記事

目に見える増税か、オカルトの増税か。

皆さんはオカルト(occult)というと何をイメージするだろう。神秘、超自然、そしてエクソシスト(古いです)などのホラーチックな映画だろうか。しかし、元来オカルトとは「隠されたもの、隠れていて見るのが難しい」、という意味があり、医学用語でもその意味で使われていたりする。

今は統一地方選挙の真っ最中、地方選挙だけに争点にはなっていないが、政治家が避けたい話題の一つが増税問題だ。国政選挙では、減税や増税阻止はよく言われるが、その逆はなかなか例がない。日本の社会を維持可能とするため、この問題に勇気をもって正面から取り組まれた野田元首相が選挙に敗れ去ったことはそう遠い過去ではないが珍しい事例だ。

現在の野党の態度はおおむね消費税上げに否定的であるし、安倍内閣もすでに存在する法案に沿った引き上げを行うとみられるが、何のために引き上げるかよくわからないほどの無茶苦茶な緩和措置をセットにしてしまっている(しかも、単なる予算措置で)。

国民世論は、周りに聞く限りの実感ベースの話ではあるが、現在の積みあがった国債や借金依存の毎年の財政をみて、増税やむを得ずと理性的に判断される方も多いが、消費増税反対を強く言われる方もやはり同様に多い。

いずれも一理あるところではあるが、実は増税は目に見える形で行われるだけではない。オカルトに行われる場合がある。それが金融抑圧政策、インフレ政策だ。

金融抑圧政策とは、金利を極端にまで押さえつける方法である。そうすれば、借金を抱える側は、借金による痛みからfreeとなる。一方で、金融資産を持っている側は本来得られる利子をはく奪される。目に見えない利子税を受けているようなもの。これで得をするのは借金の残高が多い主体で、現在の日本でもっとも得をするのは、いうまでもなく最大の借金王、1000兆円の国債残高を抱えている政府だ。

逆に損をしているのは、コツコツと貯めたり、退職金を貯金している庶民の側。富裕層と異なり、貯金以外の運用方法を実質的にもっていないので、このオカルトの利子税から逃れようもない。

インフレ政策とは、インフレを起こし、通貨価値を目減りさせて借金の価値も減らすこと。これは同時に現金性の資産(現金・預金)の価値も減らす。この損得も前者と同じだ。ハイパー的なインフレでも起これば、1000兆円の借金もあっという間に大したものではなくなるが、同時に国民が老後や教育資金とするため大事に貯めてきた100万、1000万の預金もただ同然となる。

統計上の物価指数は上がっていないが、物価指数の算定方法にはマジックがある。例えばテレビやパソコンなどの性能上昇分を価格下落ととらえるなどしている。食料品や外食費など、現状においてさえ、随分上昇傾向にあるのではないか。

今の日本社会は、オカルトで起きていること、起きようとしていることが随分多い。正直に政策目的を語ろうとしない現政権の姿勢がこれに拍車をかけている。財政再建にしても、オカルトで図るのではなく、愚直に国民に語り掛け、理解を得て進めるべきであろう。

あわせて読みたい

「消費増税」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。