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原子力発電所再稼働問題に関わる考え

原発の再稼働に関し、大きな議論が巻き起こっています。本件に関し、考えを記します。

その前に、原子力行政に対する私の関わり、活動について触れさせてください。私は東京電力福島第一原子力発電所での事故発災後からほぼ毎日、東京電力本社におかれた政府と東電の事故対策統合本部に出入りし、事故の収束に向けてサポートを行う立場を担いました。関係者の特性、活動を見ながら、原子力というとてつもないものを扱うにしては、実にはかない、脆い、そして安全神話に浸かりきった体制に触れ、これはまずい、原子力行政や政策を変えなくてはならない、そう決意をしたところです。

その結果として私が取り上げたが、使用済核燃料をはじめとする原子力バックエンドの問題です。原発をこれから動かそうが止めようが、17,000トンの使用済核燃料が我が国に存在し、発電をしなくても冷却機能が損なわれれば最悪の被害を生みかねない、相当な厄介物を私たちは持ってしまっています。この現実から目をそむけてはいけない、そんな認識から、馬淵澄夫元国土交通大臣を会長とした「原子力バックエンド問題勉強会」で事務局長に就任し、そして今月からは、党の正式機関であるエネルギーPTの中に設置された「使用済核燃料等に関する検討小委員会(委員長:近藤昭一前環境副大臣)」においても事務局長を務め、政策提言を取りまとめています。都合の良い論理だけを振りかざし、現実を直視せずにきた原子力行政、それを追認してきた政治の無責任を正すこと、とりわけ原子力バックエンド問題への対応は、私の使命と思っています。

原子力政策の矛盾を正そうと行動しているわけですから、再稼働問題も簡単に受け入れられる立場ではありませんし、今回の政府の進め方に対し、当然、納得いっておりません。何がまずいか、一言で言えば、「政治のプロセスとして未熟であること」、このことに尽きます。

具体的に申します。今回の事故を受けて、政府は経済産業省所管の原子力安全保安院等を改組し、新しく環境省所管の原子力規制庁を作る、新しい組織、厳しい基準で再稼働をする、そう再編成することとしました。一方で、原子力規制庁ができるまでは四大臣(総理、経産、官房、原発事故対策)合意によって稼働を認める、ともしました。しかし、この四大臣の合意と言っても、技術的な評価は従前の保安院が担うものであり、そもそも四大臣会合なるものは、法律に基づいたものでなく閣議決定において決められたプロセスですらありません。

そうした批判を少しでも和らげようと政府が四月に入って暫定安全基準を示しましたが、まさに“泥縄式”とはこのことで、内容の是非はともかく、規制庁の4月1日発足が遅れそうなことはもっと早くにわかっていたわけですから、たった二日間で暫定安全基準を作るなどせずに、せめて、もっと前に暫定安全基準を提示すれば、印象も今ほど悪くはなかったでしょう。また、四大臣会合を正式な意思決定プロセスに位置付けたのであれば、ここまで批判されることもないと思います。

誤解を恐れずに書きますが、私は、今の日本では原発なしに今の生活や経済を回すことは相当難しいと思っています。確かに、今、関西ではすべての原発が止まっています。よって、この一か月を見れば、原発なしで世の中は回っています。ただ、フル稼働する和歌山や姫路や舞鶴の火力発電所は、老朽化で故障リスクは相当高く、更に原油やLNGの燃料費がかさみ経済への影響があること等々、懸念があるのも事実です。新しく環境性能に優れた火力発電所を作るのには最低5年はかかりますし、省エネの推進や再生可能エネルギーが主力になるには、10年以上かかります。電気が止まって「すいませんでした」では済まないのが政治です。今年の夏前までに再稼働は避け難い、私もそう認識しています。

だからこそ、再稼働に関しては、出来得ることをすべてやり、そして政治プロセスは一切の瑕疵なく進めるべきであったにもかかわらず、この事態を迎えています。私も与党の一員としてこの責任の一端から逃れるつもりもありませんが、とにかく、原発再稼働を選ぶのであれば、強引な政治的意思をリーダーシップと捉え違うことはやめるべきです。泥縄式との指摘を真摯に受け止め、今からでもできる対策に全力を挙げる以外ありません。

国民の皆さんに、少しでも我々の原子力政策が受け入れられる余地が生まれるよう、私の立場から引き続き活動し、発信していきたいと思います。ご意見、ご批判、謹んでお受けいたします。どうぞ忌憚なく、お知らせください。

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