- 2019年04月02日 09:15
いずれ誰もが"脳に電極を刺す"時代になる
1/2「脳に電極を刺したいか」と聞かれたら、どう答えるか。実業家の堀江貴文氏は「そう遠くない未来に、人とAIは同期するだろう。それが実現すれば、人間の知能は現代の数千億倍まで“拡張”すると言われている。AIと同期する人としない人では、知能の格差が大きく広がることになる」と予測する――。
※本稿は、堀江貴文『僕たちはもう働かなくていい』(小学館新書)の一部を再編集したものです。

■「記憶のバックアップ」が当たり前の時代が来る
「あなたは将来、脳に電極を刺しますか?」
こう問われたレイ・カーツワイルは、「もちろん」と答えた。2016年9月、六本木ヒルズで行われたイベントでの一幕だ。
カーツワイルは、AI研究の世界最高権威とされる人物。2012年からグーグルでAI研究の責任者を務め、カーツワイル理論を基にした、知性アプリケーションの開発などを手がけた。
2005年に自身の著作のなかで初めて、「シンギュラリティ=技術的特異点」について踏み込んだ論考を展開。「人類に代わって汎用AI、もしくは機械と融合する人間=ポスト・ヒューマンが、地球の支配者となり、大宇宙に進出していく」などと論じた。
さらに彼はAIが人類の知能を超える瞬間(=シンギュラリティ)は、2045年に訪れると予言。その後、2100年には、人間の知能はAIとのハイブリッドで現代の数千億倍まで“拡張”されており、「そのとき過去の人類が、記憶のバックアップを取らず生きていたことは、非常に驚かれる」とも論じている。
■人間とAIとの融合を待ちわびているかのよう
AIが人間の知能を凌駕する──。
世界最高権威が唱える未来予想は、世の中に大きな衝撃を与えた。以降、シンギュラリティの是非をめぐる論争は、AIを語るうえで常について回るようになった。
提唱者のカーツワイルは、シンギュラリティに対して、もちろん好意的だ。先のイベントでも「これからテクノロジーは体内に入ってくる」と語り、脳に電極を差し込むことを少しも厭わず、むしろ人間とAIの融合を待ちわびているようですらある。
カーツワイルは30代で糖尿病と診断された過去がある。だが科学者としての知見と担当医師と共同で最新治療を行い、テクノロジーによって完治したと主張している。本当に完治したのかどうかはともかく、70歳の現在まで健常なのは間違いないようだ。
また彼は、若くして死んだ父親に関する資料を、大量に保管している。将来、父親の遺伝子情報、自身や周囲の人たちとの記憶と照らし合わせ、父親とまったく同じ人格を持つAIの開発を目指しているそうだ。
自身が死亡したときは人体冷凍保存を行い、未来での再生復活を願っている。
エピソードのいくつかは、倫理的にやや危なっかしい面もあるが、得てして突き抜けた研究者とは、自ら率先して体を張り、世間をあっと驚かせるものだ。
■「高度に発達したAIは神と区別がつかない」
カーツワイルは、生粋のテクノロジー万能論者だ。AI研究の進化によって、人類は解放と幸福の未来へ向かっていると、信じて疑わない。
万能論者の声はほかにもある。
AI研究の第一人者で知られるワシントン大学のペドロ・ドミンゴスは、AIによる機械学習アルゴリズムの流派をわかりやすく分類。その組み合わせで、あらゆる問いや目的に最適解を出す「支配的アルゴリズム」をAI自身が生みだせる……つまり事実上のシンギュラリティに到達するはずだと唱えている。しかも、それは2045年よりも早いという。
また彼は、「高度に発達したAIは神と区別がつかない」と説いている。これはSF作家のアーサー・C・クラークの有名な「進歩した技術は魔法と区別がつかない」という言葉へのオマージュだろう。
ドミンゴスはこうも述べている。
「AIが反抗するのではないかと恐れる人々もいるが、その可能性はほとんどない。それよりも私たちがAIの自発的な制御を放棄してしまう可能性の方がよほど高い。AIの開発に際して、常にAIを制御する意識を捨てないことが必要だ」
名だたるAIの最高レベルの識者たちから、好意的な論が挙げられているのは、世界中の最先端の企業や研究者たちが、莫大な予算と時間をかけてAI研究を続けることの後押しとなっている。
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