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日本人女性の家事負担が世界一重いワケ

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■職場と家庭の逆転現象には要注意

妻のこだわりが少ない家事を任せていくこともポイントです。例えば洗濯ものを干すとき、妻なりの決まった干し方があって、1ミリのズレも許せないなど、妻がこだわってやっているタスクは、分担しにくいものです。

できれば、実際に夫にやらせてみて、その成果が自分の望んでいるレベルまで達していなくても、多少我慢したほうがいい。そうしないと、いつも夫を「解雇」して終わり、ということになりかねません。ただ、仕事と同じで、ある程度の品質管理はしなければなりません。あまりにも家事のクオリティが低かったら注意していいと思います。

気をつけておきたいのは、職場と家庭の「逆転現象」です。家事には仕事と同じく習熟や工夫が必要なのですが、あまり「家事の仕事化」を突き詰めると、「外でも仕事、家でも仕事」になってしまいます。家では家事や育児をやらされて疲れてしまい、会社のほうがほっとひと息つけるという心理状態になることを「逆転現象」といいます。特に今は、会社に居心地の良いカフェがあったり、お昼寝スペースがあるなど、「職場の家庭化」のような動きが進んでいますから、夫をあまり追い詰めすぎると、職場の居心地のほうが良くなり、家になかなか帰ってこないという状態になりかねません。

■夫が料理をしても妻の負担が減らない現実

家事のOJTをするうえで目標にしてほしいのは、夫の家事の回数や時間を増やすことではありません。目標はあくまで、「妻の負担を減らすこと」です。家事頻度の研究によると、夫が食事の準備を1回増やしても、実際にはそれによって妻の負担が1回分減っていません。夫の家事1回が妻の1回に該当せず、夫が7回増やしても妻が1回分も減っていない、というデータもあります。

共働き家庭では時間がないので、夫がやった家事の質が悪いと妻が「もう、自分でやる」ということになってしまいがちですが、妻がどうやって家事をしているのか、そのどこを分担すれば妻の負担を減らせるのか、夫側に考えてもらう必要があります。

■男女の家事頻度は結婚前から全然ちがう

一方、女性のこだわりが強くて、なかなか家事負担が減らないというケースも根強く存在します。

母親(義母を含む)が同居している家庭といない家庭で、フルタイムで働く男女が夕食の用意や家の掃除をしているかを調べたデータがあります(図表2)。母親と同居していない男女を比べると、男性は女性ほど熱心に家事をしませんが、結婚するとさらに家事をしなくなります。母親と同居する男性と、母親と非同居で有配偶の男性が家事をする程度はほぼ同じなので、多くの男性にとって妻は母親の代わりなのでしょう。

※出典=JGSS-2008より筒井氏集計。60歳以下限定、パート、自営業、無職等を除く。また、同棲している者を除く。

男性のそんな感覚を変えるべきとも言えますが、このデータを見ると、女性は結婚してもしなくても高い頻度で夕食の用意をしていることがわかります。おそらく節約や健康を考え、手づくりの食事を良しとする意識があるのだと思いますが、結婚前にほぼ毎日夕食の準備をする割合が90%近かった女性と57%の男性が結婚すれば、齟齬が起こるのは当たり前。

夫が「今日の夕食は外食でいい」と思っても、妻が「外食は嫌だから、私がつくる」となる場合が多いのではないかと思います。そういう場合、夫の家事水準が低いと非難するのではなく、そもそも男性にはそこまでのこだわりがないことを理解しておくと衝突が避けられますし、何より自分自身の負担を減らすことができるのです。

(立命館大学教授 筒井 淳也 写真=iStock.com)

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