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「もったいないな、変なことばかりやって」と言われ続けた人生ーライフネット生命副社長岩瀬大輔氏インタビュー(前編)

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岩瀬大輔氏。(撮影:野原誠治)
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商品の分かりやすさや価格の安さが消費者に受け、ネット生保の存在感が増している。2008年、74年ぶりに独立系生命保険会社としてスタートしたライフネット生命もそのひとつで、3月15日には東証マザーズに上場(7157)したことも記憶に新しい。今回、編集部では30代前半でライフネット生命の立ち上げに奔走した、代表取締役副社長の岩瀬大輔氏に話を聞くことができた。インタビューでは、株式上場の話だけでなく、若者論から社会福祉論まで、岩瀬氏が熱く語った。後編はこちら(取材・構成:BLOGOS編集部 田野幸伸、大谷広太)

社会の公器として株式公開はするべきだと思っていた

―まず、今回の株式上場についてお伺いします。なぜこの時期だったのでしょうか?震災の影響もあったのでしょうか。

岩瀬大輔氏(以下、岩瀬氏):もともと生命保険会社は極めて公共性の高い業種であるので、社会の公器として株式公開はするべきだと思っていました。出口(治朗・ライフネット生命代表取締役社長)によれば、アダム・スミスが『国富論』で「銀行や保険会社は、株式会社としてパブリックであるべきだ」と言っているんだと。その頃に上場という概念ではないでしょうが。

 上場の準備にはだいたい1年半ぐらいかかりますから、実は2010年の夏ぐらいから準備を始めていたんです。そういう意味では震災は関係ありません。去年の年末などはマーケットの状況が非常に良くなかったので、「タイミングをずらすべきではないか」という話もありました。

  ただ、マーケットの動きなんて誰にもわからないですし、そういうことを心配するのは本質ではないなと思い、予定通り3月15日に上場しました。結果的にですが、今年に入って株価は好調です。神様が味方してくれたというか。

―Facebookのように、黒字化して業績が良くなるまでじらしてからドーンと上場、という方法もあったと思います。ちょっと早めというか、1年半前から予定されていたというのは上場企業としての一般層への信頼度が大事であると考えたからですか?

岩瀬氏:はい、それが特に大事であると思いました。皆さん我々の財務諸表を見て「なぜ赤字企業なのに上場するんだ」と、どう評価するのか戸惑ってらっしゃる感じがあって。生命保険会社の場合、一般的には新契約価値と呼ばれるもの、あるいはエンベディッド・バリュー(保有契約価値)という企業価値で見るのが一般的です。

そして、生命保険会社って、基本的にP/L(損益計算書)を見ないんですよ。保険業界をよくわかっている方は、生命保険会社の価値評価はP/Lを見てするものではないということをわかっておられます。というのは、生命保険会社のキャッシュ・フローは入りと出にものすごく期間のバラつきがあるんです。

 初年度で投資して契約を獲得し、10年から15年かけて保険料が入ってきます。そこのミスマッチがありますから、どうしてもずれてしまう。「期間損益では会社の状態を判断できない」ということを、プロ筋はわかっているんです。というのが今後の課題です。

 我々のネット生保というビジネスモデルは世界に類をみない、スタートアップの生命保険会社なので、そこも含めて、これから市場との対話を通じ、一般の方々、普通の会社の普通のP/Lを見ることに慣れている方にどう理解していただくかが今後の課題だなと思っています。

―自己資本比率の向上という面もあるでしょうが、目論見書には色々な広告を打って、売上を挙げていくということが書かれていました。今回調達されたマネーで次に何をおやりになるのでしょうか?

岩瀬氏:やはり「いかにお客様からの信頼を得るか」ということと、「どのようにしてより多くの方に知っていただくか」が課題です。都内にいて、IT産業に関わっている方には「ライフネット生命って認知度出てきたよね」「いい会社だね」といった認識をお持ちいただいているのかもしれませんが、一般の方からするとまだまだ聞いたこともない保険会社だと思います。それが上場することで「永続性がある、安定した会社である」というお客様からの信頼を獲得できる可能性が出てきますし、マーケティング等の投資をさらに加速させていくための資金調達もできるようになります。

 また、システムへの投資、あとは金融機関として自己資本の拡充・充実がすごく求められているので資本を厚くしておくこと、そして将来的な海外展開の機会があれば、その際に投資できるよう資金を確保しておくことも目的です。

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