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【読書感想】黒いマヨネーズ

2/2

 なんという想像力!

 僕はイケメンになったことがないので「黙っていてもモテる」という人生がどんなものか想像もつかないのですが、たしかに、イケメンだったらいろんなことが、もっとラクに、簡単になっただろうな、という気がします。

 ただ、僕自身に関しては、出生時のハンデですでに諦めてしまって、吉田さんのように「何とかならんかな」と思う回路が失われてしまってもいるのです。ああいう女性は、僕のことは嫌いだろうな、って思うだけ。

 きっと、イケメンでも、その恩恵を享受できている人もいれば、「自分の好みではない女性に寄ってこられてめんどくさいな」と感じている人もいるのではなかろうか。

 まあでも、僕だって、モテすぎで困るくらいの人生を送ってみたかった、という感慨も、少しはあるわけで。

 相方との競争心やコンビ仲が悪くなってしまうことについても、自らや周囲の芸人たちの経験が、けっこう赤裸々に語られています。

 失礼ながら先輩の中にもいますよ。「あぁこの人らコンビ仲悪いんやろな」と感じる人達。せっかくコンビでやってるのにねぇ。

 勝負してる相手がお客さんや他の芸人じゃなく、相方になってしまっている。

 でも気持はわかります。

 何でなんでしょうね。オスとオスだからなのか。2人で売れて金持ちになろうと決めてこの世界に入ってきたのに、それがいつしか「あぁ〇〇というコンビはA君の力で持っているな」と思われたくなってしまう。

 せめて売れて、仲が悪くなっても生活ができるのであればまだ良いのでしょうが、1回の舞台ギャラがたかだか500円ポッチの奴らの中にもそういう考えになってしまってる奴がいてる。

 そうなると非常に危険で、「スベれ相方!」となり、更にスベった相方に「ハイ、スベったぁ。何ですか? 今のギャグは?」となる。

 すると今度は言われた側も当然覚えていて、逆の事が起こるとここぞとばかりに復讐をします。

 もうウケるとかそんなん関係ない、ただただ相方をムカつかせる作業になる。

(中略)

 で、実際ブラックマヨネーズはどうか? はっきり言ってありましたよ、そういうの。でも、僕も小杉も互いに2人目の相方なので、比較的少ないかもしれません。どっちもそういう経験をして1回失敗してますから。

 だから僕が最初に自分の弱みをさらけ出しましたね。

「おい小杉、お笑いとバスケットボールは似てる。俺がシュートを外しても、お前がリバウンド取ってくれたら、まだブラマヨボールや。逆もしかり。だから間違っても何やねん今のシュートは、とか言ってはダメだし、リバウンドを取りに行くのを放棄した様な動きもやめてくれ。あぁ、ちゃんとリバウンドを取りに行こうとしてくれるんやと思えて初めて、遠い位置からの思い切ったスリーポイントシュートも打てるんや。そしてもう一つ。基本俺のシュートは入らないと思え!」

 ムチャクチャですが、そういう風にパートナーに弱い部分を見せるというのはかなり大事な事だと僕は思ってます。

 安い、誰も見てないプライドの様なものを大切にするあまり、生活できる程の金も稼げてない事の方が辛い。

 まぁ偉そうに言っておりますが未だにありますけどね、そういう水面下でのケンカは。

「アレ? ツっこんでくれない」

「エッ、今の頭たたくツッコミ、だいぶ暴力寄りに感じてんけど……」

 みたいな。

 そんな時は仕事終わりでできるだけすぐに言うようにしてます。

「何かあったんか?」と。

 ボヤはボヤの内に消す事。火事は放っておくと更に消すのが難しくなる。

 誰でも、コンビを組んだ最初の時点では、「この相手と一緒に、売れるために多少の不満は我慢して、がんばっていこう!」と思っているはずなのです。

 ところが、売れていればもちろん、売れていない時でさえも、「相方への感情」というのは、複雑なものになりがちなんですね。

 吉田さんも、相方の小杉さんもそういう経験をしてきて、そして、今はお互いにうまくやれている。その秘訣として、吉田さんは「自分の弱みをさらけ出しておくこと」と「仲たがいの芽は、なるべくはやく摘んでおく」ことを挙げています。

 これはもう、お笑いのコンビだけではなく、いろんな人間関係に応用できるはず。  

「ディープな洋モンきちんと見れば、犬のように発情するイボ猪吉田」

 これが何を意味するのは知りたい人は、ぜひ、手にとってみてください。

 ものすごく、ブラマヨの吉田さんらしいエッセイ集、だと思います。

ブラックマヨネーズ吉田敬のぶつぶつ (幻冬舎よしもと文庫)

人生は、パチンコで教わった。

天才はあきらめた (朝日文庫)

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