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二重行政


いわゆる大阪都構想議論の際に必ず出てくる「二重行政」という言葉。「二重行政はあるのか?ないのか?」そんな話もかつては議論になったように記憶している。

この話は、必ず定義を定めてから始めなければかみ合わなくなる。

平成27年の住民投票の時だと記憶しているが、二重行政の定義を松井(当時)知事に尋ねた時に「大阪府と大阪市が類似の事業をしていること」というお答えをされたことが記憶に残っている。一つの定義付けとして、決して間違っているわけではないので、この定義に基づき、現状の事象をいくつか確認したい。

大阪市内には、2つの大きな公営体育館がある。一つは、浪速区にある府立の体育館。もう一つは港区にある市立の体育館。都構想議論がスタートした頃、体育館も二重行政のカテゴリーに入れらていたのではないだろうか。
ところが、松井知事・橋下市長、松井知事・吉村市長の時代を経て、両体育館は未だに府と市の体育館として存立している。すなわち、二重行政は残っていると言える。事実、吉村さんも昨日の討論のなかで「現在も二重行政がある」と発言をされている。

次に、病院。府立の急性期医療センターが住吉区にあり、大阪市立の住吉市民病院が住之江区にあった。これを維新や吉村市長は二重行政という事はなかった。ところが、定義に基づけは明らかに二重行政である。そして、急性期医療センターに母子医療センターを統合新設し、住吉市民病院を廃院としたが診療所が残り、そこには後には大阪市が深く関与する市大病院が誘致されるそうだ。阿倍野区に市大病院があるにも関わらず。定義に基づけは、新たな二重行政を生み出していることになる。

二重行政を二度と生み出さないために都構想を実現すると仰っている方々が新たな二重行政を生み出している滑稽な事実がそこにはある。

ちなみに、都構想が実現して、大阪市が廃止・分割され、特別区になったとしてもWTCのような高層ビルを特別区は作ることは可能である。権限として持ち合わせている。だとすれ、分割された特別区が競って高層ビルを建てて4つの高層ビルが建つことだってあり得るし、そこに加えて新たな高層ビルを大阪府が作ることだって否定はできない。すなわち、大阪市の廃止・分割で特別区が設置されても大阪府と特別区との間に二重行政は存在し続けることをになる。複数の特別区設置は、複数の首長を生み、意思決定はより複雑になると想像される。

結局のところ、行政の無駄と大都市制度は全く関係ないのだ。
WTCが負の遺産と言われるが、それは府と市が共に存在したからという大都市制度の問題ではなく、政策の失敗でしかない。議会と首長とが緊張関係を持ちながら、なんでも賛成、なんでも反対ではなく是々非々で対応していく二元代表制の健全な体制こそ行政の無駄を減じることにつながるのだ。

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