記事

BIGBANG「スンリゲート事件」で韓国社会の「意識変化」は定着するか - 山本美織

1/2
[画像をブログで見る]

 韓国社会に衝撃が走っている。韓国の人気アイドルグループ「BIGBANG」のメンバー、V.I(本名イ・スンヒョン)の“性接待”疑惑から始まった一連の騒動は、V.Iの韓国活動名「スンリ」から「スンリゲート事件」と名付けられ、単なる芸能スキャンダルを超えた社会問題に発展している。

 V.I以外の日本でも人気のあるアイドルら5人が芸能界引退に追い込まれたほか、警察との癒着も浮上し、国会で問題が追及される事態にまで拡大している。これほどの韓国社会を揺るがす大問題になった背景には、女性の人権に対する意識の高まりや、権力をかさに着た不正を許さないという社会の変化があると言える。

«うまくやってくれる子たちで»

 事件のあらましはこうだ。発端となったのは昨年11月末、ソウル市の繁華街、江南区にあるクラブ「バーニングサン」で起きた暴行事件だった。

 セクハラ行為を受けている女性客を助けようと止めに入った男性客が、店員に暴行され、警察に通報したものの、駆け付けた警官に「業務妨害」で逮捕されてしまったという。

 当初、店側は暴行を否定していたが、クラブ内で「デートレイプドラッグ」を使った女性への性的暴行や、麻薬販売などの疑惑が次々と発覚した。

 そのクラブの理事として浮上したのが、V.Iだった。V.Iは事件への関与を否定し、「すでに理事も退任した」と発表。騒動が拡大している中で、今年1月から香港や東京でのソロコンサートをスタートさせた。

 しかし、ある報道により事態は一変する。韓国放送ネットワーク『SBS』傘下のエンタメ専門チャンネル『SBS funE』が2月、「スンリ(V.I)がソウル・江南のクラブを各種のロビー場所として利用し、投資家らへの性接待までしようとしていた疑惑が生じた」と報道したのだ。

 番組では、V.Iとクラブの店員、投資会社の代表が無料通信アプリ「カカオトーク(カトク)」で交わしたやりとりを紹介。その内容は、V.Iが店員に性接待を指示する衝撃的なものだった。

 彼は《江南クラブにメイン席を用意して女性を呼んで》、《女性は? うまくやってくれる子たちで》などと送信していた。

 V.Iと所属事務所の「YGエンターテインメント」はすぐさま「フェイクニュース」と報道を否定。「法的対応も辞さない」と強硬な姿勢を見せた。一方で3月9日、10日開催予定だった大阪でのソロコンサートを中止した。

 これに対し、韓国国民権益委員会(腐敗、汚職などを調査する行政機関)がカトクのやり取りを入手し、V.I側の説明が虚偽と判明。これを受け韓国警察が彼の携帯電話を押収し、性売買あっせん容疑で捜査を進めている。

「盗撮」「警察癒着」疑惑も発覚

 もっとも、これで事は収まらなかった。

 3月11日には、V.Iが複数の盗撮動画を友人らと共有していたことが報道された。動画を撮影していたのは、韓国の人気歌手チョン・ジュニョン。彼は女性との性行為を盗撮し、カトクのグループトークルームで別の芸能人たちと共有していた。被害者は10人以上に上るという。この報道の直後にV.Iは芸能界からの引退を表明した。

 ちなみに、このトークルームには、V.Iのほか、いずれも韓国の人気アイドルグループ「HILIGHT」、「CNBLEU」、「FTISLAND」のメンバーが参加しており、全員が芸能界引退に追い込まれている。

 トークルームの内容も明らかにされた。CNBLEUのメンバーは「すぐに女性を寄越して」「遊べる女がいい」などと発言。FTISLANDのメンバーは、2016年2月に警察の飲酒取締で摘発を受けたが、外部に漏れないよう処理してもらったことを話していた。

 その「揉み消し」に加担したとされるのが、一連のアイドルたちのカトクで「警察総長」と呼ばれていた人物だ。この警察官は、バーニングサンのある繁華街を管轄する江南警察署の生活安全課に所属。クラブなどを取り締まっていた。カトクでは、この人物に不祥事を揉み消してもらったことを示唆する内容が度々、交わされていた。

 前代未聞の「癒着疑惑」に国会も動き、連日追及が行われている。管轄する行政安全相は記者会見で謝罪し、3月18日には文在寅大統領が「社会特権層による不正」とし、徹底捜査を指示したという。

「すべての容疑を認める」

 性接待疑惑の報道から1カ月以上が経つが、V.Iに関するスキャンダルはとどまることを知らず、連日新たな疑惑が浮上している状態だ。これまでに海外投資家への性接待疑惑、性売買あっせん、海外不法賭博、クラブ内の薬物汚染、脱税などの容疑が浮上している。

 それに対しV.Iは、韓国の週刊誌『時事ジャーナル』のインタビューに応じ、すべての疑惑を否定。「友達同士で噓をついて虚勢を張っていた」「真実を話しても誰も信じない」「海外不法賭博や性接待はなかった」などと持論を展開した。

 だが、女性との性行為を盗撮、共有していたチョン・ジュニョンは3月21日、性暴力犯罪処罰法違反容疑で逮捕され、「すべての容疑を認める」と話している。

あわせて読みたい

「韓国」の記事一覧へ

トピックス

  1. 一覧を見る

ランキング

  1. 1

    BLOGOSサービス終了のお知らせ

    BLOGOS編集部

    03月31日 16:00

  2. 2

    なぜ日本からは韓国の姿が理解しにくいのか 識者が語る日韓関係の行方

    島村優

    03月31日 15:41

  3. 3

    「いまの正義」だけが語られるネット社会とウェブ言論の未来

    御田寺圭

    03月31日 10:09

  4. 4

    カーオーディオの文化史 〜ドライブミュージックを支えた、技術の結晶たち〜

    速水健朗

    03月30日 16:30

  5. 5

    BLOGOS執筆を通じて垣間見たリーマンショック後10年の企業経営

    大関暁夫

    03月31日 08:27

ログイン

ログインするアカウントをお選びください。
以下のいずれかのアカウントでBLOGOSにログインすることができます。

コメントを書き込むには FacebookID、TwitterID のいずれかで認証を行う必要があります。

※livedoorIDでログインした場合、ご利用できるのはフォロー機能、マイページ機能、支持するボタンのみとなります。