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読売新聞の値上げは成功したか?

先日、ふと思い立って、今年1月に25年ぶりという値上げをした読売新聞の部数がどれだけ減ったかが気になって検索してみました。

すると、こういう最新のPDF資料に行き当たりました。読売新聞社が作成したものですが<2019 年 3 月 15 日発行の「新聞発行社レポート」(日本 ABC 協会から)>とありますので、恣意的なものではないでしょう。


今年2月の部数は812万9783部ということです。たまたま、手元にある値上げ直前の昨年12月の数字は828万3333部でした。差し引き15万3550部の減少ということです。

部数が減れば販売収入は当然減りますが、今回は値上げをしているので、その分、収入は増えているはずです。(その見込みがなければ、値上げには踏み切れなかったでしょう)

そこで、値上げでどのくらい、増収になったのかを勝手に試算してみました。

まず、値上げ幅ですが、朝刊と夕刊をセットで購読している場合、4037円から4400円に363円アップ、朝刊のみは3093円から3400円に307円アップしました。

で、読売の昨年12月の夕刊発行数は224万9773部(朝刊の27%)です。夕刊単体を取る人はいませんから(駅売りは別にして)、4037円を払って朝夕刊をとっていた人は夕刊発行部数に近いと仮定します。

逆に、3093円で朝刊だけをとっていた人は、この夕刊部数を引いた603万3600人(全体の73%)ということになります。

この両方をかけ合わせると、昨年12月段階での月間販売収入は、私の計算では277億5572万円になりました。(全て有代としてです)

さて、面倒なのは上に掲げた読売資料には朝夕刊別の数字がないことです。止むを得ないので、減少した15万3550部の内訳は、朝夕刊セット(27%)、朝刊のみ(73%)と同じ割合で減ったことにしました。

すると、朝夕刊セットで減ったのは4万1704部、朝刊のみで減った部数は11万1845部という数字になります。(あくまで仮定です)

2月段階では12月にはあった、この読者からの収入を失ったわけですから、これも旧購読単価をそれぞれかけ合わせると5億1429万円の減収になります。

一方、値上げによる増収はどうか。これも2月の朝夕刊セット部数に363円、朝刊のみ部数に307円をかけ合わせると26億1947万円となりました。

つまり、部数減少による減収分を差し引いて21億518万円のプラスになった計算です。率にすればなんと7.7%の販売収入アップということになりました。(あくまで計算上のことです)

この記事を書いていて思い出したのですが、実は6年前に、日本より新聞離れ現象が先行している英国と米国の新聞値上げの状況を調査したレポートがありました。

それは私もブログで紹介したのですが、世界的なマーケティングコンサルタントのSKP(Simon Kucher&Partners)が、2007年から2010年にかけて新聞値上げの結果を調査したところ、英米の有力紙はいずれも値上げで部数を減らしたものの、販売収入は10%以上増やしていることが明らかになったのです。

例えば、英タイムズは54%も値上げしたことで部数を24%も減らしましたが、販売収入は16.7%も増えたり、ガーディアン、インディペンデント、テレグラフは共に43%引き上げて部数は19~25%減らしたものの、販売収入は7~16%増えたそうです。米国・ワシントンポストは一部売りを1.5ドルから2ドルに引き上げて10%の増収になったという具合です。

そこで、SKPは<A premium model is your best hope>つまり、値上げこそ生き残り道だと新聞社に呼びかけたのです。(その詳細なレポートへのリンクは残念ながら切れてしまっています)

この結果と、奇しくも、今回の読売値上げの結果の増収幅は近似しているように見えます。部数の減少幅が2%程度に止まっていることも大きいのですが。

まあ、しかし、昨日SNSで減少部数について記したところ、「ABC調査は公称数だからあてにならない」「どれだけが有代部数かわからない」といった指摘がありました。また「増収分は販売店に行って、もっと部数を抱えこめということになる」という見方も。

さらに、販売収入が値上げで増えても、部数が減れば一段と広告単価が下がるという側面もあるでしょう。

ですから、一概に値上げ成功とは言えないにしても、この結果は、読売に追随して値上げすることをためらっていた各紙に影響を与えることになるかもしれません。ただし、何度も断っているように、これは全てが有代部数であることを前提にした私の独断的な仮定と計算結果に過ぎません。

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