザーのデータを元に広告を表示するのがビジネスモデルの中心だ。アップルのティム・クックは「ユーザーの個人情報で商売をしている」と両社を糾弾したこともあった。

アップルでは他の3社とは一線を画し「GAFAではなく、GAFにすべき」という主張を繰り返している。

今回のイベントはアップルが「ハードウェアだけでなく、サービスでも収益を上げていく」という戦略のアピールに加えて、その節々には「グーグルとは全く考えが異なることを世間に広く理解して欲しい」というメッセージが込められていたのだ。

あわせて読みたい

「Apple」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    父逮捕で娘が「お嬢様」から転落

    幻冬舎plus

  2. 2

    銀座商店「震災時より人少ない」

    田中龍作

  3. 3

    橋下氏 コロナめぐり識者に苦言

    橋下徹

  4. 4

    北の病院で12人死亡 新型肺炎か

    高英起

  5. 5

    告発した岩田医師の行動は成功

    中村ゆきつぐ

  6. 6

    みずほ銀行描いた本 衝撃の内容

    キャリコネニュース

  7. 7

    韓国の肺炎感染者 4日間で11倍に

    木走正水(きばしりまさみず)

  8. 8

    新型コロナが芸能界に落とす影

    渡邉裕二

  9. 9

    安全無視? 日本の危機管理に呆れ

    ESQ

  10. 10

    新型肺炎めぐる過剰な報道に苦言

    かさこ

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。