- 2019年03月29日 13:00
口パクでレコード会社と6桁の額の契約を結ぶ12歳、何者?
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ラッパーからの仕事の依頼を1曲1,000ドルで受ける、今や音楽業界内で引く手あまたの10代のアマチュア・ダンサー、セス・ヴァンゲルドレンとは何者なのか?
彼が初めてスマートフォンを手に入れたのは8歳の時だ。鮮やかなライムグリーンのiPhone 5cだった。彼がフロリダのある高校のバスケットボールの試合で即興ブレイクダンスをして”バズった”のは10歳の時だ。そして今、12歳になったセス・ヴァンゲルドレンは、彼を新人アーティストのブレイクのきっかけとしたい、いくつもの世界的大レーベルと6桁の額にも及ぶレベルでマーケティング契約の交渉をしている。
ヴァンゲルドレンは音楽業界の有名な10代になろうとしていたわけではなかった。数年前のある日、学校から帰宅した彼は家で姉とネイネイダンスを踊り、ノリでその動画をSNSに投稿した。すると相当のビューを獲得し拡散が拡散を呼んだ。「基本的にはそれを続けているだけなんだ。僕は誰にも知られていなかったからフォロワーが1000人になるまでに1年ぐらいかかったけど、それから10000人になるまでにかかったのは5ヶ月だったよ」と今週人生で初めてニューヨークを訪問した、ダンサーでありビデオグラファーであり、そしてラップ界のインフルエンサーとなった少年は恥ずかしそうに肩をすくめながらローリングストーン誌に語った。その後すぐにアマチュアのラッパーたちから彼らの曲で踊ってほしいという依頼を受けるようになり、彼は1曲1,000ドルで引き受けた。それからレーベルから新人アーティストのプロモーションに力を貸してほしいという連絡が来るようになった。彼は数日ごとにInstagramに数十秒のラップ曲に合わせて機敏に踊るダンス動画を投稿しているが、そのフォロワー数は現在609,000人を超えている。
ヴァンゲルドレンは最初、10代に爆発的人気のリップシンク・アプリMusical.ly (現在のTikTok)にブレイクダンス動画を投稿していたが、彼いわく、アプリが不安定だったため、レコード業界と連携していて類似アプリにはないAI機能が搭載されているミュージック・ビデオ作成アプリTrillerに乗り換えた。「動画で読み取った体のモーションを曲のビートに合わせているので動画の編集に何時間もかかっているように見えますが、実際にはほんの数秒でリアルタイムに行われています。Trillerは新しい曲とアーティストを売り出すためにレーベルと協力していますがセスの人気は私達が計画して得たものではありません」とTrillerのCEO、マイク・ルーは説明する。短く楽しく活気にあふれたその12歳の動画のキャッチーさはクリス・ブラウンやリル・ヨッティー、ア・ブギー・ウィット・ダ・フーディのようなラッパーの目に留まり、最近ではヒップホップ・フェス、ローリング・ラウドでリッチ・ザ・キッドと共演するきっかけにもなった。
「楽しかったよ。でも、最初はやりたくないって言ったんだ。そしたらママが『誰がローリング・ラウドにノーって言うのよ?!』って言うから、僕だよ、だってたくさん人がいるし、僕シャイだし、って答えたんだ」とヴァンゲルドレンは言った。(最終的には彼は説得されてイエスと言い、加えて今夏のローリング・ラウドでさらに数万人多いオーディエンスの前にまた登場するのだ)
ヴァンゲルドレンは今週、母ミシェル・スレイターとマネージャーのTcal(トカル?ティーカル?)・ワトソンに付き添われて、アーティストやアラモ、デフ・ジャム、アトランティック・レコードの重役と複数のプロモーション契約についてのビジネスミーティングのために東海岸に来ている。このローリングストーンのオフィスへの訪問の後、夜にはミーク・ミルのモチベーション・ツアーでリル・ダークと共演するためコネチカットに向かう。「どのレーベルかは言わないが6桁の金額の契約が決まっている。基本的にはキャンペーン的なもので新しいシングルやすでにリリースされてるシングルにプロモーション用のTriller動画を1,2本撮る。セスが持つクリエイティブさを最大限発揮すればいいだけのものだ」とワトソンは言う。ワトソンによるとほとんどの場合、レーベルがプロモーションにヴァンゲルドレンを起用するのを提案するのではなく、アーティストがレーベルに頼んでいるそうだ。「アーティストのボディガードまでもが『少年よ、君の動画すごく良かったぞ!』って言ったり、スタッフや警備員がみんな彼の動画を見ていたりするのは、それが”本物”である証だ」と彼は続けた。
- Rolling Stone Japan
- 音楽カルチャーマガジン米Rolling Stone誌の日本版



