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辻岡涼さん、高橋亜咲さんに聞いた:性差別や性暴力に、NOと声を上げよう - マガジン9編集部

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キャンパスレイプをなくしたい

——SPA!問題のあと、VUJではどんなテーマに取り組んでいるのですか。

辻岡 今、学生メンバーが中心になって進めているのが「キャンパスレイプをなくそう」という取り組みです。
昨年慶応大学の学生が性的暴行などの容疑で5回捕まったのに、起訴されずに終わってしまったという事件がありましたよね。これをきっかけにして、すべての大学関係者に対策を求める署名活動を始めました。具体的には ①オリエンテーション時に再度性教育を行い、性的同意を義務化してください。②性被害に遭った学生が安心して相談できるセーフスペースを設けてください。③加害者に対しては処分と同時に、更正カウンセリングなどサポート体制を整えてくださいという、3つの対策を提案しています。

高橋 アメリカの大学では入学時のオリエンテーションで、ドラッグやアルコールについてと同じように、性的同意についてもちゃんとレクチャーを受けます。それを聞かないと受講登録もできないし単位も取れない。

——おふたりとも海外生活が長く、日本に帰国してから「おかしい」と思うことがいろいろあったわけですね。

高橋 アダルト雑誌がコンビニに、しかもなんの仕切りもカーテンもなく子どもの目線に置いてあるというのも、カルチャーショックでした。つい最近、オリンピックで外国人がたくさん来日するというので、置かないことになったそうですね。私たちが直接運動したわけではありませんが、少しは影響したのかな。

辻岡 テレビなどメディアの表現も気になります。テレビなどでは、セクシャルハラスメント(セクハラ)が笑いのネタとして軽く扱われているし、深刻な問題として受け止められていない気がします。

——女性自身も笑ってごまかすのが大人のスキルだと思わされていたり、差別だと認識していないのかもしれません。

高橋 テレビで渋谷の街頭インタビューを見たことがあるのですが、「日本に女性差別はない。映画館のレディースデイとか、女性専用車両とか、女性に優しい、住みやすい社会だと思う」と若い女性が答えている。それは勘違いです。レディースデイがあるのは女性の給料が安いから、痴漢がいるからしょうがなくて女性車両がある。女性自身が差別と認識していないことも問題だと思う。

——日本でも近年企業などでセクハラ対策が少しずつ進んできているようですが、セクハラとは何かという認識が明確には共有されていない気がします。なにがセクハラか、どこまでがセクハラか。この言葉はOKなのかNGなのか、企業では研修が行われたり、戸惑っているのが現状です。

高橋 相手を不快にさせる言動はすべてセクハラだと言う人もいますが、お互いの関係性とシチュエーションなどによるので、一概には言えませんよね。

辻岡 キーワードはやっぱり人権だと思います。相手を人として認めて理解し尊重し合う。そこから外れていればセクハラだ、と。子どもの虐待も、しつけでなく人権問題ですよね。何事も人権を守っているかどうかが判断の基準になるのではないでしょうか。

だれもが声をあげやすい場を

——ヴォイスアップとは「声を上げる」ということですね。VUJの登場によって、声を上げることの大切さと同時に、難しさも浮き彫りになった気がします。

辻岡 日本では声を上げることがとても難しいということはよくわかります。難しい立場にいる人に無理に声を上げようとは言いません。危険な目に遭うこともあるだろうし、まずは自分の身を守ってほしい。声を上げられる環境が整ったと思ったら自分のペースで、その人なりのやり方で声を上げて、と呼びかけています。

高橋 私たちの目的はまず声を上げやすい環境を作ることです。アメリカでさえ、性被害について声を上げられるようになったのは、つい最近のことです。どんなに勇気があったとしても、ヴォイスアップすることは簡単なことではありません。ましてや日本は、自分の意見を言ったり人と違うことをするとたたかれるという雰囲気がずっと続いているわけですから、すぐには変えられない。

辻岡 欧米では小さいときから自分の考えを言えるようにと家庭でも育てられますし、学校でも授業はディスカッションが中心。先生の話を黙って聞いてノートを取って暗記して、という日本の学校教育では、声を上げる大切さや勇気はなかなか育ちませんよね。

高橋 ですから私たちはまず、安心して声を上げられる場が大事だと考えて、フェイスブック上に、クローズド(許可制)のコミュニティを作りました。現在コミュニティの会員は100人くらい。そこはいやがらせやセカンドレイプからも守られた安全な場なので、これまで声を上げられなかった人も自由に話せます。

——「被害者にも落ち度があったと」か、「やられるほうも悪い」といった偏見が根強いことも、声を上げられない原因ですね。

高橋 そんなふうに「被害者の側も悪い」と言うことを、英語では「ヴィクティム・ブレーミング(Victim blaming=犠牲者非難)」といいます。この「犠牲者非難」やセカンドレイプ、また被害者自身が自分を責めたりするようなことはアメリカでもずっとありましたが、ここ数年のMeToo運動の中で、それは間違った考え方だという理解が広まっています。

辻岡 どんな場合でも悪いのは暴力をふるったほう、被害者は悪くないということです。

高橋 私の家の近くの道に「痴漢に注意」「夜道の一人歩きはやめましょう」という看板があるのですが、そうでなく必要なのは「痴漢は犯罪です」という警告です。女性の側に「Don’t get raped」と注意を促すのでなく、痴漢を軽く考えている加害者側に「Don’t rape」と呼びかけるべきです。

辻岡 「痴漢は犯罪です」と、当たり前のことを言わなければならないのも悲しい。「殺人は犯罪です」という看板はありませんよね。

——ちなみにこの活動についておうちの方から、何か言われますか?

高橋 母は、「名前出して大丈夫なの? 気をつけて」と心配はしています。署名はすぐしてくれたのですが、旅行とか食べ物の写真ばかりのフェイスブックにいきなりこういう話題を載せたら、みんなにどう思われるか、最初はすごく迷っていたようです。ツイッターなどのネガティブコメントを読んでしまって、ショックを受けたり……。私は読まないほうがいいよ、無理しなくていいよと言っていましたが、今ではがんがん応援してくれるようになりました(笑)。

——お母さんの気持ち、よくわかります。若い皆さんの勇気が社会を変えるきっかけになると信じています。今日はありがとうございました。

(構成/田端薫・写真/マガジン9編集部)



(左)辻岡涼さん、(右)高橋亜咲さん

辻岡涼(つじおかりょう) 国際基督教大学4年生。専攻は社会学、ジェンダー学。福岡生まれ。小学校は日本のインターナショナルスクール、中学高校はイギリスの学校で学ぶ。

高橋亜咲(たかはしあさき) 国際基督教大学4年生。専攻は物理学、社会学。アメリカ生まれ。4歳の時いったん帰国し、9歳から高校3年まではアメリカの学校で学ぶ。

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