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カンニング竹山が福島に通う理由 第一原発を見て感じた思いを本に

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福島を語るなら第一原発に目を背けてはいけない

――竹山さんは第一原発の構内も訪れています。

福島の話で、どうしても外せないのは原発です。そこから目を背けたらダメだと思って。福島を知るためにはやっぱり原発に入らなきゃいけない。入るためのルートをいっぱい探って、最終的には大和田さんに入れてもらいました。



福島第一原発は事故直後、構内全域で防護服の着用が義務付けられていた。一方、除染作業や、地表面をモルタルで覆って放射性物質の拡散を防ぐ作業が進められ、現在は、簡素な作業服で作業できるエリアが構内の96%を占める。

――構内の96%は今や簡易な格好で行けます。

原発のこと、今の廃炉作業のことを世の中の人が知らなすぎだと思うんです。この間もニュースで廃炉のことをやっていたけど、最終的には「我々もしっかり監視していかなければなりません」っていうコメントで終わる。中身ゼロだと思って。なぜこの格好で作業できるようになったかとか、そういったこともしっかり説明すべきだと思うんです。

――放射線量に関しては安全と考える人も危険と考える人もいて、難しい問題であり続けています。

そこはしっかり知ることが重要だと思うんです。そもそも放射能なんてものすごく危険ですよ。「第一原発なんて危険の塊だ」って言われたら、僕は「その通り」と言っています。放射能は見えないし、人が死んでしまう。それを今、第一原発では危険なものをぐっと抑え込んでいて、周りで働く人が危険じゃないように環境を整えている状況です。そんな状況だからこそ、現状を正確に伝えていくべきだと思うんです。

感情の部分も大きいでしょう。例えば、原発の中にはカメラを1台しか持ち込めません。登録した1台だけで撮影カットも決められる。それは原発内には監視カメラや防護フェンスがあって、その位置が明らかになっては安全上マズいからです。これは、第一原発だけじゃなく、日本全国の原発でもそうなんです。それを「テロ対策です」って説明しても、「いや、東電は何か隠している」って言う人はいる。

福島第1原発周辺は立ち入りできない帰還困難区域になっている(福島県富岡町)

――東京電力という会社に対しては、どうお考えですか。

事故を起こした責任は大きいです。ただ、私は東電の味方ではないですが、もし日本がもっとダメな国で福島第一原発を管理するのが東電じゃなかったら、今も放射性物質を抑え込むことすらできていないんじゃないでしょうか。あの会社にちゃんとした技術があるから今の状態を保てていると思います。頑張っている社員はたくさんいる。

――事故の責任を取るのが仕事だと決意して、原発事故後も辞めることを一度も考えなかったという社員もいます。

東電だけではなく、トータル的に福島って不思議な県だなって思うことがあって、ものすごいマイナスなことが起きた場所なのに、それをきっかけに福島を好きになる人が増えているんですよ。移住した人もいるし、福島の故郷に帰っていった人もいる。そんな県ってないと思うんですよ。

言ってみたら東京に住んでいたら、何の興味もわかない田舎ですよ、福島なんて。自分自身も、なんで福島に行くんだろうって今でもわからないですもん(笑)。

福島はラーメンも魚も美味い

――本ではラーメン屋の伊達屋(福島市)などマニアックな情報も紹介しています。私も記者として福島に2年半いた間に塩チャーシューメンのワンタントッピングのお世話になりました。

私も同じ(笑)。リアルにただ美味くて、ご夫婦がものすごく人がいいんですよ。あれだけにぎわったらもう少し上から目線かなと思うけど、全然違う。あのラーメンはホントにびっくりした。最初は人が並んでいて、飛ばしちゃったんです。でも、心に引っかかっていて朝一で並んだら、とんでもなく美味くて。

福島だと魚もおすすめですよ。メヒカリの天ぷらなんか最高。プリプリして美味いんです。

全国で3番目に面積が広い福島県。沿岸部の「浜通り」、東北新幹線が走る「中通り」、観光スポットが多い「会津」の3地域は文化や風土が大きく異なる=福島県観光物産交流協会提供

――福島観光ではいわき、郡山、福島、会津若松に集中しています。

福島は夜遅くまで遊べますね。

郡山は何気に都会でビジネスホテルとかがいっぱいあるし、男の夜遊びは郡山がいいです。姉ちゃんがきれいな気がします(笑)。ちょっと離れた温泉街に行くこともあります。磐梯熱海温泉ですね。

いわきは知り合いがいるから、がっつり飲んで、がっつりしゃべっていることが多いです。いわきの店探しは楽しいですよね。メヒカリをぜひ食べてほしいな。

会津はザ・観光地ですね。修学旅行で行ったような懐かしい観光ができる。

これからの福島に期待したい「自立」

――福島は復興の途上にあります。これから、必要なことは何だと思いますか。

「自立」でしょうか。誰々が応援してくれているからありがとうという、そんな時期ではないかもしれません。もっと自立して、行政はもっと宣伝しようってことです。もう少し県全体で金を儲ける仕組みを考えるべきだと思います。生意気ですけど、その姿勢が弱い気がします。

福島には人材が結構いますから。ちょうど今の30代あたりが震災の時に20代で、それまで何となく親の仕事を継いでそのまま福島に残った人が震災で仕事を無くしたりした。それで、「これはやべえ」って動き出した人もいる。そういう活気ある30代の人材がいます。

だから、行政はそういう人と手を組めばいいと思いますよ。確かに年配者の知恵は絶対に必要。でも、若者と一緒にガーってやっていった方が、新しい町ができるし、パワーがみなぎると思うんです。もちろん年配の人も大切にして、その人たちがよりよく暮らせる社会を若者と一緒に考えてほしいです。

今後も福島には「行きたくなったら行く」

――これからも福島を見続けるのでしょうか。

本を出したことで、「行かないといけないな」となるのが嫌なんです。行きたくなったら行くし、行きたくなければ行きません。いつも言うのは「福島とハワイどっちに行きたい?」と聞かれたら、そりゃハワイに決まってますよ(笑)。

伊達屋のラーメンが食べたいと思えば行くし、あの温泉に行きたいなってなれば行く。友達と飲みたいって思い立ったら行く。ただ、これまでの8年間で三春町の滝桜をまだ見れてなくて。毎年狙っているけど、こっちのスケジュールが合わなくて。そこは何とかできたらいいんだけど。

弘田充撮影

カンニング竹山(本名・竹山隆範):1971年福岡県生まれ。92年に小学校の同級生だった中島忠幸さんとお笑いコンビ「カンニング」を結成。2006年12月に急性リンパ球性白血病で闘病していた中島さんが死去後、カンニング竹山として活動。主なレギュラー出演番組に「直撃LIVE グッディ!」(フジテレビ)、「ノンストップ!」(フジテレビ)、「探偵!ナイトスクープ」(朝日放送)など。Twitterアカウントは「@takeyama0330」。

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