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宗教法人への課税、具体的道筋と真の問題点

新聞をゴミに出すために整理していると、いつもつい記事に目を通してしまい、なかなか仕事が捗らない。妻の冷たい視線に耐えながら、(ウンコ座りで)読んだ「耕論! 宗教法人なぜ非課税」(4/3朝日新聞)がおもしろくて、

いや~この問題は奥が深いですな、と。
まず、表面的な問題を見てみる。

宗教法人への課税の現状
1.お布施やお守りなど宗教活動に基づく収入は非課税。
2.物品販売、不動産貸付、旅館など34業種の収益事業には課税。(税率は22%で、一般企業30%より軽減)
3.宗教活動に使用される土地・建物の固定資産税は非課税。

宗教法人側の論者として登場した長谷川 正浩氏(全日本仏教会 法律顧問)による宗教法人優遇税制の根拠は

(1)宗教法人が非課税なのは、不特定多数の利益による公益性が認められているため。
(2)宗教施設や土地に固定資産税がかからないのは、学校法人の校舎と同様、公益性があるから。
(3)資金豊富な巨大教団などごく一部で、宗教法人の59%が年間収入300万未満なので、宗教法人一律に課税を強化するのは間違い。

長谷川氏の主張で議論の対象になるのは、「宗教活動は学校と同様公益性が認められるから非課税」という部分だが、多くの日本人には納得できないだろう。

例えば、
「学校のコンテンツである教育は社会や不特定多数の利益に貢献するが、宗教のコンテンツである信念(倫理)は個人的幸福に寄与するかもしれないが、周囲や社会にはマイナス要因にもなりうる。」などと言えそうだ。

一方で、(3)の宗教法人の「サイズの問題」は妥当性が高いので、課税対象に資産規模の枠を設ける、といった対策には一定の理解が示されるだろう。

従って、宗教法人優遇税制見直しのステップとしては
ⅰ宗教法人の資産規模・内容を公開する。
ⅱ資産規模に応じて課税対象を設定する。
ⅲ課税対象には優遇措置は採用されない。
といった道筋が国民的な合意を得やすいのではないか。

同じ耕論!の紙面で、宗教法人への課税を09年5月の予算委員会で質問した峰崎前参議院議員の談話がのっているが、大方の予想通り、質問後に巨大教団の推薦を受けた議員や教団からの問い合わせを受け、対応に追われた、とのこと。その後の公益法人制度改革でも対象外にされたらしい。

ということで、技術的にはなかなか難しい面があるものの、世論の盛り上がり次第ではこの種の「壁」は超えられるだろう。

(話題は異なるが、議員定数や歳費の削減など「痛みを分かち合う」ポピュリズム的政策が進展すると、巨大教団のような組織票・資金力のある団体が力を増す可能性が高い。)

・・・以上が表面的な問題で、より奥深い問題へ入る。

本来、政治権力の「外側」にあるのが宗教であり、これは民主主義をより強固にする装置であるという議論は、政教一致がファシズムの台頭に貢献した、という歴史的教訓を考慮すると、存外、的外れではないのではないか。

とはいえ、21世紀の現代、政治権力の「外側」は何も宗教でなくてもいいのではないか、などと考えると、宗教の定義をどうしたものか、という疑問に行き着く。

そもそも明治初期にreligionを翻訳した「宗教」という言葉が政治と宗教が血みどろの戦いを繰り返してきた西欧と1000年ほど前にほぼ決着がついている日本の文化の違いを踏まえているのか、という点でも違和感が残ってしまう。

ということで、宗教の定義から始めてみよう、と個人的には思いました、とさ。

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