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カンニング竹山が福島に通う理由 第一原発を見て感じた思いを本に

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弘田充撮影

東京電力福島第一原発事故から8年がたった今も、復興の途上にある福島県。原発事故直後に訪れたのをきっかけに、縁もゆかりもなかった福島にどっぷりとハマってしまったお笑い芸人がいる。

カンニング竹山さんだ。

「長いスパンで、自分にできることをやろう」。そう思い立って、Twitterで福島の魅力やおいしいもの、さらにはダメな部分を発信し続けるうちに、福島に徐々に惚れていった。忙しいスケジュールの合間に訪れた回数は20回以上に及ぶ。

「被災地」という言葉からは見えてこない、毎日をごく自然に生きる福島の人々の姿。そして、温泉や食べ物、自然の魅力から、夜のおすすめスポットまで、旅を通じて自分の足で確かめた情報や、福島への思いを著書「福島のことなんて、誰もしらねぇじゃねえかよ!」(KKベストセラーズ)にまとめた。復興を目指す福島への思いや期待を聞いた。

福島には特に興味がなかった

温泉は福島県内各地にある。竹山さんは「種類、泉質ともに多種多様な温泉が楽しめるのが福島の魅力」という

――東京電力福島第一原発事故の前は、福島に特に思い入れはなかったそうですね。

イメージがわかないぐらい、興味がなかったです(笑)。仙台の方が東北の中心でしょっていうぐらいで。福島は仕事で行ったとしても街中のロケとかはあんまなくて。行く時は必ず山の中のロケとか、観光地の会津で。1、2回福島競馬場に行ったぐらいですね。

――競馬お好きなんですよね。

福島競馬場は、福島に行くというより、競馬場に行く感覚なんで(笑)。もちろん福島を悪いようには思っていなかったけど、特に引っかかるものがあるわけでもなかった。

――東北に仕事で行くなら、仙台の方がよかった。

(繁華街の)国分町が楽しいって言うじゃないですか(笑)。

目の前に広がる地獄絵図 「俺も何かやらなきゃ」

――東日本大震災が起きた2011年3月当時はラジオの仕事をしていて、その関係で福島に行かれたと。

震災から半年ほどです。ラジオ福島アナウンサーだった大和田新さんに沿岸部とかいろんなところを朝から案内してもらいました。それで、夜にラジオ福島からTBSラジオ向けに放送するっていう。

浪江町立請戸小学校は津波で被災したものの校舎の流失は免れた

――本には竹山さんが海を眺めている写真もあります。震災直後をどう振り返りますか。

地獄絵図でした。初めてああいう光景を見て、ただただ圧倒されてびっくりして。びっくりしすぎて涙を流す暇もない。同時に、「泣いている場合じゃねえ」って気持ちになって、「何かやらなきゃいけない」っていう変な正義感が生まれました。

次に行った時は、学校の運動場とかにがれきが積んであって、まだぐちゃぐちゃだけどがれきをまとめている時期でした。「こうして一つずつ復興していくんだな」と思う一方で、「何かやらなくてはいけない」という気持ちは持っていました。けど、何をやったらいいかがわからなかった。

テレビで芸能人が炊き出しをしたり、仮設住宅に訪れたりしている画があるじゃないですか。「どうやったらこれをできるんだろう」って悩んでいました。仮設に行って知らないじいちゃん、ばあちゃんと話しても、俺何しゃべるんだよとか思って(笑)。

いきなり土足で行ったところで、「竹山です」って言っても普通に暮らしている人に迷惑じゃないですか。「何、ずけずけ来てんだよ」ってならないかなとか考えて。例えば、うちのマンションに誰かが芸能人だからって来るようなもんでしょ。「邪魔だよ」って(笑)。

竹山さんは東日本大震災直後の沿岸部を見て、「何かやらなきゃいけない」と思い立ったという

福島で始めた「ひとり探偵ナイトスクープ」

――いつごろTwitterで福島のPRをすることを思いついたのでしょうか。

Twitterは後付けです。福島に何度か入るうちに、「これはえらい災害だな」と気づかされた。計画では、廃炉に40年かかりますよね。この町は復興のためにも40年かかると思いました。

下手したら100年かかるかもしれないと。放射能なんていうわけわからないのもあるから、「これは長いスパンで考えよう」というのがあった。だから、焦らなかったのはあります。

――それがぶらぶらと歩いて福島を知る旅につながった。

自分の周りも「できることをやればいいんだ」とか言っていました。よく笑い話になっていたんですけど、お笑い芸人が東北の体育館とかにずけずけ行って、「自分にできることはお笑いだ」って一生懸命ライブをやっていた。だけど、全員が全員“スベる”っていうことを忘れてた(笑)。ダダ滑りしたライブがいっぱいあって。

そういう話を聞いたりして、自分にできることって何なんだってあらためて考えた。僕は仕事でロケをたくさんやっているので、「そうか。俺にはロケがある」と思ったんです。カメラ回して街を歩いていたら、知らない人とバンバンしゃべれるじゃないですか。だったらカメラを持たないロケができると思って。

竹山さんは福島を訪れては、地元の人たちと話をしてきた

――ひとり探偵ナイトスクープ状態ですね。

カメラを持たないロケって、街をただ歩くことです。自分で探したラーメン屋まで歩いて行くとか。途中から、Twitterを使ったらもっと面白くなると思って、Twitterの情報を頼りにぶらぶら流れ旅を始めました。最初は「今からいわき行きます」って。そしたら、いっぱい返信が来たんです。「あれ見て」「ここ来て」って。これは面白いと思って。

まず、いわきのミニエフエム放送局に行きました。返信をくれたのは、技術のお姉ちゃんで、「ラジオで生放送やっています。ぜひ遊びに来て」って。で、いきなり行ったら、社長さんがびっくりされて。いろんなことを教えてくれるんですよ。震災当時はここがテレビ局の基地だったとか。そういう話を聞けて、これはあるなと思って。それで、飲食店とか幼稚園とか、Twitterで入って来た情報を頼りにどんどん行っていたんです。

でも、それもどうしても義務感になって、飽きてしまったんです。「行かないと。行かないと」って。じゃあどうするかってなったら普通に観光だなって。好きなとこ行って、途中で出会った人に話を聞いてと。もっと自然体でいいと思ったんです。

弘田充撮影

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