記事

【読書感想】僕たちはもう働かなくていい

1/2

僕たちはもう働かなくていい (小学館新書)

僕たちはもう働かなくていい (小学館新書)

Kindle版もあります。

僕たちはもう働かなくていい(小学館新書)

僕たちはもう働かなくていい(小学館新書)

内容(「BOOK」データベースより)
ディープラーニングの登場によって、飛躍的な進化を遂げたAI。囲碁や将棋だけでなく、さまざまな分野で「人間超え」を果たし続けるほか、その「手足」となるロボット技術も進展し、「AI×ロボット」の存在感が急速に増している。もはや、人間は彼らとの共存なしでは未来を築けない。テクノロジーに「奪われる側」ではなく、「使い倒す側」になるため、いまやるべきこととは?ホリエモンが世界的な研究者たちと対話を重ねて導いた、唯一無二の「結論」。

 堀江貴文さんが紹介するAIやロボットの「現在地」と、これから人間はどう生きていけば良いのか、という思考実験。
 僕は長年AIに興味があって、この本に出てくる石黒浩さんの本も読みましたし、コンピュータ将棋対人間の棋士の対局も追い続けてきました。
 堀江さんは、「自分の本としては珍しく、取材に時間をかけて、現場をみて書いた」と仰っているのですが、前述の石黒さんの著書をはじめ、AIに関する本を日ごろから読んでいたり、『サピエンス全史』『ホモ・デウス』も既読、という人にとっては、それらに書かれていることが、簡単にまとめられているだけで、あんまり新しいことは書かれていない、と感じるかもしれません。

 ただ、この本は、専門書というよりは、「堀江貴文さんの新書」として、「AIで人間の仕事が奪われる!」「もうあなたは食べていけない!」みたいな危機を煽る風潮に対して、よくわからないまま怖がっている人々を啓蒙する、という意図で書かれているように感じました。
 もともと詳しい人は、あえて読む必要はないし、「AIによる社会の変化に興味はあるけど、難しい本を読むのはきつい」という人がまず手に取る本としては、おすすめできるのではないかと思います。

 堀江さんは国家に税金を集めるよりも、GoogleやAmazonに稼がせるべきだ、という考えのようですが、僕は、彼らをそんなに盲信するのは危険ではないか、と考えているのですが。
 Googleも、結局のところ、収入源は広告ですし。

 AIやロボットは急速に進化してきているなかで、いまの世の中では、AIの「知性」が語られることが多いのです。
 しかしながら、AIやロボットはホワイトカラーのデスクワークはどんどん代わりにこなせるようになってきている一方で、その「身体性」においては、まだまだ人間には遠く及ばないのが現実です。

 すでにディープラーニングの技術によって、ロボットの「目」=カメラや、「耳」=マイクの性能は飛躍的に高まっている。人間とまったく同列か、ある面ではすでに凌駕しているだろう。しかし、人間が「手」によって得ている機能や情報は、まったくもって代替できていない。
 ロボットハンドの技術はたしかに進んでいるけれど、生卵をそっと運び、研究者に驚かれるぐらいのレベルだ。「目」や「耳」の進歩には、遠く及んでいない。

 以前、AIによって奪われる仕事について書かれた本を読んだのですが、最終的に人間の仕事として残るのは、パティシエのような創造性と細かい手作業が必要な仕事ではないか、ということでした。医療用ロボットなどは、もともと医者のコストが高いだけに、安全性・確実性が認識されれば、急速に広まって、人間の医者を駆逐する可能性が十分ありそうです。ロボットだったら、夜中のコンビニ受診でも、苛立つころはないでしょうし。
 とはいえ、細かい作業でも、パターン化できるようなものに関しては、「全自動衣類折り畳み機(landroid:ランドロイド)」というものが出てきて、すでにベストセラーになっているのだとか。知らなかった……僕もこれ、欲しいです。

 「人と人とのふれあいの重要性」を強調する人は多いけれど、僕自身は「人と接することのめんどくささ」を感じることが多いんですよね。
 セルフのガソリンスタンドや1000円(じゃなくなっているところも多いけど)カットの店が流行るのは、値段の安さと同時に、「点検しましょうか、会員カードつくりませんか?」とか「お仕事は何をされているんですか?」というような、儀礼的コミュニケーションのわずらわしさを感じている人が多いからではないか、とも思います。

 介護を受ける高齢者にも、人嫌いはいる。他人に触られたくない、もう人となんか話したくない、という高齢者は少なくなく、介護の新たな課題となりつつある。
 そういう高齢者の介護は武骨な形状のロボットに任せる手もあるだろう。実際、介護の現場にはすでにどんどんロボットが採用されている。
 ロボットだったら無視されても、罵詈雑言を浴びせられても、まったくストレスを受けず介護の仕事を淡々と続けられる。介護士不足の現状に照らせば、ますますその価値は高まるだろう。

 若い世代にも、人づき合いが苦手だという人はけっこう多い。
 コミュニケーションの場になんか出ないで、静かに生きていきたい人にとっては、最低限のコミュニケーションでパートナーシップが成り立つ。彼らにとっても、AIロボットはありがたい存在となるはずだ。

 昨今、一般の人たちの生活圏に、うまく順応しているAIロボットの代表格として挙げられるのが、スマートスピーカーだ。アマゾンの「Amazon Echo(アマゾン・エコー)」やグーグルの「Google Home(グーグル・ホーム)」がテレビCMをバンバン流しているが、それだけ消費者の関心が高いということの表れだろう。
 生活に関わるあらゆる質問に答えてくれて、スムーズな会話もできる。スピーカーの形状をした、いわば対話型のAIロボットである。

 私は当初、そのニーズに懐疑的だったが、予想外の使用方法が広がっているようだ。私の友人の家庭でもそうらしいのだが、子どもの話し相手になってくれ、育児面ではずいぶん助けられているという。
 子どもが別に意味のある言葉を投げていない。無意味な質問をずっと続けがちだ。普通の大人なら相手にしきれず、仕事や家事にも影響が出てしまう。
 しかし、スマートスピーカーはとことんつき合う。子どもの方が飽きるまで、どこまでも無意味な会話につき合ってくれる。

 そして「延々と会話を続ける」作業は、子どもの言語の認知発達においても、非常に効果が高いと言われている。
 たくさん喋った子どもが賢く育つのは、発達心理学の面でも正しい。
 その相手が人間である必要はなく、何なら飽きずにつき合ってくれる、しかも叱ったり否定的な言葉を返したりしない、AIロボットの方が優れているのかもしれない。

あわせて読みたい

「堀江貴文」の記事一覧へ

トピックス

ランキング

  1. 1

    文在寅氏に白旗を勧める韓国紙

    団藤保晴

  2. 2

    文氏「日本の指摘は重大な挑戦」

    ロイター

  3. 3

    米国に泣きつく韓国の告げ口外交

    WEDGE Infinity

  4. 4

    「選挙行くな」動画に悪質との声

    女性自身

  5. 5

    香水許せぬ 極端に不寛容な日本

    PRESIDENT Online

  6. 6

    文在寅氏に向きだす韓国民の怒り

    NEXT MEDIA "Japan In-depth"

  7. 7

    自民議員 TV局のTweet謝罪に苦言

    和田政宗

  8. 8

    利用者混乱させる日本の電子決済

    PRESIDENT Online

  9. 9

    ドトールがスタバに勝る食品の質

    内藤忍

  10. 10

    新聞はこれから生き残れるのか

    ヒロ

ランキング一覧

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。