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失踪外国人実習生調査でわかる労働の過酷さ 受け入れ対応後手

法務省は、昨日29日、実習先から失踪した外国人技能実習生5218人に関する調査結果を公表しました。約15%の759人が最低賃金を下回るなどの不正行為にあっていた疑いがあることが、明らかにされました。

また、2012~17年に、事故や病気などで実習生171人が死亡し、そのうち4人は違法な時間外労働をさせられていたか休日不足の疑いがあったことも、わかりました。

明後日、4月1日から、外国人労働者を拡大する新しい制度が開始されますが、実習生から移行する労働者もある中で、看過できない状況だと思います。

法務省は、実習生の過酷な労働環境への対応の不備を認め、預貯金口座への振り込みで賃金を支払う仕組みを導入するなどの改善方針を明らかにした、と報じられています。

調査結果の主な点は、重複も含めて、最低賃金を下回っていた疑いが58人、契約賃金を下回っていた疑いが69人、賃金から食費名目などで過大に控除されていた疑いが92人、時間外労働などへの割増賃金不払いの疑いが195人、時間外労働の際に労使で結ぶ必要がある三六協定の未締結または違反の疑いが231人となっています。

中でも、実習生で死亡した人が6年間で171人もいるということは、深刻です。このうち43人は、把握もされていませんでした。内訳は、実習中の事故死28人、病死59人、自殺17人、殺人や傷害致死による死亡9人などでした。

実習生は、若い人が多いのに、これだけの死者が出ているということは、いかに過酷な労働をさせられていたかを物語っていると思います。今回の調査では、実習生本人からの聴取はごく一部にすぎず、協力拒否などで調査できなかった実習先もあるとのこと。実態の把握を引き続き続ける必要があります。

労働基準監督署などは、人手が足りずに、各職場をきちんと監督できていないのではないかと思います。外国人労働者を拡大するにあたって、改善すべきことは多々あると思われます。

新制度の実施を前に、対応策が、今になって明らかになってきています。法務省は、20日に、新しい在留資格「特定技能」の創設などで外国人労働者の受け入れを拡大する新制度を具体的に示した運用要領(ガイドライン)を公表しました。

ガイドラインでは、入国時の送迎を企業など受け入れ側に求め、住居については受け入れ側が連帯保証人になるか、家賃債務保証業者を確保して受け入れ側が緊急連絡先になるよう求めました。

居室の広さを1人当たり7.5平方メートル以上とすること、ごみの捨て方などの生活マナーや交通ルール・交通機関のICカードの購入利用方法なども「生活オリエンテーション」で少なくとも8時間以上説明するよう求めています。

今月15日に公布された政省令では、新たな在留資格「特定技能」の外国人の給与を日本人と同等以上とすること、外国人が日常生活で困らないよう支援計画を作り実施すること、などの基本方針が示されましたが、抽象的な表現でした。

一方、厚生労働省は、対象14業種のうち受け入れ見込み数が最も多い介護分野について、日本語試験の概要を公表しました。しかし、介護現場からは、内容やレベルを懸念する声が上がっている、ということです。

技能実習生が一定の日本語試験に合格しなくても、事実上、特定技能に移行して5年間働ける仕組みも整うため、制度が形骸化しかねないとの懸念もあります。

4月の新制度スタートにあたって、泥縄式の対応が目立ち、心配なことが多すぎます。「労働力」ではなく、「人」が入ってくるという認識を必ず持たないと、どこの国の人からも、日本の労働現場は見捨てられると思っています。

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