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Twitterがアメリカの大統領選を左右する理由。 - 武内俊介(税理士)

2016年に身売り話まで出たTwitterの業績が回復している。

2017年4Qで初の四半期黒字、2月8日に発表された直近の2018年4Qの決算では売上高は予想を上回る9.9億ドル(前年比+24%)と過去最高の売上高となった。広告売上に加えて、リアルタイムで膨大な量が生まれるツイートを蓄積・加工して提供するデータビジネスも着実に伸びてきており収益化については一定の目処がたってきたようだ。

圧倒的な利用者数を誇るFacebookやInstagramなどと比べるとやや地味な印象のTwitterであるが、投稿の手軽さとフォローやリツイートなどの仕組みにより拡散されやすいSNSとして独自の存在感を発揮してきた。

2016年にドナルド・トランプがアメリカ大統領選挙に勝利した要因はTwitterをうまく活用したことにあるとさえ言われている。Twitterの発信力や拡散力を読み解くためのキーワードが「弱いつながりの強さ」だ。

■弱いつながりと強いつながり

「弱いつながりの強さ」という概念は、1973年にスタンフォード大学社会学部教授のマーク・S.グラノヴェターが『弱いつながりの強さ(“The Strength of Weak Ties”、以下SWT理論)』という論文で提唱したものである。

「強いつながり」は接触回数が多い、一緒にいる時間が長い、情報交換の頻度が多いといった関係で、職場の同僚や取引先、学生時代の同級生などだ。その逆が「弱いつながり」だ。交流会で名刺交換をしただけの人や、SNS上でつながっているが普段はほとんど連絡も取らない人などである。

強いつながりのネットワークでは距離的に近い人同士がつながっているため、似たような情報がぐるぐると同じところを回り流通の無駄が多い。逆につながりが弱ければ、目にする情報も新規性のあるものが多くなり遠くまで届きやすい。多様な幅広い情報を素早く効率的に遠くまで伝播させるのに向いているのは、弱いつながりからなるソーシャル・ネットワークである、というのがSWT理論の肝である。

SNSごとの特徴を見ると、Facebookは実際に会ったことがある人同士がつながるのをベースとしたSNSであり、強いつながりのネットワークが形成されやすい。安心感はあるが閉じた情報流通になる場合が多い。

一方Twitterは見知らぬ人同士でもフォローやリツイートが気軽にできる仕組みだ。実際の人間関係とは違う、弱いつながりのネットワークが形成されることで情報発信した際には予想もしなかったところまで情報が伝播する。まさにSWT理論で提唱された、弱いつながりの強さをそのまま体現したSNSである。

トランプはこの不特定多数への拡散効果が高いTwitterを好み、選挙中はもちろん大統領に就任してからも頻繁にツイートを繰り返している。かつてはラジオが、その後はテレビが大統領選を左右した。現在ではインターネットが大統領選を動かす。

トランプが実践して見せたようにTwitterの特性を熟知してそれをフル活用すれば、大統領選挙の行方を左右するほどの、そして国内はもちろん他国の世論まで左右するほどの影響力を生み出せるのである。

■個の時代に強いTwitter

日本はTwitterの利用が世界で最も活発な地域の1つである。日本国内の月間アクティブユーザー数(MAU)はTwitterが4500万人に対し、Facebookは2800万人である。

世界全体で見れば、MAUはTwitterが3億3500万人に対し、Facebookは22億3000万人とFacebookの圧勝だが、日本では逆にTwitterがFacebookに大差をつけている。Twitterの決算資料によると、日本は売上高でアメリカに次ぐ2番目の規模があり、2018年4Qも前年比30%増の1.38億ドルと拡大中だ。

近年、筆者の周辺でもTwitterに注力する人が増えている。彼らに共通するのは副業や独立という形で、自らの経験やスキルを世の中に発信していく必要があるタイミングにあることだ。身も蓋もない話になるが、「弱いつながりの強さ」による拡散力を最も必要としているのは、自ら宣伝や営業をしなければならないフリーランスだ。

弱いつながりのTwitterでは、発信者の経歴や人間関係ではなく、ツイートの積み重ねそのものがその人のパーソナリティを形作っていく。ゆえに、情報を発信するところに情報は集まる、という格言がそのまま機能するSNSであり、発信する者としない者の格差が大きくなる。

■フリーランスの時代にTwitterの重要度はさらに強まる。

ランサーズが毎年発表しているフリーランス実態調査によれば、日本における広義のフリーランスは2018年には1,119万人となり労働人口に占める割合は17%にもなった。一方でアメリカでは、5,370万人となり、労働人口に占める割合は35%と日本の倍である。アメリカでは2020年には50%になるという予測もあり、日本でもフリーランスを選ぶ人はもっと増えていくはずだ。

個人で新しい事業を始めようと思ったとき、広告を使って集客をすることはほぼ不可能である。企業の看板がない個人にとって、Twitterの拡散力は重要であり、個の時代においては発信力こそが稼ぐ力の源泉だ。

Twitterが発表しているエンゲージメント・レート(リツイートとライクの合計)の平均値は1695.62である一方で、これらの値の中央値はわずかに0.5である。つまり、ほとんどのツイートはなんの反応もされない一方で、ひとたび拡散されれば非常に多くの人々の目に触れる可能性があるということだ。

Twitterは情報収集ツールとしても非常に使い勝手がいいが、それだけではもったいない。独立や副業で成功したいと思ったときには、弱いつながりの強さを最も発揮できるTwitterを、情報発信ツールとしてフル活用すべきである。

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